「せっちゃんは今幸せなん?」
木乃香と刹那は今学校のカフェにいる。向かい合っていろいろな話をするのが2人の日課だ。
いつも付き合ってくれてありがとうな?いつだったか木乃香がそう言ったとき、刹那は穏やかに答えた。お嬢様が望むのなら、私は何だって致しますよ。
自分で訊いたことなのだが、木乃香は少し後悔した。別に悪い質問ではないのだろうが、なんとなく刹那の答えを聞くのが躊躇われたのだ。
刹那が何か言おうと唇を少し動かしたので、木乃香はじっと刹那が喋るのを待つ。
「…正直、私にはどんな状態が『幸せ』と言えるのかがよく分かりません」
「分から…んの?」
「はい。…不幸自慢をするわけではありませんが、幼少時代はそれなりに大変でしたし、この学園に入学してからも、護衛の仕事と剣の修行でいっぱいいっぱいでしたから」
「そうなん…」
なんとなく見えていた答えだった。思えば、自分を護ることに徹底していた刹那が幸せを感じられるほどの余裕があっただろうか。
木乃香はなんとなく自己嫌悪に陥ってしまう。と、不意に冷たい熱を持つ手が木乃香の頬に触れた。
木乃香が驚いて顔を上げると、優しく微笑んでいる刹那の顔がある。
