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835 名前:キーワード『年齢詐称薬』『ゲーセンでデートするこのせつ』[sage] 投稿日:2007/03/05(月) 18:36:52 ID:MuGRRxhd

「いつも対戦してますよね・・・・今日は負けました」
「あ! 今日は違うんですよ」
「え?」

木乃香がぼろを出さないうちに、刹那が助け舟を出した。
そう、今は年齢を偽っている状態なのだ。
もしこれからもここで対戦するならば、誤解を与えてはいけない。

「このカード、彼女の妹のなんですよ・・・・私たちカード無くしちゃいまして」
「あぁ、道理でいつもとやり方が違かったんだ」
「あっ・・・・ま、紛らわしくてごめんなさいっ」
「ううん、こちらこそ声をかけてごめんなさい。妹さんにヨロシクね」

男性はそういうとゲーセンを出ていった。
少し罪悪感が残る。

「この格好って便利やけど・・・・ちょっと普段どおりにはいかへんね」
「そうですよ、このちゃん。使い方を間違わないようにしましょう」

これからも木乃香は、このゲームセンターの世話になる。
ここが居づらい環境になる前に助け船を出してくれた刹那に、木乃香は感謝するのだった。

836 名前:キーワード『年齢詐称薬』『ゲーセンでデートするこのせつ』[sage] 投稿日:2007/03/05(月) 18:37:38 ID:MuGRRxhd
*

太陽も沈み、既に暗くなった時刻。
刹那と木乃香は寮に向かっていた。
ちなみに年齢詐称薬は効果が切れていて、いつもの二人の戻っている。
時間的に無理があると判断していた刹那は、事前に着替えの服も用意していた。

「ひゃー、効果切れる前にロッカー行けて良かったなぁ」
「ギリギリでしたね・・・・後少し遅かったら危なかったです・・・・」

どうやらあの後もゲームに夢中だったようだ。
木乃香の手には、UFOキャッチャーで取ったぬいぐるみがある。
どうやら刹那が取った物らしい。

「えへへ、この子名前決めへんとなぁv」
「え、ぬいぐるみにですか?」
「ぬいぐるみってな、名前を付けた日が誕生日になるんやよ。今日の記念になるな?」
「そ、そうなんですか」

恥ずかしさに赤面して、少し前に出る刹那。
そんな刹那を木乃香は呼びとめた。

「ここで少し休憩していかへん?」
「え? ・・・・あ、いいですよ」

837 名前:キーワード『年齢詐称薬』『ゲーセンでデートするこのせつ』[sage] 投稿日:2007/03/05(月) 18:38:20 ID:MuGRRxhd

通りかかった寮近くの公園で一休みする。
ここまで来たなら寮に戻ったほうが・・・・と言おうとした刹那だが、言い留まった。
寮に戻ったらデートは終わり、なのだ。

「・・・・なんや、今日は収穫がいっぱいやったなぁ」
「そうですね、この大人服どうしましょう・・・・」
「そうやなくて・・・・ほら、色々な?」
「え?」

刹那が木乃香のことを呼び捨てにしてしまった事。
刹那の趣味を知った事。
刹那もゲームに夢中になる事。
そして・・・・

「せっちゃん、嫉妬してたやろ?」
「え?」
「うちが538さんに『このちゃん』って言われて・・・・」
「・・・・・・・・あっ」

ゲームセンターにいた538が、木乃香の事を呼んだとき・・・・。
刹那は一瞬だが、驚きの表情の直後に苛立ちの表情を見せた。
刹那をできるだけ観察しようと勤めていた、木乃香だけがわかった事。
538が立ち去った後、心なしか自然と「このちゃん」と呼んでいたのも証拠だ。

838 名前:キーワード『年齢詐称薬』『ゲーセンでデートするこのせつ』[sage] 投稿日:2007/03/05(月) 18:38:57 ID:MuGRRxhd

「普段呼んでくれへんのに・・・・せっちゃん、わがままやなぁ・・・・」
「ち、ちがっ・・・・」
「そうはずかしがらんと・・・・ウチは嬉しかったえv」
「・・・・・・・・っ・・・・ですよ・・・・」
「え?」
「私だって、呼びたいですよ・・・・普段から、このちゃんって・・・・」

ボソボソと喋り出す刹那。
顔は真っ赤で俯いていて、まるで愛の告白をしているみたいだ。

「・・・・・・・・せっちゃん!」
「は、はい!?」

怒られると思ったのか、緊張して返事をする刹那。
そんな刹那を、木乃香は思いっきり抱き締めた。

「お、お嬢様!?」
「・・・・もうっ、ここは『このちゃん』やろ。・・・・まぁええわ、ウチはずーっとまっとるからなv」

慌てる刹那の頬に軽くキス。
無邪気に笑う木乃香は、やはりまだ年相応の女の子。
年齢詐称薬を使いたがるのは、そんな自分を隠して刹那を大人として愛したいから。
この胸の内を話す時が来るのは、きっと随分と後の事となるのだろう。

839 名前:キーワード『年齢詐称薬』『ゲーセンでデートするこのせつ』[sage] 投稿日:2007/03/05(月) 18:39:57 ID:MuGRRxhd
――パキッ

「!?」

前方の草むらから小さな音が響いた。
ほんの些細な音だったが、刹那は気配を感じ取る。

「だ、だれだ!?」
「あちゃー、ばれちゃったよ・・・・」
「朝倉さん!?」

そこにいたのは、パパラッチこと朝倉和美。
手にはしっかりとカメラが握られている。

「いつから・・・・」
「いや、実はずーっといたんだよね・・・・スクープを待っててさ」
「・・・・朝倉さん」

刹那が朝倉に近づいていく。
もちろんネガを奪うために。

「・・・・うん、そうだね。逃げよう!」
「あっ、待てーーっ!!」

目に見えない誰かと相談して逃げ出した朝倉。
そんな朝倉を、剣を構えて追いかける刹那。
暗い夜道での鬼ごっこが始まったのであった。

「・・・・せっちゃん、まだまだ子供やなぁ」

FIN

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