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33 名前:別れた運命、同じ道[sage] 投稿日:2007/03/18(日) 02:50:59 ID:XLL7YPsc

「でも・・・・せっちゃん、外国に行くって・・・・」
「はい、行きますよ」
「何年も戻って来ないって・・・・」
「はい、そうです」
「・・・・なんで・・・・そんなん、いやや・・・・っ」

刹那は少し困ったような顔をして、詠春の方を見た。
二人を見守っていた詠春が口を開く。

「木乃香、よく聞きなさい。世界があなたたちを必要としているのです」
「・・・・へ? うちら?」
「そうです。ここを出るのは刹那君ではありません・・・・木乃香、あなたです」
「ほえ?」

(外国に行くのはウチ? でもさっき、せっちゃんが行くって・・・・)

木乃香が困惑の表情を浮かべる。
そんな木乃香に向かって、次は刹那が口を開いた。

「・・・・私と世界に行きませんか?」
「世界・・・・?」
「はい、困っている人たちを助けるために。力となるために」
「かつてナギに同行した私のように・・・・木乃香、あなたも世界を見る必要があるでしょう」
「・・・・え、それって・・・・」
「刹那君には木乃香の護衛を頼んだのですよ。"パートナー"は必要でしょう?」

34 名前:別れた運命、同じ道[sage] 投稿日:2007/03/18(日) 02:51:46 ID:XLL7YPsc

木乃香はやっと、詠春と刹那の言葉の意味を理解した。
二人は"立派な魔法使いになるために世界を旅しなさい"と言っているのだ。
そして、その旅に刹那が同行する・・・・と。

「・・・・ホンマにええの? 外に出て・・・・」
「10歳のネギ君が、故郷を離れて修行を終了させたのです。あなたにもできるでしょう」
「もちろんお嬢様の身は、私が命を賭けてお守りいたします」

"かわいい子には旅をさせよ"
詠春は我が子を、安全でつまらない屋敷に縛り付けるより・・・・危険でも充実した世界に旅立たせることを選んだ。
かつて自分が仲間たちと死闘を繰り広げた、広い世界へと。

「・・・・世界を見なさい、木乃香。そして守りたいモノを知るのです」

木乃香に断る理由などなかった。
正直、今の生活には物足りなさを感じていたのだ。

それに・・・・世界にはネギや明日菜たちがいる。
たくさんの困っている人たちがいる。
そして――。

「・・・・行こう、せっちゃん。うちらの力でたくさんの人たちを助けるんや!」
「はい、お嬢様っ!」

――傍には刹那がいる。
木乃香の目に迷いはない。
力だけではなく心も立派な魔法使いになった我が子を見て、詠春はとても喜ばしく思った。

*

35 名前:別れた運命、同じ道[sage] 投稿日:2007/03/18(日) 02:53:40 ID:XLL7YPsc

「・・・・このちゃん、風邪をひきますよ?」

旅立ち前の最後の夜。
木乃香は屋敷から少し離れた場所にいた。
護衛の刹那も傍にいる。

「・・・・こことも、しばらくお別れやな〜って思うてな・・・・」
「・・・・そうですね」

今二人がいる場所。
ここは幼少時代の二人がよく遊んでいた、小さな広場。

「もう世界では、ネギ君や明日菜たちががんばっとるんやよね」
「はい、そうです」
「困っとる人も、たくさんおるんやよね」
「はい、こうしてる今も・・・・です」

星空を見上げていた木乃香が、刹那に向き直る。
刹那も木乃香をしっかりと見つめた。

「せっちゃんの力、ウチに貸してくれる?」
「・・・・もちろんですよ」

木乃香はその返事を聞くと、少し手を伸ばせば届く位置まで刹那に近づく。
そして木乃香が何かを呟くと、二人の周りに魔法陣が描かれた。

「・・・・行動でも、答えて?」
「はい、このちゃんが望んでくれるなら・・・・」

36 名前:別れた運命、同じ道[sage] 投稿日:2007/03/18(日) 02:54:38 ID:XLL7YPsc

刹那が最後の一歩を踏み出した。
その瞬間に魔法陣の光は強まり、一枚のカードが生まれる。
それは契約成立の証。

「・・・・やっと、してくれたなぁ?」
「照れますので、あまり言わないでください・・・・」
「せっちゃんはほんまに照れ屋さんやね・・・・」
「・・・・もう、このちゃん・・・・」

自然と木乃香は、刹那の腕の中に収まっていた。
二人が気にしていた他人の目はない。
刹那はそっと木乃香の耳に囁く。

「・・・・誕生日おめでとう、このちゃん」

*

それから数ヵ月後、魔法新聞に二人の日本人の記事が載る事となる。
それは"神鳴る剣を持つ剣士を従えた、癒しの姫君のお話"。
姫君は死に至らしめる病魔に襲われた村を救い、その姫君に仕える剣士は人々を怯えさせる魔を剣で封じ込める。
その慈愛と正義に満ちた話の数々は、瞬く間に世界に広まっていった。

そして、彼女達がネギパーティとも交流がある事を知った魔法界のマスコミは、二つのパーティをこう称した。
『東と西から舞い降りた、愛と希望の風』と。


FIN

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