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690 名前:月明かり[sage] 投稿日:2006/03/30(木) 23:46:23 ID:7ZyYgt22
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1
いつからだろう?
気づけばあなたのこと意識して
声をかけるだけでも勇気が要るようになった
今夜アスナとネギ君がエヴァンジェリンさんの所に行く、と聞いたのは今日の夕方のこと。
一人にするのは心配だから今夜このかの部屋に泊まってくれないかという頼みに、最初難色を示した私をアスナさんは訝った。
私は単なるお嬢様の護衛でありそれ以上でも以下でもない。
最近身分違いである自分などがお嬢様と親密になりすぎた様に思う。
だから同じ部屋には泊まれないが、部屋の外で寝ずの番なら任せてほしい、前と同じように陰から御守りしたいのだ、という意を伝えた。
アスナさんは複雑な表情を浮かべたが、そう言っておくとだけ言い、その場を去った。
わかっていた。お嬢様への気持ちが何なのか。
同じ部屋、しかも2人きりで眠って自分を抑える自信などまるでなかった。
理性が飛んで、いつお嬢様を汚してしまうかわからないから。
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691 名前:月明かり[sage] 投稿日:2006/03/30(木) 23:48:20 ID:7ZyYgt22
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2
夕飯後、アスナさんとネギ先生が部屋を出る。その後に部屋の外、即ちドアの前に座り朝を待つ。
こんな感じでいいだろう。
予定通り、アスナさん達2人は部屋を出た。
「なぁ〜せっちゃん、いっしょ寝よ?」
「いえ、私は外に居ますので」
「え〜寂しいわぁ〜、昔はよういっしょ寝てたやろ?」
「私はお嬢様の護衛、ですから」
渋るお嬢様をベッドに寝かせ、御辞儀すると私は部屋を後にした。
夕凪を握り締めながら、長い夜を思いため息が出る。
―私は…一体何をしている…?
静かだった。
部屋の中の時計の秒針の音さえ容易に聞き取れる。
そんな風に、何時間か経った時だった。ガタンと大きな音が部屋から響いた。
すぐさま部屋に入り、お嬢様の名を呼ぶ。が、すぐに微笑した。
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692 名前:月明かり[sage] 投稿日:2006/03/30(木) 23:49:44 ID:7ZyYgt22
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3
「…寝相、悪いなぁ」
見ればお嬢様がベッドから転げ落ちている。全く、これが本当に近衛家の令嬢か?
とにかく、このままだと風邪を引く。抱え上げて自分もベッドに乗り、そっ、と寝かした。
落っこちた当人は変わらず熟睡している。
ふ、と笑みを浮かべた時だった。
「せ…っちゃん…」
「?!」
驚いて目を見開いてしまった。
確かにお嬢様は眠っている。意識はあるまい。
「お嬢様?」
勿論反応はない。
「…お嬢様」
ゆっくり、顔を近づける。
「……この、ちゃん」
髪の匂いといっしょに、お嬢様の香りが自分の中に入ってくるのがわかった。
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693 名前:月明かり[sage] 投稿日:2006/03/30(木) 23:51:46 ID:7ZyYgt22
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4
寝息を立てて眠るお嬢様の口を、そっと、唇で塞ぐ。
「ん…」
少し息苦しいのだろう。微かに声が洩れる。
唇を離す。
月明かりがお嬢様を朧気に浮かばている。
幻想的とも言える空間の中で、これは夢か幻なのではないかとも思った。
しかし、不思議な位頭は冴えていた。
どこかぼんやりとした焦点の目で、やはりお嬢様は綺麗、だと思った。
指に滑る黒髪も、桜色の頬も、細い腰も、すべて。
だから、だから…
「―好きです」
「あなたが―
好き、です…」
声は、少し震えていた。
聞こえる筈のない告白。今までもこれからも、届けるつもりなどない、想い。
青白く浮かぶシーツに滴がひとつ、ふたつ、落ちていった。
end
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