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740 名前:【もしも】明日菜が生き返っていなかったら?【シリーズ】[sage] 投稿日:2007/03/01(木) 18:51:06 ID:0n9uziAN
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ウチにはもうわかっていた。
修学旅行でもう気持ちを知っていたし、今のせっちゃんの表情で確信した。
『せっちゃんは戻ってくる』って。
「ウチな、この作戦決行する前に実家の方に電話したんよ」
「・・・・え!?」
「せっちゃんの仕事、解任できへんのかって」
「そ、そんな・・・・」
ただせっちゃんを自由にしてあげたかった。
護衛の任務から外せたら、せっちゃんも学園に戻ってこれると思った。
でもお父様の話だと、そんなに簡単な話じゃないみたいで・・・・。
ウチは耐え切れず、『せっちゃんがどっかに行ってしまってすごく辛い、もう京都に戻りたい』とお父様に当たってしまった。
するとお父様は言った。
『任務は解任できないけれど、刹那君に伝えて欲しいことがある』と。
「任務は解任できへんて・・・・でもな、お父様が言うてたんや。聞いてくれる?」
「・・・・はい」
「『木乃香の身だけでなく、心も支えてやってほしい』・・・・やて」
「・・・・心、も・・・・?」
せっちゃんは目を点にしてた。
どういうことだろう、といった感じ。
「・・・・ウチの頼みだけやないんやよ? 西の長の頼みでもあるんや・・・・」
「えっと・・・・」
「ウチの傍におってよ、影から守るんやなくて・・・・隣にいて・・・・」
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741 名前:【もしも】明日菜が生き返っていなかったら?【シリーズ】[sage] 投稿日:2007/03/01(木) 18:52:13 ID:0n9uziAN
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もう抑えられなかった。
気がついたら抱きしめていた。
最後はもう嗚咽で聞きとれなかったかもしれない。
ずっと触れたかったせっちゃんが、いまここにいる。
つながれているからか、まったく抵抗しないせっちゃん。
ううん、せっちゃんも震えていた。
「・・・・ごめんなさい、お嬢様・・・・」
せっちゃんも泣いていた。
ウチの肩に顔をうずめて・・・・。
「私も、辛かったです・・・・一度知ってしまった、温もりを手放してしまって・・・・戻ってきたかった・・・・っ」
「戻ってきてええんやえ・・・・せっちゃん四角く考えすぎや・・・・」
「ごめんなさい・・・・ごめん、なさい・・・・っ」
あれ・・・・せっちゃんってこんなに泣き虫な子だったっけ?
初めて見るせっちゃんの泣く姿に、ウチは少し戸惑った。
でも今できる事は、ただ抱き締めることだけ。
今夜はただ、二人で泣き続けた――。
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742 名前:【もしも】明日菜が生き返っていなかったら?【シリーズ】[sage] 投稿日:2007/03/01(木) 18:52:48 ID:0n9uziAN
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「あの、お嬢様・・・・」
「どうしたん〜?」
「鎖・・・・外してもらえませんか?」
「ダメや」
「・・・・・・・・あぅぅ・・・・」
ウチはせっちゃんに栄養をつけるために、夜食を作ってた。
泣きやんだウチらは、離れてた3ヶ月について話してた。
3ヶ月の間せっちゃんは、ほとんど簡単な食べ物で済ませてたみたい。
しかもベッドで寝ないで木の上で生活。
それだといくらせっちゃんでも弱っちゃうような気がする・・・・。
『護衛が倒れたらダメやん!』って突っ込んだんだけど、その時せっちゃんはこんなことを言った。
「お嬢様が私を探してる姿を見てたら苦しくて、自分を痛めつけることしかできなかったんです・・・・」
そんな無茶な事、ウチが許すわけが無い。
それに、ウチが悲しんでるのをわかってて隠れてたっていう事実もある。
・・・・だから、これはお仕置き。
「はいせっちゃん、あ〜ん」
「お、お嬢様ぁ・・・・」
「口移しがいい?」
「・・・・あーんで、お願いします・・・・」
「素直でよろしいv」
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743 名前:【もしも】明日菜が生き返っていなかったら?【シリーズ】[sage] 投稿日:2007/03/01(木) 18:53:57 ID:0n9uziAN
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ちょっとやりすぎかなって思ったけど、その日はせっちゃんを繋いだまま寝た。
うろたえるせっちゃんが可愛かったから、ちょっとした意地悪で。
でも・・・・朝起きたら鎖は外れていて、せっちゃんはウチの隣で静かに寝てた。
目覚めたせっちゃんは勝手に鎖を解いた事を謝ってたけど、ウチは怒ってなんかなかった。
何も言ってないのに隣で寝てくれるのって、小さい頃以来だったから・・・・すごく嬉しかった。
「せっちゃん、明日菜の墓参り行こ」
「あ・・・・はい」
「明日菜も心配しとったと思うから・・・・うちらはもう大丈夫やえって言いに行かへんとね」
「・・・・はい!」
ウチ等より先に人生をリタイヤしてしまう人は、これからも沢山いると思う。
でも今は歩き続けるしかないんだよね。
歯車は狂っていても、確かにこの世界は動き続けているんだから。
大切な人は、今もウチの傍にいるんだから。
だから心配しないで見守ってて、明日菜。
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