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969 名前:黒猫耳のタンゴ ◆K1z/mB9tDA [sage] 投稿日:2005/12/14(水) 19:40:37 ID:ixbwH/ps
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「……お嬢様?」
お嬢様の背中を優しく撫で付けながら、語尾のイントネーションを少しあげて、問う。嗚咽は聞えてこない。ただ無言で、抱きつかれている。
珍妙で奇妙な光景だ。
大太刀持った女の子が、猫耳つけた女の子に抱きつれていると言う、何とも奇妙な… ……ん、耳?
…………猫耳?木乃香の頭の上でぴくぴくと動く"それ"
「…………」
衝動。
「………てりゃ」
背中を撫でていた手をそろりそろりと上へ移動させて、其の掛け声と共に触れてみる。裏側を擦るように撫でる。
さらさらとした毛並みを肌で感じながら、ぴくんっ。と反応する両耳に思わず顔が緩んだ。
「うっひゃぁ…っぁ……!」
木乃香がこしょばさからか、身を捩る。ということは、一応神経が通っているということ――直に生えてる、ということか…?
そう考えている最中も、手の中で弄ぶ綺麗な毛並みの猫耳。触り心地は最高で、手の中ですべるような柔らかさを持っている。ふにふにと、出来るだけ優しく触る。
「せっちゃ…っんッあかんって……!やっ…堪忍やぁっ…」
あえて聞き流す。
「っぁ、だからアカンって!せっちゃぁ―― っ!」
痛っ、と木乃香がその声と共に片目を瞑った。その声が耳に届いた瞬時、刹那は我に返る。
ほぼ同時に手を止めた。いや、止めたのは手だけではないらしかった。人間ならば常時張り巡らせなければならないはずの思考も止まっていた。
それは別に先刻の木乃香の発言ではなく――いや正確には木乃香の発言である事は間違いは無いのだが――
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970 名前:黒猫耳のタンゴ ◆K1z/mB9tDA [sage] 投稿日:2005/12/14(水) 19:41:27 ID:ixbwH/ps
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「好きなんやねぇ、猫耳」
ニヤニヤと。意地の悪そうに笑われた。悪代官。れ?握られた?……弱み?
「わざと痛がったんですか!?」
「そうでもせんとやめてくれへんかったやろ?」
不服そうに木乃香は言う。
「…………」
正論なので反論できない。反論したとしても上手い切り替えしでこちらがよけい窮地に落ちいることになる。ジーザス。
「申し訳ありませんでした」
「え。あ、別にそんな真面目に謝らんでええよ〜」
「――まあ、ともかく……これは?」
そう言って、猫耳を撫でた。ひゃうっ。と木乃香が短い声をあげる。
「んー…ウチもようわからんくてなぁ…朝起きたらこんなんなってて、どうすればええんかよーわからんくて……」
はう。とうな垂れた後、木乃香は腰に回していたままの腕を解いた。少し解放感を覚える。
「で、私に……?」
「うん。もう何や何かわからんくて、あ。そや、せっちゃん! って…なし崩し的に」
面を食らったような顔をしたのだろう。はは、と刹那の顔を一瞥した木乃香が苦笑いを漏らした。
「――あー……なんといいますか」
軽くどもる。――正直なところ、嬉かった。
一番に自分が浮かんだこと。頼ってくれたこと。
「でも、朝起きたら。って…?」
「だーかーらー…ウチも解らんのよ。修学旅行終ってホッ、として寝た時にこれやもん……」
手がかりなし。
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971 名前:黒猫耳のタンゴ ◆K1z/mB9tDA [sage] 投稿日:2005/12/14(水) 19:42:42 ID:ixbwH/ps
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少しは解凍して来た頭で刹那は考える。
先刻から愛らしい動きでぴくぴくする猫耳。それからは、気のような流れは感じられない。
――――ともすれば。魔法関連の事柄か…?
思考を磨耗させながら刹那は回転数を上げていく。この問題の解答を、適切にしてくれる人物は誰なのか。
「――あ」
何秒かの黙考。その時にフラッシュバックのように脳裏に過ぎった人物。
浮かぶ風景は、数日前の修学旅行の夜の事。あの時見たあの驚異的な強さと豊富な知識を持ってすれば――あるいは
「お嬢様、ともあれまずは原因を調べるのが先決です」
「うん、まあ。そやね」
同意。
「きっと力になってくれる人がいますから――まずは外に出ましょう!」
今思いつく限りの、最も良いアイディアを提案して、立ち上がる。
「うん! ……あー……」
威勢の良い返事から、段段と言いよどむ木乃香に「?」と疑問符を浮かべると、
たはは。と照れたような笑いが帰ってきた。
「……着替えさせてくれん?」
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