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131 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/01/02(月) 18:02:07 ID:0aPqEib+
春先の部屋の気温は、6時を過ぎたあたりから徐々に暖かくなりはじめていた。
太陽の粒が空と世界を温めて行く。
早朝のまどろみに包まれながら、背中を向けあった貴方の存在と呼吸を、耳に響かせた。
カチカチと時を刻む部屋の壁掛け時計と、ベランダに留まるスズメのさえずり声。
どこか、一昔前のドラマのように風景だなと思いながら、気づかれないように苦笑いを薄く浮かべた。
腰あたりまでずれたシーツを手繰り寄せながら、ふと、感じるのだ。

嗚呼。世界は。こんなにも。

優しい。


夜。
体にこもった微弱な熱は、微かな残り香を残しながらじんわりと体温へと吸収されていったのだろうか。
ぼんやりとした意識で考えながら、胸を抱きかかえるようにうずくまった。
まだこの体に残っている残り香を、消さないように

132 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/01/02(月) 18:03:22 ID:0aPqEib+
「……せっちゃぁん」

コツン。

かかとで小突かれた足の裏。準じて発せられた呼ぶ声。嗚呼、何だ。と静かに吐くのは安著のため息。

お嬢様だってもうちゃんと起きてるんじゃないですか。

寝言のように呟く愛しい人の言葉。
まぶたを閉じれば私と同じように笑顔を浮かべている木乃香お嬢様の顔が容易に思い浮かんだ。
面と向かって名前を呼ぶのが恥ずかしいからなんて青春の心。
小声でささやき合うのは「寝言でした」と後で言い訳できるように。
体育座りのように抱えていた手を解いて、足を伸ばした。布と肌が摩擦しあう独特の音。

133 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/01/02(月) 18:04:03 ID:0aPqEib+
コツン。

かかとで小突く相手の太もも。

「…このちゃん…」

小声で呼ぶ。臆病なのはお互い様と考えて、苦笑い抜きの笑顔で微笑んで見せた。
まあ、そうだとしても、ちょっとばかし卑怯なのは仕方がないから。
そういうのは昨晩何度だって言った本心で



「愛してます」



プラスマイナス ゼロと言う事で。

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