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AM ◆NefofEqi5k 氏
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180 名前:AM ◆NefofEqi5k [sage] 投稿日:2006/01/08(日) 04:56:12 ID:12+P4Dya
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あの頃の私は、ただ一緒に眠ってくれる人がほしかったんだ。
ただ一緒に手をつないでれるひとがほしかったんだ。
バチンと乾いた音が部屋に響く。
「お前が悪いのよ!そうお前が!」
3才になるかならないかの少女をたたきながら女の人は言う。
少女の体は節々が変色していてやせ細っている。
「あんたが生まれてきたせいでお前の兄も、そして私も父さんも!どんな惨めな生活してるかわかってるの?
そのあんたの背中のそれが何だか分かるの?そうだよあんたあんたのせいで何もかも!」
女の人は少女を蹴り続ける。少女は胃液を吐きながら泣き叫ぶ。
「あぁ……あんたのせいで床が汚れたでしょ!ほら早く拭きなさい」
少女……もとい刹那に雑巾を投げつけ女の人は去って行った。
げほげほと血を吐きながら刹那は床を拭き続ける。
そこを通りかかった刹那の兄は、見てみぬふりをして部屋に戻っていった。
あぁ誰も助けてくれない、味方は誰一人いないとそう思ったのかとめどない涙があふれていく。
顔がくしゃくしゃになりながらも床を拭き、涙と血を服の袖で拭く。
床を拭き終わると雑巾を直し、ソファがあるのにもかかわらず立つ。何をするわけでもなくただ立つのだ。
昔お母さんに言われたのだ。お前はくつろぐ資格なんて無いよ!立っとけば良いんだって……
それからだったか。刹那が座らなくなったのは……
刹那の頼みのつなはお父さんだ。帰ってくればお母さんは刹那に何もせず、ちゃんとご飯だって食べさしてくれた。
それにお父さんだけは刹那を抱きしめ、頭をなでるような差別の無い人だったからだ。
もちろん帰ってきたら手を上げて喜びたいほどだったがでもしなかった。
もしそんな事でもしたら後でお母さんに何をされるか分かったもんじゃなかったからだ。
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181 名前:AM ◆NefofEqi5k [sage] 投稿日:2006/01/08(日) 04:57:02 ID:12+P4Dya
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「ただいま」
ガラッと戸が開く音が鳴った。
刹那は心の中で助かったとため息をする。が、体は一cmmも動かさない。
「刹那ただいま……大丈夫だったか?」
お父さんは刹那の頭をなでながらかがみ、目線をあわせて聞いてくる。
刹那は何も言葉にせずうなづく。
「よかった……もし何かあったらすぐに言うんだぞ?分かったな?」
また何も言わずお父さんの目を見つめながらうなずいた。
それを見てお父さんは微笑むと立ち上がり手を出した。
「今日もまた何も食べさしてもらってないんだろ?さぁ無くなるうちに食べに行くぞ」
刹那はお父さんの手を握った。強く強く。
もう二度と離さないとそう思わせるような強さだったがお父さんは痛がらず刹那に顔を向けた。
「大丈夫。オレはずっとここに居るから。いつか二人でこの家、いやこの村を出ような?」
刹那が不安そうな顔をした時よく言う言葉。でも小さな刹那にはとても大事な言葉。
その言葉を言うたびに刹那はニコニコと年相応した笑顔を見せた。でもこの笑顔はお母さんの居ない所での事に限っていた。
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182 名前:AM ◆NefofEqi5k [sage] 投稿日:2006/01/08(日) 04:58:04 ID:12+P4Dya
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ご飯の匂いがするとお腹がキュルッとかわいらしい音を立てた。
昨日の晩ぶりのご飯だ。のどから手が出そうになるほど刹那はご飯を欲した。
「いただきます」小声ながらも確かにそう言ってご飯に手をつける。
明日の朝も昼もご飯は食べれないと知っているため出来るだけ多く、腹持ちのいいものばかりを食べた。
そしてお母さんと一緒に居たら何をされるか分からない為、ご飯を食べ終わってもお父さんがご飯を食べ終わるのを待ち続けた。
お父さんはご馳走様というと立ち上がり、刹那を抱き上げた。
「明日は早いんだ。弁当頼んだよ」
「分かりました」
刹那はお母さんと目を合わせないためお父さんの胸に顔を埋める。
そして、今は刹那とお父さんの寝室へ行くのを待つ。
刹那をお母さんが虐待していると知ったお父さんは寝室からお母さんを追い出して刹那と寝ると言ったのが始まりだった。
お父さんは刹那を抱いたまま寝室に連れて行った。そして歌うのだ。子守唄を……
そして刹那が寝たと思ったらまた居間に戻り、お母さんともめるのだ。
もめる理由は何時も一緒で刹那のこと。
どうしてあの子を虐めるんだとお父さんが聞けばお母さんはあの子が悪い子だからだという。
そんなことがずっと続き、ついに今日決着がついた。お父さんが負けてしまったのだ。
お父さんとお母さんは離婚をしてしまうという事になった。刹那の面倒はなぜか刹那をけぎらっていたお母さんが引き取ることになった。
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183 名前:AM ◆NefofEqi5k [sage] 投稿日:2006/01/08(日) 04:58:37 ID:12+P4Dya
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そしてその日の夜。お父さんは布団で寝ている刹那を起こした。
「すまん刹那。父さんと母さんは離婚することになった…… だがお前を母さんに取られたんだ。明日からはもう会うことは無い……」
お父さんは肩を落として自分に言い聞かせるよう言った。
「いやや!うちお父様と一緒に居るんや!約束したやん。一緒に村出るって……」
誰に対しても敬語を使うようにお母さんに言われていたのにそんな事は忘れ方言丸出しで叫ぶ。
いややいややとずっと言い続けた。
じたばた暴れる刹那をお父さんはそっと抱きしめた。
「ごめん…… 隙があれば、いつか必ずお前を助け出してやるから」
刹那は泣き疲れたのかお父さんの胸でいつのまにか眠りについた。
刹那が起きた時にはそこにはもうお父さんは居なかった。
お父さんの物はもう何もなかった。
その日から何時も以上に虐待された。
やせていた体も今は骨と皮しかない。
夜もご飯は食べさしてもらわなくてもうご飯を最後に食べた、お父さんが出て行った日から6日たった。
もう喋ることも立っていることもちゃんと出来なくなってきてしまっている。
あぁ自分は死ぬんだ。信じていたお父様も居なくなった。一緒に村を出るって言う約束も破られた。
刹那は自分の中から希望がなくなっていくのを他人事のように感じていた。
だがふと刹那は思った。そうだ逃げ出そう。行動に移さないで死ぬより移して動いたほうがいい!と
刹那はその日すぐに行動に出た。
震える足を押さえつけながら走った。器用に音を鳴らさず戸を開けたおかげでお母さんたちは気付いてない。
羽を広げて以来の外……
刹那の羽根が白いと知る前はお母さんは刹那をとても可愛いがっていた。
そう2才6ヵ月になる前は……
烏族は2才6ヵ月になるとやっと羽を広げる。その時に知ったのだ。自分は他の人と違い白い羽だと。
その時はお母さんもお兄ちゃんもそしてお父さんでさえもびっくりするような顔をした。
お父さんが少し考えさしてくれと席を立った瞬間、お母さんは変わった。
刹那を殴りこういったのだ。
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184 名前:AM ◆NefofEqi5k [sage] 投稿日:2006/01/08(日) 04:59:27 ID:12+P4Dya
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「あんた……白い羽ってどういう意味か知ってる?白い羽の家族はどんな目にあうか知ってる?」
その日から刹那の日々は変わった。
ご飯はまともにもらえず。殴られ続けた。
外にも出してもらえず、一日中立たされた。
外にやっと出られた感激と、お母さんから逃げられた喜びで心の中がムズムズと、なんと言って良いか分からない感情が刹那に生まれた。
走るたんびに喜びがあふれていく。
「ははは」
枯れた声で笑う。体中が震えているのなんてお構いなしにただ走り続けた。
するとお父さんが刹那の前に立っていた。
「刹那……」
お父さんはポツリとつぶやくように言った。
刹那は6日ぶりにあったお父さんに感動にも似た思いを持ち。お父様に走って抱きついた。
「お前どうしたんだ?前会ったときよりやせたよな。もしかしてあれから何も食べさしてもらってないのか!?」
刹那がうなずくと、お父様は抱き上げお父さんの家へ連れて行ってくれた。
いっぱいのご飯を食べさしてもらった。最初のうちは久しぶりのご飯で体も受け付けなかったが今は何とかのどを通るようになった。
ご飯を食べながら逃げてきた事情やらを説明した。
「逃げてきたんだったら母さんはここに来るなぁ……」
お母さんの名前が出た瞬間刹那は身震いする。
それを見たお父さんはウインクして見せた。
「約束してた通り。二人で村を出よう」
そう言ってお父さんは家を出る準備をし始めた。
これからについても話をした。
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