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619 名前:1/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:31:37 ID:r7voAtLM
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時刻は早朝。
グラウンドからは朝練をしている運動部の声が聞こえている。
しかし、まだ生徒の登校して居ない校舎内は、グラウンドとは比べ物にならない位静かだった。
そんな静かな廊下に二人分の足音が響く。
周りに誰も居ないことを良いことに刹那の手を握って楽しそうな木乃香と、対照的に元気が無さそうな刹那。
二人がこんな朝早くに登校しているのは木乃香の祖父であり、この学園の学園長を勤める近衛門に呼び出されたから。
二人はその用事を済ませ、教室へ向かっているところだった。
「あぁ〜… たしか、今日の一時間目は世界史でしたよね……」
「朝からまた寝ちゃうん? この前は次の休み時間まで爆睡やったもんね〜」
「日本史は平気なんですが世界史はどうも…… い、いえ、違うんですよ! 寝ちゃってたのは、前の晩仕事で寝るのが遅くなってしまったせいでして」
刹那が必死に言い訳をしている間、木乃香は空いている手で携帯を操作していた。
そして木乃香は満面の笑顔で刹那に携帯を見せる。
「ほらほら、その時のせっちゃん! よだれ垂らして超かわええ〜」
木乃香の持つ携帯の液晶ディスプレイにはよだれを垂らして居眠りをしている刹那の寝顔が映っていた。
「いやいやいやいや、写メとかありえないですよお嬢様! あれ…… でも何でお嬢様がこんなの持ってるんですか……」
携帯に映る刹那の寝顔はどうみても近くから撮られたもの。
席が離れている木乃香にこんな写真が撮れるだろうか? と刹那は考える。
「もしかして…… 釘宮さんですか……?」
「ピンポーン! せっちゃん良う寝とるみたいやったから、くぎみーにお願いして撮って貰ったんよ」
「釘宮さんに何やらしてるんですか…… まったく……」
人前で寝るなんて気がたるんでる証拠かな…… と刹那は居眠りした事を反省した。
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620 名前:2/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:32:09 ID:r7voAtLM
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「とにかく、ちゃんと消してくださいよ……? それ」
「えぇ〜… しゃ〜ないなぁ……」
刹那に言われ木乃香は仕方無さそうに携帯を操作する。
「はい」
ブブブブ……
木乃香が携帯の操作を終了させると同時に刹那の携帯が震えた。
「あ、メールみたいです。 少し失礼します」
刹那は木乃香に一言断りの言葉を告げてから携帯を開いて新着メールの内容を確認した。
差出人は今真横に居る木乃香。
メールに本文はなく、刹那の寝顔画像が添付ファイルとして送られてきていた。
「って、何でわざわざ画像送ってるんですか…… もう……」
刹那は今しがた送られてきた自分の寝顔画像を削除した。
「あ、明日菜とか他の皆にも送っといたから、ウチとせっちゃんのが間違って消えても大丈夫やえ」
「……」
「…… せっちゃん? ちょい手ぇ痛いよ……?」
「すみません、つい力んでしまったみたいです」
引きつった笑顔の木乃香に対して、刹那は珍しく怖いぐらいの笑みを顔に張り付けていた。
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621 名前:3/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:32:50 ID:r7voAtLM
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「それで本当に送ったんですか?」
刹那は手の力を抜き、木乃香に真面目に聞いた。
「う、嘘やえ〜…… せっちゃん、ごめんな〜」
「このか先輩、桜咲せんぱーい!」
二人がそんなやり取りをしていると、不意に声を掛けられた。
声を掛けられたその瞬間、木乃香は繋いでいた刹那の手を離した。
「え……?」
普段は、周りの目を気にする刹那が先に手を放すのに。
木乃香のその行動に驚いた刹那は小さく戸惑いの声をあげてしまった。
声を掛けてきたのは、木乃香と同じ占い研に所属する一年生だった。
「おはようございます」
「おはよ〜 山神さん」
「もう、咲でいいですよ。 このか先輩」
「あ、ゴメンなぁ。 まだ呼び慣れとらんから……」
和気藹々と楽しそうに話す二人の姿を静かに見つめながら、刹那は数日前の事を思い出していた。
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622 名前:4/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:33:24 ID:r7voAtLM
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占い研の活動がある日、刹那はいつも通り木乃香を迎えに行った。
図書館探検部の日は、夕映、ハルカ、のどかの3人と一緒に寮まで帰るのだが、占い研の日は違う。
部長の木乃香は部室の片付けやら戸締りをしてから一人で帰る事が多かった。
護衛の刹那がそれを良しとするはずもなく、修学旅行から帰ってからは刹那が迎えに来るのが当たり前になっていた。
「失礼します」
「あ、桜咲先輩! もうそんな時間ですか?」
刹那が部室に入って来たことに気付いた占い研の一人が話しかけてきた。
刹那はいつも同じ時間に迎えに来る。
その為、部員達の間では、刹那が迎えに来る事がある種時報の様なものになっていた。
刹那の登場により、片づけを始める部員達。
しかし、その中に目的の人物が無い事に気付いた刹那は、さっき話しかけてきた部員に聞いてみた。
「あの…… 近衛さんは?」
「部長なら、咲と一緒に図書館島に占いの本を返しに行ってますよ」
「咲…… さん?」
「一年の山神咲。 最近、部長と仲良いんですよ」
「そうそう、良く二人っきりで何か話してるんですよねー。 もしかして近衛先輩告られてたりしてー」
いつの間にか、刹那達の話にもう一人別の部員が加わっていた。
「わっ! バカ、桜咲先輩の前で何言ってんの! あ、桜咲先輩、今のはこいつの勝手な妄想ですから気にしないで下さいね」
最初から刹那と話していた部員が、後から話しに割り込んだ部員の発言を慌てて訂正した。
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