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985 名前:恐怖対象[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00:13:19 ID:ZKAvvp4F

お化け屋敷に響く二人の悲鳴。
しかし仕掛けに驚いているのは木乃香のみ。
刹那は木乃香に抱きつかれた事に驚き、慌てていた。

「おおお、お嬢様・・・・っ」
「か、堪忍・・・・はうぅ・・・・」

木乃香は刹那に助けを求めて抱きつき、刹那は必然とその木乃香を支えていた。
薄暗くて見えないが、木乃香は照れて赤面している。
刹那も今の状況に顔を赤くしているが、それも薄暗くて確認しにくい。
それと周りに誰もいないという状況も手伝い、二人の密着度は普段よりも高くなっていた。

(せっちゃん平気そうやなぁ・・・・やっぱ頼りになるわぁ・・・・)
(お、お嬢様の身体が密着して・・・・へ、平常心、平常心!!)

冷静な刹那に守られて心地よさを感じた木乃香。
しかし刹那は、しっかりと木乃香を支えながらも・・・・実はかなり葛藤していた。
木乃香を驚かしているこの場から早く木乃香を脱出させたいと思う反面、いつまでもこうしていたいと思ってしまう。
・・・・後ろから他の客の悲鳴が聞こえてきた。
やはりいつまでもここで抱き合っているわけにはいかないようである。

「と、とりあえず出口に・・・・」
「う、うん・・・・っひゃう!!」
「うあぁ・・・・////」

結局刹那は理性を保つ事に必死になり、お化け屋敷を楽しむ事ができなかった。

*

986 名前:恐怖対象[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00:14:28 ID:ZKAvvp4F

二人はお化け屋敷を無事に脱出し、ベンチで休んでいた。
刹那は座り込んでしまった木乃香にジュースを運ぶ。

「大丈夫ですか?」
「堪忍な・・・・せっちゃんは怖いものないん?」
「私は・・・・そうですね・・・・」

顎に手を当て、しばらく刹那は考える。
しかし思い当たるものが無い。

「・・・・特にこれといっては、ないですね・・・・」
「虫とかは?」
「外に逃がします」
「お化けは?」
「敵意がないのであれば放っておきます。悪霊ならば切ります」
「じゃあ・・・・高い所とかは?」
「飛べますので・・・・」
「あ、そやったな〜」

木乃香は「忘れてたわ〜」と頬を掻く。

「ええなぁ・・・・ウチもせっちゃんみたいに強うなって、お化け屋敷も平気になりたいわぁ」
「魔を狩る者が魔を恐れてたら本末転倒ですし・・・・後は、知識と気持ちの持ち様ですよ」
「そうなん?」

刹那は木乃香の隣に座った。
そして木乃香の手からジュースを受け取ると、それに口をつける。

987 名前:恐怖対象[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00:15:35 ID:ZKAvvp4F
「例えば・・・・お嬢様と出会ったばかりの頃は、こうやってお嬢様の物に口をつけるだなんて恐れ多かったです」
「へ? なんで?」
「"近衛家の知らないお嬢様"でしたから」

刹那の持っていたジュースが、再び木乃香の手に戻る。
木乃香はそのジュースを口にしながら、刹那の言葉の続きを待った。

「ですが・・・・お近づきになって、仲良くさせて頂いて・・・・お嬢様を深く知ってから、自然とできるようになりました」
「ウチを知って?」
「はい。生き物というのは"無知"ゆえに恐れるんです。知っていれば対処もできますし、恐れる事はありません。
 お嬢様も現在魔法についての勉学に勤しんでいらっしゃいますから、次第に平気になりますよ」

自分の臆病さにうな垂れる木乃香を、刹那は励ます。
しかし顔を上げた木乃香はまだ不満そうで、刹那の言葉の続きを求めていた。
そっと刹那の手をとり、問かける。

「せっちゃんは・・・・何でも知ってるん?」
「な、何でもではありませんが、私は退魔師ですから・・・・幽霊や魔物は熟知してますし、対処法方も知っています」

刹那は手を取られた事に動揺しながら答えた。
さらに見つめられて、噛みながらも言葉を続ける。

「む、虫も種類によっては害が無いと知ってますし、飛ぶ術も知っているので、た、高い所も怖くは・・・・・・・・あっ」
「どないしたん?」

何かを思いついた刹那は、木乃香を見てはにかむ。
あまり知られたくなさそうな顔であったが、言いかけたからには言うしかない。

「・・・・今気付きました。私にも怖いモノがあります」
「え、何々?」
「そ、それは――」

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