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870 名前:キーワード『マッサージ』[sage] 投稿日:2007/03/07(水) 11:49:06 ID:Gt5RdHUJ | ||||
――ガチャガチャ ――ジャーッ 食器を洗う音がとある部屋に響く。 ここは寮の一室、近衛木乃香の部屋。 同居人の神楽坂明日菜とネギ・スプリングフィールドは最近、エヴァンジェリンの別荘での修行で部屋を空けることが多くなっていた。 木乃香も行く事があるが、大抵は部屋に残って日課の家事をする。 わずかだがその時間が寂しいということで、最近では桜咲刹那が部屋に来ることが多くなっていた。 「片付けまでが料理やもん。せやからせっちゃんは座ってていいのに」 食器を洗いながら、はんなりと笑うお姫様。 「い、いえ! お嬢様にすべて任せるなど!」 そんな笑顔を見て赤面しつつ、申し出を断る剣士。 「んもぅ、せっちゃん硬すぎやわぁ」 しかし、硬い返事が返ってくると木乃香自信もわかっていたのか、さほど気にしない様子で食器の洗剤を流す。 それを刹那が水気を拭き取り、食器棚へ移す。 | ||||
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871 名前:キーワード『マッサージ』[sage] 投稿日:2007/03/07(水) 11:49:37 ID:Gt5RdHUJ | ||||
最初はこれらの作業を全部刹那がやると言っていた。 しかしそれは木乃香が却下。 どちらも譲らないとなると、大抵は主従関係の自覚の高い刹那が強引に片付けてしまう。 しかし最近になって、そういった単独作業は減った。 ――――守られてるばっかりはいややわ・・・・ウチも守りたい!―――― 木乃香が刹那に、面と向かってそう言ったあの日から。 守る事で逆に傷付けてしまっていたと、刹那が木乃香に教えられたあの時から。 刹那は"立場"を一方的に押し付ける事が少なくなった。 そんな刹那に気付いた木乃香も、"想い"を隠すことが少なくなった。 『私一人が戦って傷付くと、お嬢様の心までも傷付いてしまう。 ・・・・かといって、お嬢様を戦いに巻き込むわけには・・・・』 己の行動を自重しているとはいえ、刹那の心にはまだ迷いがあった。 刹那には力がある。 だから多少傷付いても木乃香を守るのが使命であり、刹那にとっての喜びでもあるのだ。 『共に並んで歩みたい』と思うと共に、『一歩リードして向かい風の盾になりたい』と思う心。 決して相容れない二つの心が、刹那の中で争っていた。 「後はこれだけですので、お嬢様は先にお休みになってください」 「うんわかった。まっとるな〜」 素直に聞き入れてくれてよかった、とほっとする刹那。 木乃香は別の目的があった様で、いそいそと戻って行った。 刹那が片付け終えて木乃香の元に戻ると・・・・木乃香はソファーの上に枕を置き、何かの準備をしていた。 | ||||
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872 名前:キーワード『マッサージ』[sage] 投稿日:2007/03/07(水) 11:50:09 ID:Gt5RdHUJ | ||||
「お嬢様、一体何を・・・・?」 「あ、せっちゃん早かったなー。今な、マッサージの準備しとったんよ〜」 ちょうど準備が終わったところらしく、刹那をソファーに手招く。 え、マッサージ?――そんな顔をした刹那の手を、木乃香がぐいっと引っ張った。 「ほらほら、うつ伏せになってぇな?」 「お、お嬢様!? わ、私は・・・・おわっ!?」 油断してたのか、あっさりと寝かせられる刹那。 慌てて起き上がろうとしたが、その前に木乃香が刹那の上に乗る。 「あ、あのお嬢様!?」 「じっとしててー? 最近のせっちゃん疲れてるみたいやったから、図書館島でマッサージの本探してきたんよ」 木乃香は言い終わるや否や、刹那の背中に手の平を当てる。 「ぁ・・・・痛っ・・・・」 「やっぱ凝ってるなぁ・・・・あんま無理したらあかんよ?」 木乃香は凝ってるところを集中的に、丁寧にマッサージしていく。 刹那は諦めたようで、大人しくしていた。 | ||||
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873 名前:キーワード『マッサージ』[sage] 投稿日:2007/03/07(水) 11:50:55 ID:Gt5RdHUJ | ||||
「ん・・・・はぁ・・・・」 しばらくマッサージを続けていると、ふいに刹那から声が漏れる。 「お客さん〜きもちええですか〜?」 「は、はい・・・・お上手ですね・・・・んぁ・・・・」 相当気持ちがいいのか、刹那は枕を強く握って再び声を漏らす。 そんな刹那の動作をみた木乃香の胸が、ドキンッと高鳴った。 (な、何やろこの気持ち・・・・) 木乃香の前では常に礼儀正しい刹那。 そんな刹那のリラックスした姿に、いつも以上の愛しさが込み上げてくる。 ・・・・木乃香の変化に気が付いた刹那。 「あの、お嬢様・・・・。ありがとうございました、もう大丈夫です」 「ん、あぁ・・・・。そらよかったわ・・・・」 楽になりましたので、と理由を付け足して刹那は終わりを求めた。 気恥ずかしさからか、頬は少し赤い。 しかし木乃香は、その声で手を止めはしたが刹那の上からは動こうとはしなかった。 「・・・・お嬢様?」 急に黙ってしまった木乃香が気になり、刹那は疑問系で相手の名を呼ぶ。 うつ伏せで乗っかられているので、木乃香の表情を覗きこむ事はできなかった。 木乃香はと言うと、いまだに刹那の上から動こうとしない。 | ||||
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