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30 名前:別れた運命、同じ道[sage] 投稿日:2007/03/18(日) 02:47:50 ID:XLL7YPsc | ||||
そして木乃香の誕生日。 屋敷内では盛大な誕生パーティが行なわれた。 主役である木乃香の周りにはたくさんの人が集まり、それぞれが祝いの言葉を述べている。 刹那は少し離れた場所でそれを見ていた。 パーティには参加せず、何かがあればすぐ飛び出せるように愛刀・夕凪を手にして。 「・・・・刹那君、少しいいですか?」 「あ、はい」 そんな刹那に詠春が声をかけた。 刹那は身を低くする。 「これからのことについて・・・・少しお話があるのです」 「これから・・・・と言いますと?」 「木乃香の将来についてです。少しお時間をいただけますか?」 「・・・・はい、わかりました」 詠春と刹那はパーティ会場を後にする。 その二人の姿を木乃香は見ていたが、主役が席を外すわけにもいかず追いかける事はできなかった。 (せっちゃんとお父様・・・・なんの話やったんやろ) パーティも一段落を終え、やっと木乃香も開放された。 とはいえ、パーティの最中も木乃香は刹那のことを考えていて、楽しむ事はできなかったのだが・・・・。 刹那が詠春に直接呼ばれるときは、決まって仕事の話だった。 そうなると刹那は数日は戻って来ない。 この屋敷で同年代といえば刹那しかいないので、その間木乃香は一人っきりとなってしまう。 | ||||
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31 名前:別れた運命、同じ道[sage] 投稿日:2007/03/18(日) 02:48:47 ID:XLL7YPsc | ||||
(今度はどれぐらいいなくなっちゃうんやろ・・・・せっかく二人で話せる時間も増えてきたんに・・・・) 木乃香はまだ戻らない刹那と詠春が気になり、二人がいると思われる部屋に向かった。 「・・・・ですが・・・・」 「・・・・・・・・なので・・・・」 二人の話声が聞こえる。 木乃香は好奇心に勝てなかった。 刹那が教えてくれた『気配を消滅させる札』を使って聞き耳を立てる。 「・・・・外国、ですか?」 少し驚いたような刹那の声。 木乃香はひやりと冷たい物を感じた。 「はい、世界はとても広い・・・・一箇所に留まる必要はないのです」 「ですが、それでは・・・・」 「何ヶ月何年とかかっても構いません。これはあなたにしかできないことです」 (外国・・・・せっちゃんが、何年も・・・・!?) 木乃香の中に、刹那までも失うという恐怖心が渦巻いた。 そんな木乃香に気付かず、刹那は困ったように小さく唸る。 木乃香は願った・・・・刹那がこの依頼を断ることを。 | ||||
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32 名前:別れた運命、同じ道[sage] 投稿日:2007/03/18(日) 02:49:27 ID:XLL7YPsc | ||||
「・・・・・・・・わかりました。その任、お引き受けします」 刹那は依頼を引き受けた。 それが意味するものは・・・・刹那がいなくなるということ。 木乃香の最後の希望が崩れ去る。 「・・・・っやだ・・・・・・・・嫌やっ!!」 「! 木乃香!?」 「お嬢様!?」 「嫌や! せっちゃんまでいなくなってまうなんて、絶対嫌や! いややーー!!」 何かが切れたように、木乃香は叫んでいた。 なだめようとする刹那と詠春の声は、もう木乃香に届いていない。 「木乃香、落ち着きなさい! この・・・・っ!?」 「・・・・・・・・あっ・・・・」 それは一瞬の事。 驚いたような声を発する詠春と木乃香。 詠春の視線の先では――刹那が木乃香を抱きしめていた。 刹那は、感情が暴走してしまった木乃香を落ち着かせるために必要なことを知っていた。 優しく抱きしめて、背中を擦る。 「落ち着いてください、このちゃん・・・・。大丈夫です、私はこのちゃんの傍にいますよ」 「せっちゃん・・・・」 木乃香の体の力が抜ける。 刹那の行動は正解だったようで、木乃香は何とか落ち着いた。 木乃香が一歩下がると、刹那の優しい顔が目に入る。 | ||||
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