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744 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/12/14(日) 01:12:32 ID:3FVALIDr

「へぇ〜、せっちゃん一人なのに二人部屋なん?」
「あ、はい。参加者が一人予定が入ってこれなくなったようで・・・・」
「誰との予定だったん?」
「え? えっと・・・・あれ?」

ここまで言って刹那は疑問に思った。
刹那は同室者の名前を知らなかったのだ。
普通旅行の部屋を共にするなら、親しい者か何か目的のある人物になるはず。
疑問に思いつつも目の前の木乃香に目をやると、木乃香は意味ありでな笑顔で刹那を見ていた。

「もしかして・・・・お嬢様、今晩どこで泊まる予定なのですか?」
「ん? 当たり前やんー? ここやえ?」
「・・・・やっぱり」

当たり前のように木乃香は笑いながら答えた。
どうやら刹那は、はめられたようだ。
木乃香は学園長に頼んで、二人部屋を確保したに違いない。
全ては計画通り・・・・というところか。
先ほども刹那に気付かれないように訪問し、驚かせるつもりだったに違いない。

「初めから話して下されば・・・・」
「せやかて、せっちゃん絶対断るしなぁー」
「断りませんよ」
「断るやんー!」
「断りません!」
「絶対に断・・・・ひゃっ!?」
「あ、危ないっ」

ムキになって言い返し合ってる最中、木乃香は後ろにいる刹那を軽く睨む。
その際、床に敷いてあった布団に気付かずつまずいてしまった。
もちろん刹那がそれを見逃すはずもなく、目にもとまらぬ速度で抱きかかえる。
布団の上で刹那に抱かれ、木乃香は顔が赤くなるのを感じた。


745 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/12/14(日) 01:19:38 ID:3FVALIDr

「え、えへへ・・・・ありがとな」
「気をつけてください。・・・・あれ?」
「どないしたん?」
「いえ・・・・その、温泉にもう入ったんですね」
「うん、みんながご飯食べてる間になー」

良い香りが刹那の鼻をくすぐる。
刹那には木乃香の姿が異様に色っぽく見えていた。
浴衣を着ているせいでもあるだろうが、何より刹那に完全に身を任せて笑う姿が妙に何かをそそる。

「・・・・せっちゃん?」
「あ、いえ、ではもう寝るだけですね!」
「もう寝るん? まだ心の準備が・・・・」
「へ!?」
「あ、な、何でもあらへんよ?」

うっかり口を滑らせ、慌てて距離をとる木乃香。
二人はしばらく沈黙し、相手の出方を伺った。
・・・・刹那とて、その気がないわけではない。
ただやはり二人はまだ若く、進んでそういった行為を行うことはなかった。
たまに二人きりで寝るとき・・・・その時にどちらかが相手の布団に潜り込んで、
自然とそういう雰囲気になる。
そして今日がその日になると、刹那も木乃香もすでに感じていた。

「・・・・寝る?」
「は、はい・・・・では布団をもう一つ――」
「一つでええやん」
「うっ・・・・」

もう刹那の頭には完全に血が上ってしまい、判断力が低下していた。
逆に心の準備を済ませた木乃香が刹那をリードする。
二人で同じ布団に潜り込み、遠慮がちに抱き合った。

「せっちゃんええ匂いー」
「お嬢――このちゃん、も・・・・」
「ちゃんと呼んでくれて嬉しいなぁ・・・・」


747 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/12/14(日) 01:24:30 ID:3FVALIDr

お互いに相手を確認するように触れ合う。
その動作は二人の性感を刺激し、体温は急上昇していった。
いつしか掛け布団が暑苦しくなり、刹那はそれを剥ぎ取る。
そして代わりに木乃香に覆い被さり、深い口付けを降らした。
降り注がれるキスに木乃香の身体は跳ね上がる。

「んっ・・・・今日は、ぁ・・・・積極的やね」
「今日の私は護衛ではありませんから・・・・それに、結構溜まってたんですよ」
「・・・・お休みに、役に立ててよかったわぁ・・・・ひゃん」

スルリと刹那の手が木乃香の浴衣をも剥ぐ。
木乃香の肌は熱く火照り、薄暗い部屋でもわかるほどに怪しい雰囲気を漂わせる。
そしてそれは刹那の欲望をより一層掻き立てた。

「お嬢様・・・・綺麗です」
「やん・・・・このちゃん言うて・・・・」
「このちゃん・・・・今宵は、とても良い紅葉が見れそうです」
「・・・・それって・・・・ふぁっ」

耳元で囁かれる言葉と優しい手つきに、木乃香は翻弄される。
そしてその晩、二人の身体が離れる事はなかった。

*

次の日、朝食をとりに二人は部屋を出た。
一応朝食の時間は決められていたので、寝過ごすわけにもいかなかったのだ。
さすがに教師は誰一人として遅刻はしていなかった。
ただ二日酔いで死に掛けている者はいたが。

「む? きてたのか近衛」
「龍宮さん、おはようさんー。昨日の夜に到着したんよ」

教師陣とは少し離れた所で龍宮が朝食をとっていた。
刹那は学園長に挨拶をとのことで、一度木乃香から離れる。
その間に木乃香は龍宮と会話をしていた。


748 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/12/14(日) 01:27:52 ID:3FVALIDr

「昨晩、随分とあっさり寝たと思いきや・・・・なるほどな」
「へ? せっちゃんのこと?」
「そうだ。あいつは暇になると、一人で勝手に見回りとか始めるからな。
 寝かし付けてくれたのならそれに越した事はない」
「何の話ですか?」

しばらく話をしていると刹那が木乃香の背後に戻ってきていた。
二人分の朝食を器用に両手で持ち、片方を木乃香に手渡す。

「何を吹き込んでいたんだ、龍宮」
「事実だ」
「お前は事実を曲げるからな」
「私から見たらそうなんだよ」
「まぁまぁ二人とも、みんなが見てるえ」

保護者のように見下す龍宮に食って掛かる刹那をなだめ、木乃香は龍宮の前の席に座った。
それに習って刹那も木乃香の隣に腰を下ろす。
木乃香にとってこの二人の会話はとても興味深いものだ。
今まで木乃香がいた世界とは違う世界に住む二人の会話に入れるだけで、
自分も仲間になれたと実感が持てる。
何より龍宮がいる事で、刹那の別の一面が自然と見れるのだ。
少し嫉妬する所はあるものの、それ以上の収穫はあった。

「それより・・・・刹那、良い紅葉は見れたかい?」
「あぁ・・・・昨晩は、とても綺麗な紅葉を見せてもらったよ。紅くて可愛らしかった」
「っ! ・・・・////」
「そうか、それはよかったな。・・・・ところで近衛は、何を思い出して赤面してるんだ?」
「な、なんでもあらへんよ!」
「お嬢様もご覧になればよかったのに。疲れてたんですね」
「う、うん・・・・ちょっとな、あはは・・・・」
「それはもったいない事をしたな近衛。月明かりに照らされる紅葉もなかなかの見物だったのに」


749 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/12/14(日) 01:35:34 ID:3FVALIDr

刹那の言い回しが妙に生々しく、木乃香は昨晩の事を思い出していた。
刹那は同じような事を、昨晩に木乃香に向けて言っていたのだから。
リラックスした刹那があそこまで口達者だとは、木乃香も想像すらしてなかった。
言葉攻めであんなにも乱れたのは今回が初めて・・・・思い出しただけで、顔が紅くなる。

「どうかなさいましたか?」
「え、あ、ううん! 今日は紅葉見たいなーって思うてな!」
「今日は16時まで自由行動、だそうだ」
「では、今日はゆっくりと山道を歩くとしましょうか。お嬢様」
「紅葉狩りやね、楽しみやなぁ」
「私はせっかくだからのんびりと過ごすよ、温泉もあることだしな」
「そうか、ごゆっくり」
「いってくるなー龍宮さん」

朝食を手早く終わらせ、二人は急ぎ足でその場を去る。
木乃香が刹那の手を半分強制的に繋いで、部屋へと走っていった。
その二人を龍宮がお茶を飲みながら見送る。

「ふぅ・・・・刹那も成長したものだ。それに比べてあいつは・・・・」

まるで保護者のように言い、龍宮は軽くため息をつく。
そしてぐいっと最後の一口を飲み干し、龍宮は席を立った。
目線の先には寝坊してきた楓の姿があった。

「お前は寝すぎだ、楓。昨日いつまで散歩してたんだ?」
「すまぬでござるよ。木枯らしの散歩は心が洗われて、時間を忘れたでござる」
「・・・・お前も紅葉させてやろうか?」
「?」

キョトンとする楓を前に、龍宮は怪しげな笑みを浮かべた。


FIN


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