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108 名前:風邪?[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 02:42:42 ID:e082x65G

「うぅ・・・・」

全校生徒が登校している最中、桜咲刹那は一人で寮に残っていた。
季節外れの風邪・・・・というのには、ずいぶんと長引いている。
インフルエンザかもしれないということで、一緒に暮らしている寮友もこの部屋にはいなかった。

「昨日と同じ、38度越えか・・・・さすがに辛い、な・・・・」

頭痛と気だるさも重なり、刹那は辛そうに身を起こした。
水分はしっかりとっている。
しかし食欲は沸かなかった。
薬も飲む気になれない。
いや、飲めない。

(よくこんな得体の知れないもの飲めるよな・・・・)

生理的に受け付けないというよりも、トラウマだ。
刹那を半妖と知らなかった道場の使用人は、熱を出した刹那に道場秘伝の漢方薬を飲ませた。
しかしその漢方薬には、妖怪にとって猛毒だった薬草が使われていたのだ。
人には"癒"、妖怪には"毒"。
そういった秘伝の薬だった。
半妖の刹那には"毒"の部分が作用してしまったのである。

(この薬にだって何が入ってるかわからない・・・・飲めるものか)

そういって刹那は薬の箱をゴミ箱に捨てる。
龍宮が用意してくれたものだが、刹那は受け付けなかった。
薬を飲まない主義だと知っているくせに、勝手に用意するほうが悪い。

「・・・・寝よう」

とにかく今は寝るしかない。
そう判断した刹那は水分だけを取り、また布団に倒れこんだ。

109 名前:風邪?[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 02:43:15 ID:e082x65G

*

「・・・・せっちゃーん?」

刹那が寝静まった後、龍宮から刹那の様子を聞いた木乃香が部屋に訪れた。
寝ていたら起こしてはいけないと思い、静かに部屋に踏み入る。
案の定、刹那は眠りについていた。

「・・・・あー、薬捨ててあんな・・・・」

どうやら木乃香は、龍宮に刹那の様子を色々聞いてきたようだ。
そしてその龍宮の忠告通り、ゴミ箱には薬が捨てられていた。
木乃香はそれを拾い上げ、中身を確認する。

「封も開けとらんやんか・・・・ほんまに薬嫌いなんやなぁ」

魔法医療関係の所からもらってきた薬なので、毒はもちろん入っていない。
龍宮もそう伝えてはいたようだが、刹那は聞き入れなかったようだ。

「ご飯もまともに食べとらんようやね・・・・しゃーないなぁ」

素直かと思えば、妙な所で頑固な幼馴染。
台所などを見回し、刹那の現状を把握した木乃香はため息をつく。

「ほな、はじめよか」

木乃香は誰に言うでもなく呟くと、腕まくりをして台所へと向かっていった。

*

110 名前:風邪?[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 02:43:56 ID:e082x65G

――トントン

「・・・・ん・・・・?」

台所から聞こえる包丁の音で刹那は目覚めた。
一人だったはずなのに人の気配・・・・・いつもなら不審に思って飛び起きる。
だが熱で倒れている状態の刹那には、その気力さえなかった。

(・・・・誰だろう・・・・)

うっすらと目を開けて、まず最初に窓の外を見る。
もうすっかり陽は高い。
ずいぶんと寝ていたのだろう。

(・・・・で、誰だ・・・・龍宮・・・・?)

ゆっくりと身体を起こし、同じ空間にいる人物を確認する。
熱のせいか気で探る事は不可能だった。
しかし不思議と不安感はない。
そのまましばらく台所の方を見ていると、その視線に気付いたのか使用者がひょこりと顔を出した。

「あ、起こしてもうた?」
「いえ、大丈夫です・・・・それよりなぜここに? 学校の方はどうなされたのですか?」
「ネギ君に頼んで、抜け出してきた」
「・・・・そう、ですか・・・・」

叱る力もなく、刹那はまた布団に転がる。
木乃香が心配して近づいてきてる事に気付いていた。

「・・・・つらいん?」
「ただの熱です」
「薬飲まんから・・・・ほら、飲も?」
「・・・・いや、です・・・・」

刹那は木乃香が持ってきた薬と水を拒み、投薬の拒否の意を見せる。
木乃香はため息をついて、刹那の顔を覗き込んだ。

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