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111 名前:風邪?[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 02:44:42 ID:e082x65G

「そないに酷うなってるんに・・・・飲まな早く治らんよ?」
「明日には治します・・・・これぐらい、大丈夫です」

(こら梃子でも動かへんなぁ・・・・)

そっぽを向いてしまった幼馴染に、また溜息。
木乃香の手には、どうしても飲ませたい薬。
目の前にはそれを完全に拒絶する幼馴染。

(ん〜、そやな・・・・)

木乃香はガサガサと薬を出して細工をする。
刹那もその行動に気付き、背中越しに警戒していた。

「これでええな。せっちゃん、こっち見〜?」
「何で、ですか・・・・?」
「ええからええから。ほら・・・・」
「・・・・?」

急に木乃香の言葉が途切れ、それに疑問を持った刹那が木乃香の方を見た。
その瞬間、頭を両手で押さえ付けられ動けなくなる。
そして刹那の唇には何かが押し当てられた。

「〜〜〜っ!?」

目の前には木乃香の瞳。
優しげなその瞳に飲まれ、刹那は息を呑んだ。
・・・・実際には口移しで送り込まれた水を飲んだのだが。
それを確認すると、木乃香は身を引いた。

「――よく出来ました」
「え、あ・・・・まさか・・・・」
「戻したらあかんよ?」

112 名前:風邪?[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 02:45:58 ID:e082x65G

ニコッと笑い返され、刹那は言葉を詰まらせた。
水と一緒に流し込まれたのは、間違いなく薬。
刹那は咄嗟に吐き戻そうとしたが、それは木乃香に止められた。

「・・・・あ、ウチもう学校もどらなあかん」
「ごめんなさい、私のために・・・・」
「んーちゃんと薬飲んでくれからな、後は元気になってくれたらええよ」

木乃香は台所に戻ると、小さな鍋を持ってくる。
それをテーブルに置くと、ソファーに置いてあった学校カバンを持った。

「元気あったら食べてな? 放課後また来るえ」
「はい・・・・ありがとうございます・・・・」
「ほんまはずっとおりたいんやけどな・・・・我慢して大人しくまっとってなー?」

忙しそうに走り去る木乃香の背中。
おっとりとした木乃香だが、こういった家事等はテキパキとこなす。
将来はきっと、できる女になるだろう。

(あ、口移し・・・・風邪、移るかもしれないのに・・・・)

そう思いながらも、用意されたお粥に手をつける。
病人のご飯らしくいたってシンプル。
しかし口をつけると、丁寧に味付けられた上品な味が口内に広がった。

「・・・・おいしい」

完食こそは出来ないものの、満たされる分だけ食べて刹那は布団へ戻った。
木乃香が来る前と比べ、ずいぶんと楽になってきた気がする。
薬のおかげだろうか。

113 名前:風邪?[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 02:48:10 ID:e082x65G

「このちゃんには・・・・かなわないや・・・・・」

結局薬を飲まされた自分を恥じる刹那。
しかしゆっくりと木乃香に染められていく自分も、どこか心地よかった。

(お嬢様がきたら、また薬をねだろうかな・・・・)

恥ずかしがりやな彼女の事、そんなことは絶対に出来ないだろうが。
これを期に刹那は、木乃香が出した薬だけは飲めるようになったようだ。


FIN

キーワード:『栄養不足』『化け物』『薬』

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