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527 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 16:49:07 ID:KDYqU2lZ
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手なんかもう何回もつないだことがあるのに。
こーも毎回毎回びっくりされると少し自信なくなるよ?
「せっちゃん手ぇあったかい通り越してる」
「……や、あの、その」
困ってるのが分かってちょっぴり面白い。
なんだか困らせてやりたくなる。色白の肌が赤くなるの、見たくなる。
「寒いからかなー、あんま人おらへんねー」
周りを見回す。
時間帯的に普段はもっといるのだけど、今日はそれがうんと疎ら。
だから都合がいい。
「えい」
抱き付いてみた。
せっちゃんの匂い、する。
「おじょ、ぅ……ぅう」
固まりかけてる剣士さんの首元は淡い淡い、パステルカラー。
「命令です。
抱き返してください」
「…………職権乱用です」
「ぶぅ〜だ。
あんまヘタレやと浮気するで?」
『あぁ、…………もう』
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528 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 16:49:45 ID:KDYqU2lZ
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せっちゃんの心の声、ばっちり聞こえた。
ぎゅぅ。
細い腕が距離を詰めた。
だけどこれじゃウチが20cmは寄っていってる。
30cmを詰めるには、ウチが15cm、せっちゃんも15cm寄り合わなきゃ意味がない。
「ばぁか、……せっちゃん」
「ぅ、え、えぇ?」
「うそ。
だいすき」
困ってる声が洩れている。
知ってるよ、せっちゃんもウチのことそう思ってる。
言ってくれないし未だにウチは『お嬢様』だけど。
でも分かってる。
「おじょ、う。さま」
ほらね。
「なんですかー」
「す、き、です。よ」
「あは、噛みすぎ」
「……ぅ」
「せっちゃんにしてはがんばれたほうかな?
普段は絶対言うてくれへんもん」
「……すいません」
「ほんとやー。
けど、今日はそれで許したる!」
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529 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 16:50:13 ID:KDYqU2lZ
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ぱ、と身体離して鼻先をちょん、と突っ突いた。
「けどいつまでもそんなんは困るで?」
「…………努力、します」
「怪しいなーぁ」
「……う」
「わー、有言不実行の匂いするぁ」
あっかんべーしてから歩き出す。
置いてけぼりのせっちゃんが困った顔して追いかけてくるのもいつものやり取りの一部だ。
「ち、違」
「なにがぁ」
「い、言えます。出来ます」
「ん?」
「おじょ、……ぅ、
…………この、ちゃん」
ものすごく控え目に摘まれたブレザーの袖。
せっちゃん、顔赤いよ?タコさんになっちゃうよ?
「……す、すきです。だいすきです」
……知っているのにそれを形として欲しがるのはわがまま?だってせっちゃんがこんなに困ってる。
行かないで、怒らないで、って細い指先が言っている。
怒ってなんかいないし、先に行ったりだって全部うそだよ。
そんな面倒なことさせるのはせっちゃん、キミひとり。
「……一週間。
それで許す」
態度を求めるくせしていざ言われたら逆に少し照れてしまった自分がちょっぴりおかしかった。
距離感、これで適正だったりするのかもしれない。
だけどいつかは仲良く等分、30cm。
おわり
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