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406 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/15(水) 01:24:06 ID:Mv8+dLIt
今日は大切な人にチョコレートをあげる特別な日。

ウチも、ちゃんと昨日の夜に作ったチョコを持って登校しとる。
中学校にあがってから毎年用意しとったけど、渡すことのできへんかったチョコレート……
話しかけるだけで逃げられてもうた去年までとは違う。
今年こそはせっちゃんにチョコレートを渡すんや!

修学旅行から帰ってからせっちゃんはウチらと一緒に登校するようになっとった。
一緒に行く約束をしてる訳でもないのに
せっちゃんは毎日同じ場所でウチとアスナが来るのを待っててくれる。
けど、今日はいつもの場所にせっちゃんがおらんかった。

「あれ?刹那さん居ないみたい。」
「ほんとや。ウチらがあんまり来るの遅かったから先行ってもうたんかなー?」
「しょ、しょうがないじゃない!まさか時計が遅れてるなんて思わなかったんだから!」
「まぁまぁ。今日はバイト無かったんやし良かったやん。そのうえ遅刻もしないで済みそうやし。」

朝ご飯食べながら何となくつけたテレビの時間見て急いで出てきたんやけど、
さすがにせっちゃん待っててくれへんかったかぁ……

407 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/15(水) 01:25:18 ID:Mv8+dLIt
教室に着いたウチは真っ先にせっちゃんの姿を探した。
せっちゃんの席……誰も座っとらん……
よく一緒に居る龍宮さんのところ……せっちゃんはおらんかったけど龍宮さんと目が合った。
龍宮さんは徐に立ち上がるとウチの方へ歩いてきた。

「近衛さん、ちょっといいか?」
「ウチも龍宮さんに聞きたいことあるんやけど……ええ?」
「ああ。たぶん私が話したい事と近衛さんが聞きたいことは一緒だよ。」
「せっちゃんの事……?」
「やはりな。その刹那なんだが、昨日の夜から体調を崩してしまっていてな、朝起きたら熱があったみたいなんだ。それで、今朝は無理やり寝かしつけてきたんだが……」
「せっちゃん熱なん!?ちゃんと寝とるやろか……」
「しばらくは寝てるだろうが、起きたら寮を抜け出して学校へ来てしまうかもしれない……そこで、近衛さんにお願いなんだが聞いてもらえるかな?」
「なに?」
「刹那は近衛さんの姿が見えてないと落ち着けない体質のようだから今日一日看病してやってくれないかな?近衛さんが看病してくれれば無理したりはしないはずだから。」
「願ったり叶ったりってやつや!アスナー!ウチ早退するえ。」
「ちょ、このか!?」

せっちゃんが熱出しとったなんて……急いで寮に戻らな!
せっちゃん待っとってな〜

「行っちゃった……刹那さんのことになると見境無くなるわね……このか」
「その点は刹那も同じだな。あいつもお嬢様の事になると見境が無い。」

408 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/15(水) 01:25:56 ID:Mv8+dLIt
おじいちゃんに事情話して借りた寮のマスターキーを使ってウチはせっちゃんの部屋に入った。

「せっちゃーん……?」

起きてたときの事を考えて一応声をかけてみる。
返事は無かった、ちゃんと寝てるみたいやね。
部屋の奥へ進むと二段ベッドの下で寝息を立ててるせっちゃんが居った。
寝顔は小さい頃から変わらへんなぁ……

小さい頃一緒に遊んだこと……
溺れてるウチを助けようとしてくれたこと……
ウチを避けていたこと……
修学旅行で助けてくれたこと……

他にもいろんなせっちゃんとの思い出をせっちゃんの寝顔を見ながら思い出す。
せっちゃんに避けられていたことがウチにとって今現在で一番辛かった記憶。
気が付くとウチは無意識でせっちゃんの手を握っていた。
そして心の中で願う。

もう、ウチから逃げんといて……
もう、ウチの前から居なくならんといて……

と。

「おじょう……さ…ま…?」

409 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/15(水) 01:27:31 ID:Mv8+dLIt
「あ、ごめんなせっちゃん。起こしてもうた?」
「いえ、自然に目が覚めただけですからお気になさらないでください。それより、何故お嬢様が私の部屋に?」
「龍宮さんにせっちゃんが熱出して寝てるから看病してあげてって言われたんよ。」
「龍宮に……?ですが、まだ授業中のはずでは?」
「熱出して苦しんでるせっちゃん放って授業受けるなんてウチにはできひんもん。せっちゃん、顔真っ赤やけどやっぱ熱辛いん?」
「い、いえ……私は大丈夫です……」
「それに、せっちゃんに今日どうしても渡したい物があったから来たんやえ。学校が終わるまでなんて待ってられへんかったんや。」
「渡したい物、ですか?」

今日って何の日だったっけ、とか呟いてるせっちゃんを尻目にウチはカバンに入れて来たチョコを取りに行く。

「これ、貰ってくれへん?」
「……?開けてもいいですか?」
「ええよー。」

今日がバレンタインって知ってれば中身がチョコってすぐ分かりそうなんやけど……
イベント事に疎いのもせっちゃんらしくてええんやけどな。
でも、ラッピングの中身のチョコを見たら気づいちゃったみたいや。

「あー!!」
「ど、どうしたん。急に大声出して。」
「す、すいませんお嬢様。今日がバレンタインだということを今の今まで忘れていました。」
「やっぱせっちゃん忘れてたんやねー」
「覚えていれば私もお嬢様にチョコ用意できたのに……」
「覚えててもせっちゃん熱でダウンしてたんやない?」
「そ、そうでした……」

せっちゃんが用意して無くてもウチは貰うつもりやけどね。

410 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/02/15(水) 01:29:12 ID:Mv8+dLIt
「まぁ、ウチのチョコ食べてみてや。」
「あ、はい。頂きますね。」

せっちゃんがチョコを食べたのを確認してからウチは言う。

「あとな、熱が下がるおまじないや。」
「え?」

キョトンとした顔でウチのことを見るせっちゃんにウチはキスをする。

「むぐ!?んん゛ー」

せっちゃんがかなり驚いてたけど気にしない。
少しだけ開いていた唇に舌を滑り込ませて口の中に残っているチョコの味を味わう。
本当はいつまでもキスしてたかったんやけどそうもいかへんからなぁ……

「ごちそうさま。せっちゃんのチョコ甘かったえ。」
「こ、こ、こ、このちゃん!!」
「嫌やった?」

せっちゃんは真っ赤な顔で俯いて

「いえ、むしろ嬉しかったのですが……って、そうじゃなくて風邪がうつってしまいます!」
「せっちゃんの風邪ならウチは大歓迎やえ。」


次の日、ウチも熱出してせっちゃんと一緒に学校休んだんはお約束や。

-end-

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