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473 名前:世界樹の下で[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 01:16:14 ID:bgREBOFC

「今日も仕事で終わり・・・・か」

夜も更けた時刻。
世界樹の下で刹那は寝転がっていた。
別に眠いわけでも、怪我をしているわけでもない。
ただ、なんとなく開放された野外で休みたい気分だった。

(どうせ寮に戻っても、狭い部屋で寝るだけだし・・・・な)

ググッと伸びをして、脱力。
そしてぼーっと木を見上げた。

(お嬢様、もう寝てるかな・・・・)

急な仕事が続き、最近の刹那は学校に行ってなかった。
まだ出席率がさほど関係ない義務教育、さらに実力もある刹那は昼間の仕事にも派遣されるのだ。
最近の仕事は連日であり、朝早くから夜遅くまで――それも中等部から離れた学園内の為、
刹那は木乃香に会う事がまったくといってできなかった。

(・・・・明日も仕事か・・・・なんかダルい・・・・)

精神的な弱まり。
刹那にとって"全て"である木乃香と会えない事が、刹那に憂鬱さを感じさせる。
が、刹那はそんな自分自身を認めなかった。
護衛である自分が精神的に弱るなど、決してあってはいけないからだ。

(いや、気を引き締めないと! ・・・・ん?)

474 名前:世界樹の下で[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 01:17:03 ID:bgREBOFC

ガサガサッ・・・・

刹那の横から草を踏む音が聞こえた。
横にあるのは、ここに向かってくるための道のみ。
つまりだれかがこちらに向かってきているという事。

(こんな時間に・・・・あれ、この気配は・・・・)

立ち上がろうとした刹那だったが、相手が誰かを察知して警戒心を解いた。
・・・・相手は視界の悪さに困惑している様子。
何かを探しているのだろうか。
程よい疲れと眠気でボーっとしてた刹那は、そんな相手に声をかけず見守っていた。
そして――。

ガサッ・・・・ガサッ・・・・ぶぎゅるっ。

「うぐっ・・・・」

――踏みつけられた。
さすがに刹那は踏みつけられるとは思ってなかったようで、変な声を出してしまう。
相手は驚いて後ずさった。

「か、堪忍!」
「だ・・・・大丈夫ですよ、お嬢様」
「・・・・せっちゃん!?」

475 名前:世界樹の下で[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 01:17:48 ID:bgREBOFC

突然の来客は木乃香だった。
龍宮に留守だと言われ、勘でここに来た様だ。
まさか本当にいるとは思っていなかったらしく、木乃香は心配した顔ですぐに刹那に駆け寄る。

「堪忍な、暗くて・・・・」
「いえ、声をかけなかった私もいけないので・・・・」
「気付いてたん?」
「はい、お嬢様ですから」

刹那は優しく微笑んだ。
久しぶりに見る刹那の笑顔に、木乃香の顔は赤くなる。

「不意打ちやわ・・・・もうっ!」

バンッ!

木乃香は照れ隠しに、先ほど踏んでしまった刹那の腹部を叩いた。
まだ横になっていた刹那は、それに驚いて飛びおきる。

「ぐっ!? ・・・・い、痛いですよ・・・・」
「黙っとったせっちゃんが悪い」
「ご、ごめんなさい・・・・」

木乃香に叱られてしまい、刹那はうな垂れた。
木乃香の表情を覗う刹那の顔は、普段危険な仕事をしているとは到底思えないモノである。
そんな困っている刹那の顔を横目で楽しみつつ、木乃香は草の絨毯に寝転がった。

476 名前:世界樹の下で[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 01:18:59 ID:bgREBOFC

「あ、あのお嬢様・・・・?」
「・・・・うーん?」
「怒ってらっしゃいますか?」
「うん」
「うっ・・・・」

主従関係・・・・いや、性格のせいか。
踏まれた刹那よりも踏んだ木乃香の方が、立場は上だった。

「せっちゃん・・・・」
「は、はいなんでしょう!?」
「伏せ」
「・・・・へ?」
「だから、"伏せ"!」
「ふせ・・・・?」

(伏せって・・・・犬の・・・・??)

いきなりの命令に困惑した刹那は、とりあえず身を低くした。
が、木乃香は不満の様子。

「命令間違うたかな・・・・こういう場合は"ごろーん"?」
「えっと・・・・一体何を・・・・?」
「"ごろ−ん"や"ごろーん"! ほら、降参ポーズな」
「は、はぁ・・・・」
「ほら、はよっ」

催促されるがままに、刹那は仰向けに寝転んだ。
刹那は横の木乃香が気になって、遠慮しがちに木乃香を見る。
しかし木乃香はまっすぐ上を見ていたので、二人の視線が交わる事はなかった。

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