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689 名前:動物に例えると[sage] 投稿日:2007/05/05(土) 05:16:29 ID:2yQprkDp

*

「最近、少しエスカレートしてきましたね・・・・」
「せやねぇ、みんなそんなに知りたいんかなぁ・・・・」
「さ、さぁ・・・・」

木乃香が刹那を"狼"と例えてしまってから3日後。
いまだに木乃香と刹那の関係を知ろうと、クラスメイト達の執拗な探索行為は続いていた。
特にハルナや朝倉はストレートに聞いてくるために、刹那にとって精神的に辛い部分もあった。
・・・・そういった追跡を振り払い、今日も刹那は木乃香を部屋へと送る。

「・・・・なんや嫉妬してまうな」
「え? なぜですか?」
「みんな夜のせっちゃんの事知りたがるんやもん・・・・せっちゃんは人気者やねぇ・・・・」
「・・・・おそらく私ではなくて、"何をやってるか"だと思いますが・・・・」
「せやろ? でも退魔の仕事の事・・・・話せへんもんな。ハルナたちも変な風に広めてまうかもしれへんし」
「いえ、ですからそうではなく・・・・」
「へ?」

木乃香はあくまで"退魔師の刹那"を隠しているようだ。
刹那は純粋すぎる木乃香を前に、自分が間違った方向に考えているのかと少し悩む。

(これは・・・・へんな事になる前に伝えた方が・・・・?)
「せっちゃん? どないしたん?」
「い、いえ・・・・! なんでも・・・・!」

クラスメイトに問い詰められる度に、刹那は己に邪な感情が沸き上がるのを感じていた。
もし自分が"狼"で木乃香を襲ったら――と想像し、そして寸でのところでその考えを薙ぎ払う。
その繰り返し。
そんな刹那の苦悩を知らない木乃香は、刹那を無意識に追い詰めていく。

690 名前:動物に例えると[sage] 投稿日:2007/05/05(土) 05:17:07 ID:2yQprkDp

「せっちゃんなんや顔赤いえ? みんなに追いかけられて、疲れてもうたん?」
「だ、大丈夫です! それと、これは疲れではなくて・・・・」
「疲れやないなら・・・・風邪?」
「か、風邪でもなくて! なんと言いますか・・・・その・・・・」
「せっちゃん、なんやおかしいなぁ? ちょっとうちで休んでいかへん?」

木乃香が刹那の腕を抱え込む。
その行動はいつもしている事なのだが、今の刹那には妙に意識してしまうものだった。
理性と本能の戦いで、刹那はくらくらとよろける。
それに気付かない木乃香は、そのまま刹那を部屋へと引っ張り込んでしまった。

「・・・・せっちゃん、ほんまに顔赤いえ・・・・」
「うっ・・・・ですから、これは・・・・あっ!?」

二人の額が触れ合う。
体温を確認する木乃香は目を瞑っていて、刹那にはそれが妙に色っぽく感じた。
それと同時にクラスメイト達の問いかけが頭の中でループする。

「熱は・・・・あらへんなぁ。念のために薬飲んでおく?」
「・・・・・・・・」
「・・・・せっちゃん?」
「お嬢様・・・・本当にわからないんですか・・・・?」

木乃香の腕を取り、刹那は真剣に問いかけた。
わずかに心の中で願う、"わかってる"と木乃香が言うことを。
・・・・しかしそれは叶わなかった。

「な、なんのこと?」
「クラスの皆さんが・・・・何を期待しているか、です」
「せ、せっちゃんの夜のお仕事の事やないの?」

691 名前:動物に例えると[sage] 投稿日:2007/05/05(土) 05:17:44 ID:2yQprkDp

とぼけてるわけではなく、本気で勘違いしている木乃香。
刹那は自分がこれからする事を考えて、さらに顔を紅くして目を逸らした。
そして――。

「貴女が・・・・私を狼と煽ったのが悪いのですよ・・・・」
「え・・・・」

――次に木乃香に視線を向ける刹那は、もう"犬"ではなかった。

「貴女の仰る通り・・・・私は狼です」
「で、でもまだ――」
「貴女の前では、いつでも変身できますよ」
「・・・・っ!?」


・・・・いつしかクラスで二人の話題は出なくなった。
しかしこの話題が原因で、刹那は下克上を達成していた。
その場で木乃香を虜にした後、自室でじっくりと味わったようである。

昼間はいつも通り"犬"の仮面をかぶっている刹那。
しかし夜に現れる真実の刹那は・・・・木乃香のみ、それを知っている。


FIN

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