TOP
TOP   SS   イラスト
<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>
140 名前:刹那の異変[sage] 投稿日:2007/03/26(月) 13:33:35 ID:oTRE23IY

「せっちゃん、鼻どうかしたん? さっきから擦ってるけど」
「あ、すみません。何でもありませんよ」
「ならええんやけど・・・・」

刹那は先ほどの香水の匂いが気になっていた。
しかし木乃香がその行動を気にしたので、忘れることにする。
無駄な心配をかけさせたくないから。

いつしか夕食を終え、二人でテレビを見たりしてくつろいでいた。
刹那もまたリラックスしていた。
いつもの刹那なら、木乃香と二人きりというだけで緊張してしまうのに。
刹那はソファーからクッションを取り出し、横になってくつろぐ。

「珍しいな〜」
「なにがですか?」
「なんかせっちゃん、いつもよりリラックスしとるやん」

テレビを見ていた木乃香が、刹那の変化を敏感に感じ取った。
テレビから目を逸らして刹那を見ている。
しかし刹那は木乃香の方を向かなかった。
少し眠たそうに、ぼーっと天井を見ている。

「そう言われると、そうですね」
「機嫌も良さそうやね・・・・何か良い事あったん?」
「いえ、特にありませんよ」

そんな刹那自身も、今の自分に少し疑問を感じた。
いつも暮らしている部屋なのに、なぜだかいつも以上に居心地がいいのだ。
いつもと違うのは、木乃香が傍にいる事だけなのだが。
・・・・その木乃香が、ゆっくりと刹那に近づいていく。

141 名前:刹那の異変[sage] 投稿日:2007/03/26(月) 13:34:29 ID:oTRE23IY

「・・・・どうかなさいましたか?」
「んー、ちょっと・・・・」

木乃香はテレビの電源を消した。
部屋に静寂が訪れる。
そしていつしか、木乃香が刹那にくっついていた。

「逃げないん?」
「逃げませんよ」
「ほんま珍しいわ」
「・・・・そうですか?」

刹那を見る木乃香の目線は、じっくりと舐めまわすようなモノで。
普段の刹那であれば照れて逃げたであろうが、今の刹那はそうでなかった。
多少の緊張はあったが、それすらも妙に心地よい。

「ウチが何しようとしてるか、わかってるん?」
「いえ・・・・わかりません」
「・・・・嘘」
「嘘じゃないですよ」

・・・・薄々、感づいてはいた。
しかしここはあえて嘘をつく刹那。

「・・・・せっちゃんは、何か考えてるん?」
「そうですね・・・・・・・・今は何をされても構わないな・・・・と」
「・・・・・・・・」

142 名前:刹那の異変[sage] 投稿日:2007/03/26(月) 13:35:13 ID:oTRE23IY

沈黙。
木乃香が目を逸らした。
一方刹那は、いまだゆったりとくつろいでいる。
いつもの立場と逆。

「・・・・今日のせっちゃん、なかなかやるなぁ」
「?」
「狙ってるやろ・・・・」

再び刹那を見る木乃香の目は、獲物を見る獣のようなものに変わっていた。
二人の目線が交わると、刹那がゆっくりと体勢を起こそうとする。
しかし、それは木乃香によって止められた。

「何しても・・・・ええんやよね?」
「・・・・・・・・どうぞ、お好きにしてください」

*

次の日刹那は龍宮に、香水をこぼした事を謝った。
その時に龍宮は、この香水についてこう説明したという。

「この香水は、神経を強制的にリラックスさせる物なんだ。
 戦場で夜眠れない時に使っていたものなんだが・・・・どうやら、違うところで役に立ったみたいだな」

深い所まで話されてなかったが、龍宮は昨日何があったかを悟ったようだ。
そして龍宮は"もう必要のないものだ"と、その香水を刹那に渡す。
昨日の変化の原因を知った刹那は、嬉しいような困ったような顔で、それを受け取ったという――。

FIN

<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>


ページトップ

管理人:虚武僧
web拍手
┣サイトへの意見・要望
┗リンクミスの報告など