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112 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 13:24:41 ID:oYGK+hko | ||||
目が覚めた瞬間わかった。音の無い世界。 私は窓辺にもたれ、どこを見るともなく、眺めていた。 幼い頃を思い出す。 お嬢様の黒い髪が、桜色に染まった頬が、雪景色に映えていた。 風邪を引くと諫められても、私達はいつまでも雪と戯れていた。 | ||||
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113 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 13:32:30 ID:oYGK+hko | ||||
揃いの綿入れから覗く小さな手。 「このちゃん、手ぇ真っ赤!」 「せっちゃんもや!」 目と目が合うと、途端に可笑しくなって、声を出して笑いあった。 互いの額がつくほど顔を寄せ、息を吐き、手を温め合う。 そうしていると、本当に世界は二人きりなのではと錯覚するほど、静かになった。 やがて世界に音が戻る。 「このままここにじっとしとったら、わからんようになるかな?」 とても小さな声。意味がわからず、私は聞き返した。 「わからんように?」 同じくらい小さな声で。 「せや。雪に埋もれて、うちとせっちゃんがみんなに見つからんように。」 | ||||
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114 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 13:36:51 ID:oYGK+hko | ||||
今もそうなのだろうか。 雪に埋もれてしまいたいのだろうか。 「お嬢様・・・」 この景色を見て、同じあの日を思い出しているといい。 「お嬢様・・・」 守るべき唯一を、この手で埋めてしまうなど、出来る筈もないのに。 「このちゃん・・・」 どうしても、消えない。 | ||||
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