|
<< 前頁
◆VENk5mkP7Y 氏
次頁 >>
|
|
182 名前: ◆VENk5mkP7Y [sage] 投稿日:2006/07/31(月) 17:52:24 ID:dc5zzJEZ
|
なんだろう、この状況。
目が覚めて一番最初に脳が言語化したのがこの台詞だった。
なんだろう、と言うか、第一…ここはどこだ?
首を横に傾けると見慣れない書院造の壁があった。
表紙にミミズ文字を這わせた和本が、壁に取り付けられた棚に並んでいる。
京都出身の私でさえ書籍でしか見た事のない物が点在する部屋だった。
高級旅館になら置いてありそうな見事な生け花や、一目見ただけで高価だと誰もが思うであろう、鶴が描かれた掛け軸。
一般庶民では足を踏み入れる事さえ難しそうな調度品を備えている。
問題はどうして私はんな身分不相応な部屋にいるのか―という一点に集中する。
記憶を辿ろうと目を瞑ってみたが、現れるのは障子を透かして映る朝日だけ。
状況判断を諦め、心持ち上げていた首を枕にドサッと戻した。
|
|
183 名前: ◆VENk5mkP7Y [sage] 投稿日:2006/07/31(月) 17:55:04 ID:dc5zzJEZ
|
ここはこの場所がどこなのか真剣に考えるべき場面である筈なのだが、嫌な感じの頭痛がその選択を放棄させる。
何故頭が痛いのか、体がだるいのか、全くもってわからない。
とりあえず私が把握しているのは今自分が横たわっているのが布団である事、現時刻は朝らしい、という事のみである。
(―知らない天井だ…)
白い天井をぼんやり見つめながら、そんなどうでもいい事を呟いた。
―静かだった。
どれくらいそうやってぼんやりしていたのかわからないが、私はある種の違和感を覚え視線を天井から下にずらした。
|
|
184 名前: ◆VENk5mkP7Y [sage] 投稿日:2006/07/31(月) 17:57:13 ID:dc5zzJEZ
|
起きたばかりの時は部屋の片側―棚がある方だ―しかみていなかったから、違和感には直ぐに気づかなかった。
第六感とも言うべき感覚に従い、視線を右に移す。
誰かが布団に横になっている。
あの小さな背中は…
見間違う筈もない。
隣に敷かれた布団、そこにはお嬢様がすやすやと気持ち良さそうな寝息を立てて眠っていた。
―裸で。
|
|
194 名前: ◆VENk5mkP7Y [sage] 投稿日:2006/08/02(水) 23:23:21 ID:ZV6cpAsm
|
「や…っ、私お酒は…
み、未成年なんですよっ?!」
「えーやんそんなんー
今のせっちゃんはハタチモードなんやから呑んでもえーんよ?」
必死で断る私を気にする様子はこれっぽっちも見られない。
第一ハタチモードって何ですか?!
酔っ払っているのは確からしい、言っている事が支離滅裂だ。
「そ、そうゆう問題で…
―むぐッ?!」
柔らかい感触と共にアルコール特有の匂いと味が流れ込む。
―口移し、で相違ない。
んぐ、と喉を鳴らしてアルコール成分が私の中に吸収されていく。
…お世辞にも美味しいとは言えない…かな…
でも酔っ払ってるとは言えキ、キ、キスしてしまったのはラッキー…なんて…
「あはは〜、せっちゃんよーやっと呑んだなぁ〜」
頬を紅くしながら、お嬢様がグラスをブランデーの琥珀色に染めていく。
ちょっと待て。
まだ呑む気なのですかあなたは?
|
|
<< 前頁
◆VENk5mkP7Y 氏
次頁 >>
|