注)>>835のリメイク
「そう言えばクリスマスまでもう少しですね」
自室の隅に置いてあったポインセチアの葉を見ながら、刹那が呟いた。
木乃香に「せっちゃんの部屋は色が無さ過ぎる」と無理矢理押しつけられたものだけれど、毎日手入れ・水遣りを欠かさず行っている所を見ると、刹那も満更でも無く、むしろ『お嬢様からのプレゼント』としてそのポインセチアを大事に扱っているらしい。
クリスマスを代表する葉は、茎に近い部分を赤色をしながら部屋の彩りを飾っている。返答を待ちながら花なのは葉なのか、至極曖昧な植物だなと刹那は何となく思う。
「そやね〜」
台所の方向から相槌が打たれた。パタパタと言う足音が響いてエプロン姿の木乃香がひょっこりと顔を出す。
『コンビニ弁当ばっかりやと身体に悪いえ』なんて嬉しい事を木乃香が言ってくれ、どうせならウチが夕飯作ったろか?と言う発案以来、こうして定期的に夕食を作りに来てくれている。煮っ転がしを炊く匂いが漂って、空きっ腹に胃液が沸く。
「何か欲しいものありますか?」
そちらの方に顔を向けて刹那が何気無しに聞けば、目を丸くして、恥ずかしがるように、否――恥ずかしさを演出したような声で木乃香が答える。
「ええっ!?ウチ?……恥ずかしいな〜」
何となく胸に引っかかるような感覚を覚えながら、それでも返答を促す。まごまごして、はっきりしないのは好かない主義の刹那だった
「どんなに高くても一応言ってみてください」
座布団に座りながら、いっちょ来いと一応構える。さて ――どんな難題が来るか――
「……っ…んが欲しい」
「はい?」
聞き取れなかったのでもう一度。否、正確には木乃香が意図的に聞き取らせなかったと言った方が正しいのか。
