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23 名前:五月病?[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 22:38:01 ID:8GxYaRXE

「ただいま〜」
「あれ〜? 今日も早く帰ってきたんだ?」
「へ?」

そろそろ5月も終わりという頃。
机で宿題とにらめっこしていた明日菜は、帰宅してきた同居人の木乃香に問いかける。

「なんで? 部活には行ってきたえ?」
「そうじゃなくて。最近、刹那さんの所に行ってないじゃない」
「・・・・あ〜」

木乃香は意味ありげに苦笑した。
その表情から"何か悩み事がある"と親友の明日菜は感じ取り、テーブルの前に座っておしゃべりの体勢をとる。
木乃香も荷物を置くと、明日菜の向かい側に座った。

「喧嘩でもしたの?」
「そうやないけど・・・・なんや、せっちゃん疲れとるみたいでな〜」
「へぇ? 朝練の時はそんな感じしないけど?」

明日菜は傍にあったお菓子の箱を開ける。
それを見て木乃香はもう一度立ち上がり、冷蔵庫から飲み物を持ってきた。
数年同居している二人の、自然な動き。

「・・・・龍宮さんに聞いたんやけど、最近のせっちゃん・・・・だらけとるみたいなんよ」
「だらけ? 刹那さんが?」
「そや。なんや脱力しとるんやって」

24 名前:五月病?[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 22:39:03 ID:8GxYaRXE

うーんと二人で唸る。
普段二人の前では礼儀正しい刹那だけあり、なかなか脱力している姿など想像できない。
そして先に音を上げたのは明日菜だった。

「ダメ、想像つかない」
「そうやろ? せっちゃんいつもウチらの前ではシャキっとしとるから」
「でも、それがどうして会わない理由なの?」
「せやかて・・・・無理してシャキッとさせるのも悪う思わない?」

明日菜はお菓子をくわえたまま、頬を掻く。
木乃香と会う刹那の表情は、とても無理をしているとは思えない。
むしろ木乃香と会っている時が、一番幸せそうなのだ。

「・・・・木乃香に心当たりが無いなら、むしろ会った方がいいと思うけど?」
「そう? せっちゃん無理せーへんかなぁ?」
「きっとただの五月病だって。それに、二人共揃いも揃って会うの我慢することないんじゃない?」
「二人共?」

木乃香はきょとんとして明日菜を見る。
明日菜はしまったと顔を歪め、そしてお手上げポーズをして観念した。

「実は・・・・最近様子が変だから、朝に"木乃香と何かあったの?"って刹那さんに問い詰めたのよ」
「え、それでなんやて!?」
「無駄に悩んでたわよ〜。このかから誘わないと、刹那さん遠慮して絶対に会いに来ないし」

いつも積極的な木乃香と、仕事や戦闘以外では消極的な刹那。
特に自らを過小評価している刹那は、なかなか自分から木乃香に近づこうとしない。
その為、今回のように木乃香が避けた場合はまったく会えなくなってしまうのである。

25 名前:五月病?[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 22:39:56 ID:8GxYaRXE

明日菜の助言を得て、急にうずうずしだす木乃香。
誰がどう見ても、我慢しているのはバレバレであった。

「行ってきたら?」
「・・・・行っても、大丈夫かなぁ?」
「どうせ今日は、私もネギとエヴァちゃん所に行っちゃうし」
「・・・・うん、ほな行ってくるな!」

木乃香は勢い良く立ち上がって、玄関に走り出す。
そして出る間際に部屋を振り返った。

「・・・・明日菜、おおきに!」
「明日、宿題教えてよ?」

二人の親友の不器用さに、明日菜は肩を竦めるのであった。

*

「刹那、調子が悪いのか」
「いや、そういうわけじゃないんだが・・・・」

まだ早い時刻だというのに、刹那はベッドの上でゴロゴロしていた。
別に調子が悪いわけでもない。
ただなんとなく、気持ちがシャキッとしないだけだった。

「五月病か」
「違う、と思う・・・・きっと」

26 名前:五月病?[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 22:40:52 ID:8GxYaRXE

答えもはっきりしない。
最近に至っては、木乃香にも避けられている。
それがさらに刹那の精神を弱めていた。

「夕飯は食べないのか?」
「・・・・一食ぐらい食べなくても死なない」
「重傷だな。まぁ私は仕事に行ってくるよ」
「・・・・あぁ」

遠ざかる龍宮の気配。
部屋に一人になったという気楽さからか、刹那に睡魔が襲ってきた。
普段ならまだまだ寝ない時間だというのに・・・・と思考をフル回転させるが、それもすぐに停止していく。
次第に薄れていく意識。

(・・・・たまには、早めに・・・・寝てもいいかな・・・・)

程よい眠気に負けて、完全に目を閉じる。
何かを忘れているような気もしたが、それを考えるのもだるい。

(今日もあまりお嬢様と話せなかったな・・・・明日は、勇気を・・・・出し、て・・・・)

――ガタンっ!

「――っ!? 誰だ!?」
「ひゃっ!?」

突如部屋に物音が響いた。
とっさにベッド脇にあった夕凪を構える刹那。
しかし抜刀する前に、相手が敵ではないと気付く。

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