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99 名前:アイコンタクト[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 12:13:14 ID:iU4G5nvy

「また・・・・この手紙・・・・」

ドアに無造作に挟まれた手紙。
それを手に取った木乃香は、深くため息をついた。
コレが呪いや不幸の手紙であれば、幾分楽だったかもしれない。
しかしコレは、そういったものではなく・・・・。
"サラブレット"として才を持って生まれた木乃香には避けられない、現実的なものであった。

100 名前:アイコンタクト[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 12:13:46 ID:iU4G5nvy

*

水曜日。
それは学生たちにとって、若干授業の時間が減る嬉しい日。
なぜならこの日は、週に一度の放課後職員会議があるからだ。
部活も大半が休みとなる。

そんな理由からテンションが上がる学生たちだが、一人の少女――近衛木乃香は暗い雰囲気を漂わせていた。
元気に装ってはいたが、普段仲の良いメンバーたちにはバレバレである。

「お嬢様、どこか具合の悪いところでも?」
「あ・・・・な、なんでも無いえ」

いつもより元気が無い木乃香に、刹那が声をかけた。
少しぎこちなく返事をする木乃香に、明日菜や図書館組も疑問に思う。
しかし彼女たちが声をかけても、木乃香の反応は変わらなかった。

結局、木乃香の様子は放課後になっても変わらず。
刹那は部活が無い日は木乃香と一緒に帰るため、木乃香の元へ出向いた。
・・・・が、しかし。

「せっちゃん、水曜日は仕事あるんやろ?」
「え? はい、そうですが・・・・」
「うち、ちょっと用があるから後で帰るな。先帰ってて?」
「は、はぁ・・・・わかりました」

・・・・少し無理を言ってでも刹那の傍に居ようとする木乃香が、今日は刹那を遠ざけた。
いつもと違うこの展開に、刹那は疑問を感じる。
さっさと教室を去る木乃香を、刹那は観察するように見送った。

101 名前:アイコンタクト[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 12:14:16 ID:iU4G5nvy

*

(お嬢様・・・・一体どうなされたのだろう・・・・)

――あの後刹那は木乃香の様子が気になり、以前のように影から木乃香を見ていた。
こうやって影から見守るのはいつ以来だろうか。
修学旅行後からの刹那は、いつも木乃香の隣にいた。
いや、木乃香が刹那の隣にいた。
それなのに最近の木乃香は、決まって水曜日になると刹那から離れていくのだ。
毎週何かと理由をつけられては、一人で帰されていたような気がする。

(何かあるのであれば、隠さず言ってくれればいいのに・・・・)

ちょっとした木乃香への不満。
しかしそれはすぐに消える。
刹那は木乃香のことを信じていたのだから。

そして寮まで普通に到着した木乃香。
しかし自室に入るその直前・・・・木乃香が何かを手に取った。
それは茶色い封筒。
ドアの間に挟まっていたそれを見て、木乃香は暗い表情になった。
そして、そのまま部屋に入る。

(・・・・あの封筒は一体・・・・?)

刹那は気になったものの、一度自分も自室に戻ることにした。
普通の生徒なら水曜日は自由が多い日。
だが魔法生徒やバイトのある生徒たちにとっては、仕事を押し付けられる事が多い日となるのだ。
もちろんそれは、刹那も例外ではない。
刹那は仕事が入っていないことを祈りながら、しぶしぶと自室に戻っていくのであった。

102 名前:アイコンタクト[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 12:14:48 ID:iU4G5nvy

*

「・・・・誰なんやろうなぁ・・・・」

自室に戻った木乃香は、差出人不明の封筒を見つめていた。
内容は大体わかる、毎週同じような封筒が送られているから。
いつもネギや明日菜がいない、この日を狙って送られるのだ。
自分のことで迷惑をかけたくないと思う木乃香は、誰にも相談せずに抱え込んでいた。
そして、痛む胸を抑えながらその封筒を開ける。

「・・・・やっぱ、いつもと同じや・・・・」

中に入っている手紙の内容は・・・・木乃香を中傷するものだった。
木乃香は麻帆良学園の学園長の孫。
さらには成績優秀であり、寮の部屋も学園長の計らいで大部屋を使っている。
そういった優遇された環境を妬んだ"誰か"が、こういった内容の手紙を木乃香に叩きつけているのだ。
『テストの内容を教えてもらっているのではないのか』『大部屋なんて贅沢すぎる』等と。

もちろん木乃香に非など無い。
大部屋は祖父の好意だったので、無理に断れずに使用している。
成績にいたっては、それこそ木乃香が地道に勉強している成果だ。
しかし木乃香は、自分に非が無いと知りつつも、この手紙を受け取っては悩んでいた。
みんなには迷惑をかけたくない、自分はどうすればいいのだろうっと。

「おじいさまに頼んで、一人部屋に移してもらおうかな・・・・?」

もちろん、今の環境から離れたくないという気持ちの方が大きい。
それでも自分ひとりが寂しい思いをするだけで済むならば、それも一つの手では無いだろうかと木乃香は考えていた。

103 名前:アイコンタクト[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 12:15:56 ID:iU4G5nvy

――コンコン。

「あ、はーい?」
「・・・・お嬢様、いらっしゃいますか?」
「せっちゃん? 開いとるよ〜」

・・・・刹那は結局木乃香が気になり、荷物を置くとすぐに木乃香の部屋を訪れた。
仕事も入っていたが、無理を言って龍宮真名に引き受けてもらった。
なぜだか胸騒ぎがして、いますぐ木乃香の所へ行かなければいけないような気がしたのだ。

「せっちゃん、今日はお仕事ないん?」
「はい、今日はお休みだそうです」
「そらよかったわ、せっちゃんもたまには休まんとな」

木乃香が無理しているのは、目に見えていた。
木乃香をそうさせているのは、さっきドアに挟まっていた封筒・・・・。
今は机に放置されている茶色い封筒ではないかと、刹那は予測していた。

「お茶淹れてくるな。座っとって?」
「・・・・はい、お手数をおかけします」
「せっちゃんはお客さんやもん。当然やえ?」

そういって木乃香は台所へ向かった。
刹那はそれを確認すると、音を立てずに立ち上がる。
そして、机に放置された例の封筒を手に取った。

(読んだら嫌われるかもしれない・・・・しかし、今のお嬢様は無理をしている・・・・放っておけない)

刹那は、既に封が開けられている封筒の中身を取り出し、そしてさっと目を通す。

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