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799 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/31(日) 21:38:34 ID:1iJH9AqG
1/5

「せっちゃん、この辺のプリントはどうするん?」
「そうですね…… もう必要ないでしょうから捨てていただいていいですか?」
「りょーかいや!」

 現在、私はお嬢様に手伝っていただいて部屋の大掃除をしている。
 本来なら主であるお嬢様にこのようなことを手伝ってもらう事などあってはならないのだが……

 お昼をご一緒した際に大掃除がまだだと私が口を滑らせたのがいけなかった。

 数刻前、私がお嬢様達の部屋でお昼を頂いている時の事。
 お嬢様が何気なく発した言葉から始まった。

「そういえば、せっちゃんは大掃除終わっとるん?」
「あ、いえ、今年はまだ…… 仕事が立て続けに入ってしまったもので…… ですから、今日の午後にでもやろうかと思っています」
「そうなん? なら、ウチが手伝ったげるえ」

 満面の笑みでお嬢様が手伝いを申し出てくれた。
 しかし、お嬢様のお手を煩わせるわけにはいかない。

「え、いえ、そんなつもりじゃ…… 大掃除ぐらい私一人でも大丈夫ですから」
「むぅ…… それでもウチは手伝うえ。 せっちゃんいつも頑張りすぎなんやから少しは楽せな」
「このかが手伝うなら私も手伝おっかな」

 お嬢様の手伝いを断るのに失敗。 続けて明日菜さんまで……
 しかし、そこへネギ先生が声を掛けた。

「明日菜さん、午後は宿題やるんじゃなかったんですか?」
「そうやえ。 アスナ今日の午後はネギ君に勉強見て貰う言うてたやん。 ちゃんと勉強せなアカンよ?」
「うぅ…… 分かったわよ。 ごめんね、刹那さん手伝えなくなっちゃった」
「いえ、お気持ちだけで嬉しいですよ。 それに本来なら一人でやる予定でしたし」

800 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/31(日) 21:40:28 ID:1iJH9AqG
>>799
2/5

 お昼のやりとりからお嬢様に手伝っていただいたお陰でもう少しで大掃除は終わりそうだ。
 そんな時、不意にお嬢様から声が掛かった。

「せっちゃん、さっき片してる時にこれ見つけたんやけど、後で見てもええ?」
「どれですか?」

 お嬢様の手には少し古ぼけたアルバムが握られていた。

 あれは……
 あのアルバムは私の宝物。
 人に見せるような物ではないが、お嬢様になら見せてもいいかな……

「でしたら、少し休憩しますか? お嬢様のお陰でもう少しで大掃除を終了できそうですし」
「ホンマ? じゃ、さっきの少し見てもええ?」
「ええ。 私はお茶を用意してきますのでご覧になっててください」

 私がお茶とお菓子を持って戻ってみるとお嬢様は真剣な表情でアルバムを見ていた。

 あのアルバムの中身は私が京都から麻帆良に来る時に封印したこのちゃんとの楽しかった思い出……

 ふと、先ほどから真剣にアルバムを眺めてるお嬢様がずっと同じページを見ていることに気付いた。
 何か気になる写真でも見つけたのだろうか……?

「お嬢様、何か気になる写真でもありましたか?」

 心当たりが浮かばなかった私はとりあえず訊ねてみる事にした。

「な、キス……してもええ?」

801 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/31(日) 21:41:16 ID:1iJH9AqG
>>800
3/5

 え……

「ええええええええええええええええええええ」

 返ってきた言葉は私の問いの答えとしては程遠いものだった。
 お嬢様の意図が掴めなかった私はお嬢様の手元にあるアルバムを覗き込んでみた。
 開きっぱなしのそのページには、小さい私とお嬢様の姿が写っている。
 その写真の私はお嬢様にキスされて顔を真っ赤に染めていた……
 場所はほっぺただが。

 今のお嬢様の発言はこの写真を見てのことだろう……

「そこまで驚かんくても……」

 残念そうなお嬢様の声で私はお嬢様に視線を戻した。
 そして視線は自然とお嬢様の唇へ……
 って、私は何を考えているんだ!
 お嬢様はあの写真を見て言ったのだからほっぺたに決まっているじゃないか。

「す、すみません! あまりに唐突だったもので……」
「いや?」

 節度は守らなければいけないと思う。
 けど、ほっぺたぐらいなら……

「いえ、そんなことは…… 本当に吃驚しただけですから」
「じゃ、ちょっとだけ目瞑ってな」

802 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/31(日) 21:42:05 ID:1iJH9AqG
>>801
4/5

 ほっぺたなのに? と思ったが、ほっぺただろうと目を開けてる状態ではやりにくいだろうと納得して私は目を閉じた。
 頬に来るはずの感触はいつまで経っても訪れず、代わりに唇に何かが触れた。
 吃驚した私はつい目を開けてしまった。
 目の前には目を瞑ったお嬢様の顔。
 恥ずかしさのあまり再度目を閉じた。

 顔が熱くなるのがわかる……
 脈がどんどん速くなるのが分かる……
 頭が真っ白になっていくのが分かる……

 唇に触れる感触が無くなり、私は目を開ける。
 目の前には照れくさそうに微笑むお嬢様。
 その笑顔を見て、私の顔にまた熱が集まってくる。
 真っ赤な顔をお嬢様に見られたくなくて、自然と俯いてしまった。

「あ、やっぱ唇は嫌やった? ウチつい…… ごめ」
「い、いえ! そんなことありません! むしろ、その…… うれしかったですし……」

 私は、お嬢様の言葉を途中で遮った。
 お嬢様はきっと『ごめんな』って言おうとしてたから……
 ただ、言葉の後になるにつれてどんどん声が小さくなっていってしまったが。

803 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/12/31(日) 21:42:52 ID:1iJH9AqG
>>802
5/5

「その…… なに? 聞こえんかったよ」

 一応、建前とはいえお嬢様に女の子同士のキスはダメと言ってしまっている手前、素直に嬉しいとは伝えられない。

「な、なんでもありませんよ。 と、兎に角、大掃除終わらせちゃいましょう」

 不思議そうな顔で私の顔を覗き込むお嬢様に更に動揺しながら無理やりにかごまかす。

「そんな急がんくても後ちょっとやし、すぐ終わるえ。 せやからお茶飲んでもう少しゆっくりしよ?」
「え…… あ、はい」
「でも、良かった。 せっちゃん女の子同士でキスするんはアカン言うてたから……」
「ただし、誤解はしないで下さい。 やはり節度は大切ですから」
「ウチは気にせんのに」
「私は恥ずかしいので…… 私とお嬢様だけの秘密ですよ?」
「じゃあ、誰にも言わんかったらまたしてもええ?」
「ええ。 二人きりの時ならいつでも」

 結局、私もお嬢様とキスしたかったのかな。
 そうだ、次は私からお嬢様に……

-end-

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