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400 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 22:01:23 ID:VSz4jt1P
他人が聞けば鼻で笑い飛ばされるくらいの安易な理由で一喜一憂してしまうのは、
これ一重に恋の魔力とでも言うのでしょうか。

そうだと貴女が肯定するのなら。
きっと私はその魔力だけで、向う百年生きてゆける事でしょう。



「おはようございます、木乃香お嬢様」
「あ、おはようせっちゃん」

相変わらずのぽやぽやした調子とのんびり気味の口調。
首を傾げたその拍子に揺れる黒髪を見るたび、知らずの内に表情が崩れて行く。

これではダメだと顔を引き締めても、
こんこんと胸の内から柔らかな暖かい感情は終りなくとめどなくせり上がってきて。
なんでもないような朝が愛しいのは教室での朝の挨拶が輝いているのは、
昨晩の夢見が良かっただけの理由で。

フロイト学士が聞いて呆れる位の、単純な夢の内容で。
ユング学士が聞いて眉をしかませる位の、明快な夢の内容で。

ただ、目の前で朗々と笑う木乃香お嬢様が私の夢に出てきた。
微笑んでくれた。名前を呼んでくれた。それだけのことで。

401 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 22:04:51 ID:VSz4jt1P
それでも「それだけ」と割り切れるほど、どうやら私もまだまだ大人じゃないみたいで。
修行が足りない、と内心苦笑いを漏らしつつも
起き抜けのせいか、頬に篭もる熱のおかげで、ここは夢の続きなのかと、
まだ私の体は床に伏しているのかと錯覚してしまう。

「ん? せっちゃんどないしたん?」

訝しげに聞いてくる木乃香お嬢様の声のトーンと
学園内に咲き誇っている金木犀の花の香りと
教室内のリアルな喧騒とかが、これは現実であると言ってはいるのだけれど。

それでも。

「え、あっ、いえ。大丈夫ですよ。……それにしてもお嬢様。嬉しそうですね」

まるで私の感情が伝播したかのように、
見る物全てに幸せを振りまくかみたいに笑う木乃香お嬢様の顔が
また私を夢見心地の世界へと誘うんです。

この瞬間だって、ほら。

「せっちゃんこそ」
「あ、はい」
「せっちゃんが嬉しそうやとウチも嬉しいえ〜」
「え、あ……う、お嬢様、どうしてそんなに嬉しそうなんですか……?」

402 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/10/08(日) 22:06:49 ID:VSz4jt1P
私が何気なく会話の流れにそって聞いた質問に、
木乃香お嬢様はまたはにかんだように笑って。

今でさえこれ以上ないってくらいに幸せな私を、
有頂天のまた先に連れて行ってくれる。


「あのな、今日の夢にせっちゃんが出てきたんよ」

終わり

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