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623 名前:5/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:34:15 ID:r7voAtLM
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その時は刹那自身も気にしていなかった。
しかし、木乃香は咲の登場で刹那の手を振り解いた。
それが何を意味するのか……
刹那はそれを察してしまった。
その日の夜、木乃香と刹那の二人は近衛門の屋敷の客間に居た。
二人の間に溝ができてしまったのは、自分達魔法関係者が木乃香にその存在を隠していた為。
そう考えた近衛門は、木乃香の祖父として、少しでも早く二人の溝が無くなる様に気を使っていた。
早朝の近衛門の用事というのが、「用事があるから放課後わしの屋敷まで来とくれ」というものだった。
その言葉通り、二人で近衛門の屋敷に行ったところ、何故かそのまま泊まる流れになってしまったのだ。
二つあるベッドのうち、一つはもぬけの空。
そしてもう一つのベッドからは楽しそうな話し声。
「ひゃっ」
「せっちゃんの足ぬくぬく〜」
「いえ、ぬくぬくじゃなくて、靴下履きましょうよ靴下」
「嫌やえ〜 せっちゃんの足がええの」
言いながら木乃香は刹那の足に自身の足を絡める。
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624 名前:6/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:35:15 ID:r7voAtLM
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「あ、あの…… お嬢様。 やっぱり一緒に寝るの止めません?」
「足ひゃっこい……?」
「いえ、そういうんじゃないんですが……」
どこか言い難そうにしている刹那に木乃香は寂しそうな顔をする。
「せっちゃんがそうしたいん?」
「はい……」
「ホンマに?」
「はい……」
「そか…… なら、しゃーないなぁ……」
木乃香はそう言ったが、同じベッドで寝る事は譲る気が無いらしく、絡めていた足を解いてそのまま目を閉じた。
「おやすみ、せっちゃん」
「おやすみなさい……」
その日を境に刹那は木乃香と距離を置いた。
以前のように、木乃香から逃げるような事はしない、話しかけられれば普通に会話をする。
しかし、必要以上に木乃香に近づくことはしなかった。
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625 名前:7/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:35:52 ID:r7voAtLM
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刹那が木乃香から距離を置き始めてから数日が経ったある日。
占い研の活動がある為、刹那は木乃香を迎えに占い研の部室へ向かった。
「失礼します」
いつものように刹那は部室に入る。
部室の様子は日によって違う。
この前のように、活動中で賑やかな部室。
それとは対照的に、木乃香一人しか居ない静かな部室。
今日は後者だった。
木乃香は窓際に佇み、静かに入り口に立っている刹那を見つめていた。
「すみません、お待たせしてしまいましたね」
話しかけるが、木乃香はその場から動こうとしなかった。
「どうしたんですか、お嬢様? 早く行きま」
「行かんといて! どこにも行かんといてよ、せっちゃん!」
「このちゃん……?」
只ならぬ雰囲気に、刹那は知らず知らずのうちに昔の呼び名を呟いていた。
「ずっと…… 一緒なんやから…… これからはずっと一緒なんやから…… ウチが一番せっちゃんの事、好きなんやから!」
今の木乃香に普段のはんなりとした雰囲気は全く無かった。
泣きながら、ただ、必死に刹那に自分の思いを伝えようとしていた。
その気持ちが通じたのか、刹那の目からは一筋の涙が流していた。
「…… 私も…… 私もこのちゃんが一番好きです…… でも山神さんのこと……」
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626 名前:8/8[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 18:36:32 ID:r7voAtLM
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「え? 何のこと?」
「え…… だって、お嬢様は山神さんと付き合って……」
「そんなんありえへんよ。 だって咲ちゃんはせっちゃんが好きなんよ? …… あれ? せっちゃんは咲ちゃんと付き合う為にウチから離れたんとちゃうの?」
それを聞いた刹那は木乃香に駆け寄ると少し乱暴に木乃香の頭を固定して、木乃香の目を見つめた。
「話して下さい! 全て」
「話すも何も…… 咲ちゃんからせっちゃんと仲良うなりたいから協力してってお願いされて、せっちゃんのこと色々教えてあげてただけやえ……」
刹那の行動に動揺しながらも、木乃香は自分と咲の関係を話した。
刹那は木乃香の行動を思い出す。
学校の廊下で木乃香が刹那の手を振り解いた時を。
咲の思いを知っている木乃香が、咲を気遣ってやったのだとしたら?
咲の思い人を刹那に置き換えても特におかしなところは無い。
「え、じゃあ山神さんとは何も……?」
「そんなことウチ言った?」
「言ってません……」
「アハハ、うちらお互いに勘違いしてたんやね」
ついさっきまで涙を流していたのが嘘のように木乃香は笑い出した。
それに釣られる様に刹那も笑い出す。
「ほな、帰ろうか」
木乃香は自然な動作で刹那の手を握る。
それに応えるように刹那は優しく木乃香の手を握り返した。
「もう、絶対に離しませんからね」
-end-
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