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988 名前:恐怖対象[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00:16:55 ID:ZKAvvp4F
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――ピーラリラー ピラリラーリラー♪
「ひゃ!?」
刹那の弱点を知りたくて木乃香は身を乗り出した。
しかし刹那がそれを言い掛けたところに、木乃香の携帯が鳴り響く。
刹那は軽くパニックになった木乃香に微笑みながら、電話を取るように促した。
「私にかまわずに、どうぞ」
「か、堪忍な・・・・もしもし、夕映?」
どうやら監視組の方からの連絡らしい。
刹那はちょうどいいタイミングのこの電話に、ほっと一息ついた。
そして自分の"恐怖対象"について考える。
それは、予想できないモノ・・・・見たくないモノ・・・・知りたくないモノ。
恐怖対象の条件は揃っていたが、どちらかというと"受け入れたくないモノ"と言った方が正しいかもしれない。
物思いに耽り曇った刹那の表情。
それを木乃香は、電話を受けながらも見てしまっていた。
しかし声をかける事はできず・・・・逆に電話から告げられた事態に目を丸くする。
「――せっちゃん、あかんわ! はよ逃げなっ!」
「え?」
「ネギ君達がこっち向こうてきとるって!」
わたわたと木乃香が携帯を振り回しながら立ち上がった。
メールではなく電話が来たのは、相当切羽詰っていたからのようだ。
「お、落ち着いてください。ネギ先生たちはどちらから来るのです?」
「え、えーと、パレードのあった所からやから・・・・!」
「・・・・西の方ですね、では反対側の方に逃げましょう!」
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989 名前:恐怖対象[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00:17:52 ID:ZKAvvp4F
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刹那は木乃香の荷物を手に取ると、反対側の手でしっかりと木乃香の手を握った。
そして握り返してくる感触を確かめると、早すぎないように走り出す。
すると珍しく木乃香が刹那の前に出た。
「・・・・せっちゃん!」
「はい?」
木乃香は足を止めずに、顔だけを刹那に向けた。
「ウチがせっちゃんの怖いモノから、せっちゃん事守ったるからな!」
「・・・・!」
木乃香は先ほどの刹那の表情から、刹那の恐れるものが精神的なものだと読み取ったのだ。
刹那を先導するのも、木乃香の強い意思の表れ。
「・・・・ありがとう、ございます」
刹那の感謝の言葉は、周りの雑音にかき消される。
しかし同時に強く握り返した手により、その感謝の気持ちはしっかりと相手に伝わった。
木乃香はニコッと笑い、再び前を向く。
(貴女がいてくれるだけで・・・・私は・・・・)
木乃香がいない世界など、予想できない。
木乃香がいない世界など、見たくない。
木乃香がいない世界など、知りたくない。
刹那が恐れるのは、そういった受け入れたくない未来であった。
そしてそれは魔法使いとしての道を歩み始めた木乃香とって、決して訪れないとは言えない未来でもある。
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991 名前:恐怖対象[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00:37:33 ID:ZKAvvp4F
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(貴女がいない世界ほど、恐ろしいモノはありません。ですから・・・・)
刹那は大地を蹴る足に力を込める。
そして木乃香の隣に並んだ。
自然と交わる目線。二人の間に柔らかい空気が流れる。
(この命、例え失っても・・・・お守りいたします)
――遊園地に集う、娯楽を求める人々。
その人々のそれぞれが何かに怯え、逃げ、そして立ち向かい・・・・または怯える仲間を助け生きている。
木乃香と刹那ははぐれない様に強く手を握り合い、その人々の中へと消えていた。
FIN
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