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800 名前:拾い物シリーズ 犬編[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:13:05 ID:tpHwfHgI | ||||
「クーン・・・・」 「こ、これはどうすれば・・・・?」 仕事から戻ってきた刹那。 その傍にいるのは小型の犬。 雑種のようで、日本犬のような容姿だった。 「お前、迷ったのか・・・・?」 外は雨で、この犬も随分と濡れている。 寮の入り口付近で立ち竦むこの犬を、刹那は無視する事ができずに、部屋に連れて帰ることにした。 * 「なんだ、また動物の拾い物か?」 「・・・・動物を拾うっていう特技ができそうだ・・・・」 同室の龍宮真名は少し呆れていたが、それでも受け入れることにしたようだ。 冷蔵庫の中を見て、犬が食べれそうな物を探している。 「そいつ少し汚れているな、シャワーでも入れておけ」 「・・・・そうする。ほら、おいで」 「わんっ」 拾ってからまだ数十分だったが、十分にこの犬は刹那に懐いていた。 前回の子猫や文鳥も加え、刹那は動物に懐かれる体質らしい。 | ||||
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801 名前:拾い物シリーズ 犬編[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:13:55 ID:tpHwfHgI | ||||
――ピンポーン 刹那が犬をシャワー室に連れて行ってからしばらく後に、二人の部屋に来客が訪れた。 「誰だ?」 「木乃香やけど・・・・せっちゃんおる?」 来客は木乃香。 今日は刹那の仕事がないと聞いて、遊びにきたようである。 「近衛か。刹那ならシャワー室にいるぞ」 「あ、じゃあちょっと待たせて――」 「ちょっ、そこはっ・・・・!」 ドタン、バタン! 突如響いた刹那の悲鳴と物音。 もちろんシャワー室からである。 「せっちゃん? 龍宮さん、せっちゃんなにやっとるん・・・・?」 「くっ、くく・・・・見ればわかるさ」 龍宮は笑いを堪えながら、木乃香の質問に答えた。 それを怪訝な顔で見る木乃香。 そこに再び――。 「くすぐった・・・・! こら・・・・あ、そこはっ・・・・!」 シャワーを浴びてるにしては、明らかに普通じゃない声。 木乃香はいてもたってもいられず、シャワー室に飛び込んだ。 | ||||
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802 名前:拾い物シリーズ 犬編[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:14:49 ID:tpHwfHgI | ||||
「せっちゃん、誰と何やっとるん!?」 「お、お嬢様!?」 「わんっ!」 「・・・・ほえ?」 木乃香の視線の先には、びしょびしょになってる刹那が犬に押し倒されているところだった。 どうやらシャワーで汚れを落としている所にじゃれ付かれ、刹那までずぶ濡れになってしまったらしい。 「すみません、お嬢様! 来られたのに気が付かず・・・・!」 「そ、それはええけど・・・・その犬は?」 変な勘違いを起こしてしまった事に照れつつも、木乃香は犬について聞く。 「えーと、それは・・・・」 「それは私が話しておこう。お前はとりあえず着替えろ」 そこに着替えとタオルを持ってきた龍宮がシャワー室に入ってきた。 持ってきた物を置き、代わりに木乃香をシャワー室から連れ出す。 「案ずるな、近衛」 「へ?」 木乃香に飲み物を出しながら、龍宮は話しかける。 その意味がわからず、木乃香は首を傾げながら出された飲み物を口に含んだ。 「・・・・刹那は、お前以外とは二人っきりで風呂に入らないさ」 「っ! 龍宮さん!?」 突然の問題発言。 龍宮は木乃香をからかい、木乃香は口に含んだ飲み物を噴出しかけたのであった。 | ||||
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803 名前:拾い物シリーズ 犬編[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:16:18 ID:tpHwfHgI | ||||
* 「・・・・あの時はほんま、びっくりしたわぁ」 「お嬢様、そのような勘違いをしてらしたのですね・・・・」 「せやかて、あんな声シャワー室で出すなんておかしいやんっ」 あの日から数日後、犬は無事に元の飼い主の所に戻っていった。 ちなみに、今刹那がいるのは木乃香と明日菜の部屋。 犬を拾ってきた時の話で盛り上がっている。 「同じ麻帆良の人に飼われているんなら、また会えるえ」 「そうそう、意外と世間って狭いからね〜」 「・・・・そうですね、でもせめてお別れぐらいはしたかったです」 どうやら飼い主が引き取りに来た時・・・・刹那は寮に居なかったらしく、最後の別れをする事ができなかったようだ。 少し寂しそうな顔をする刹那を、木乃香の同居人は慰める。 しかし木乃香はと言うと――。 「せっちゃんには、ウチがおるやん?」 「え、あ、はいそうですね!」 「木乃香・・・・また動物に嫉妬?」 ――少し嬉しそうだった。 相手が動物であろうと容赦しない木乃香に、同居人と刹那は一種の恐怖を覚える。 と、ちょうどその時に、部屋の時計が17時の合図を告げた。 「そ、それでは、私は仕事がありますのでこれで・・・・」 「あ、お仕事頑張り〜?」 「気をつけてね〜」 | ||||
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804 名前:拾い物シリーズ 犬編[sage] 投稿日:2007/05/14(月) 07:17:21 ID:tpHwfHgI | ||||
刹那は木乃香たちの部屋を後にし、そのまま玄関へと向かった。 そして寮の玄関で、自然とすれ違う人と挨拶を交わす。 それは社交辞令とも言える、同じ寮に住む生徒たちの一種の交流だった。 「こんばんは」 「あ、こんばんは」 あまり知らない相手との挨拶。 しかし相手の足元を見て、刹那は驚く。 そこにいたのは紛れもなく、先日に拾った犬だったからだ。 ――しかし既に玄関の扉を隔ててしまったので、声をかける事はできず。 仕事の時間も迫っていたので刹那は戻る事はできなかったが、しばらく進んだ後に振り返ってみた。 「! ・・・・犬の恩義は一生、か」 振り返った先では、寮の玄関で刹那を見て動かない犬がいた。 飼い主はそんな犬に困り果て、最後には犬を抱き上げて寮の部屋に戻っていった。 FIN | ||||
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