TOP
TOP   SS   イラスト
<< 前頁  3スレ目  次頁 >>
647 名前:1/2[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 23:54:05 ID:lHIe1rwF
「せっちゃん、これ、バレンタインのお返しな」
「・・なんですか、これ?バナナみたいな形ですが、キャンディではないですよね?」
「ああこれな、上の口やなくて下の口で舐めるキャンデーなんよ〜」
「・・え?」
「こうするんよ・・ん・・ほら、せっちゃんもこっち側を咥えてな」
「こ、このちゃん?女同士で、そんな・・ひゃあ!」


「ダメや、このちゃん!!」
自分の大声に目が醒めた。
「え・・夢?」
私は・・
私はなんて夢を・・
自己嫌悪に涙が出てくる。

 トゥルルルル

部屋の電話が鳴っている。一呼吸おいてから受話器を取った。
「はい、桜咲ですが」
「もしもし?せっちゃん?」
「お、お嬢様?! はい、そうです」
先ほどの夢・・
動揺が隠せず、思わず声が上ずってしまった。
「なあせっちゃん、上と下、どっちがええ?」
「え?」
上と、下・・
「それは、その、上で・・」
「上な?ほなほな、5分後に屋上に来てな〜」

648 名前:2/2[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 23:55:19 ID:lHIe1rwF
満点の星空が広がる下、テーブルに大きな箱が置かれていた。
「フタ、開けてみてな」
隣に座るお嬢様に促されて蓋を開ける。
「これは!」
「せっちゃん、ウチのこと助けてくれてありがとな」
夜空に見立てた黒いチョコレートケーキに、お嬢様を抱いて飛ぶ私の姿が白く描かれてた。
「あんときのせっちゃん、ほれぼれするほどかっこ良かったんやで」
そういって見つめるお嬢様の姿が、涙でにじんで見えなくなった。
「ありがとな、このちゃん。あの時助けられたんは、このちゃんやのうて私の方や」
思わずお嬢様に抱きついてしまった。
抱き返してくるお嬢様の腕が心地よかった。
どちらからともなく唇を重ねる。
今夜、私たちはあの夜よりも、もっと近くにいる――


「なんや、食べるのもったいのうなってもうたな」
唇を離したお嬢様は、ケーキを見て微笑んだ。
「そういえばお嬢様」
唐突に、電話での会話を思い出した。
「上と下って訊かれましたが、下はなんだったのですか?」
「ああ、下はな・・」
お嬢様が満面の笑みを浮かべて答える。

「せっちゃんの下の口に合いそうなものを用意してたんや」
「・・え?」

<< 前頁  3スレ目  次頁 >>


ページトップ

管理人:虚武僧
web拍手
┣サイトへの意見・要望
┗リンクミスの報告など