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412 名前:『風鈴』[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 22:48:36 ID:cnGbh7Os | ||||
――リーン、リーン 透き通った綺麗な音。 この音が夏の風物詩だとすぐにわかるのは、きっと日本人だから。 英国人のネギ君は「綺麗な音ですね」って言ってくれた。 私と明日菜は「懐かしいね」って笑い合った。 いま目の前にあるこの風鈴は、今年になって初めて私たちの部屋に来たんだけど・・・・実は二年前から存在は知っていた。 形も、どこにあるのかすらも知らなかったけど、音だけは毎年聞いていたから。 * ――リーン・・・・ 「綺麗な音やね〜」 「ん〜・・・・?」 まだネギ君もいない、中学生になって初めての夏。 私と明日菜は、部屋の窓を開けて空気の入れ替えをしていた。 その時に聞こえたのが、この風鈴の音。 「近いね。・・・・不思議な音」 「南部風鈴って言うんやえ」 「へぇ、よくわかるね」 「京都にいた時、毎年聞いてたから」 風鈴は寮でもよく見かける。 でも学生が持っている風鈴は、大抵はガラスで作られた見た目が綺麗な物ばかり。 逆に南部風鈴の方は鉄器で作られていて、見た目がごつい。 だけど、江戸風鈴とは違ったすごく透き通った音を出してくれる。 | ||||
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413 名前:『風鈴』[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 22:49:25 ID:cnGbh7Os | ||||
「ウチは、南部風鈴の方が好き」 「うーん私はやっぱり見た目で選んじゃうかな」 太陽も高くなり、さすがに暑くなってきたので冷房にする。 もっと外から聞こえる風鈴の音を聞いていたかったけど・・・・明日菜が駄々をこね始めたのだから仕方が無い。 渋々窓を閉めるしかなかった。 ――これが、私とこの風鈴の初めての出会い。 * ――リーン・・・・ 「このか〜、今年もあの音聞こえるよ」 「あ、ほんまや〜」 2年生になってからも、その音は聞こえた。 去年から隙があれば窓を開けてこの音を聞いていたから、明日菜も反応するようになったみたい。 どうやらこの風鈴の持ち主は几帳面みたいで、風物詩らしく夏場だけにこの音が響いていた。 「寮の周りって静かだから、いい感じに響くね」 「そやね〜・・・・京都に戻ってきたみたいやぁ」 京都・・・・っていったら、私は幼馴染の事を思い出してしまうんだけど・・・・。 その子とは去年から同じクラスになれたんだけど・・・・嫌われてしまったのか、話してくれないようになっていた。 何か嫌われるような事、しちゃったのかな・・・・。 「お、ホームシック?」 「・・・・そんなんやないってv」 | ||||
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414 名前:『風鈴』[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 22:50:13 ID:cnGbh7Os | ||||
寂しそうな顔をしてしまったのか、からかわれてしまった。 少し無理をして笑う。 「今日は涼しいし、このまま窓開けたままで昼寝でもするえ〜v」 「うん、賛成〜!」 ――その時見た夢・・・・私は幼馴染と遊んでいた。 目覚めた時、寂しくて悲しかったけれど・・・・そんな私を、外の風鈴の音が癒してくれた――。 * そしてこの寮に来てから、3度目の夏が来た。 でも今年はまだあの風鈴の音を聞いてない。 持ち主が忘れているのかな? あ、それと・・・・去年と違う事がもう一つ。 「お邪魔するえ〜」 「はい、どうぞ」 私は幼馴染のせっちゃんと、仲直りする事ができていた。 嫌われてたんじゃなくて遠慮されてただけみたいで・・・・修学旅行の時、やっと気持ちを確かめ合う事ができた。 今では毎日のように、お互いの部屋に出入りしている。 「少し暑いですね、窓を開けます」 「うん。・・・・・・・・あっ――」 | ||||
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