
| TOP | SS | イラスト |
| << 前頁 クラフト 氏 次頁 >> | ||||
|
415 名前:『風鈴』[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 22:51:37 ID:cnGbh7Os | ||||
――リーン 聞き覚えのある、あの音がした。 自分の部屋で聞くよりも、とても近い所で聞こえる。 慌てて窓の方向を見ると・・・・そこには小さめの南部風鈴があった。 「せっちゃん・・・・それ・・・・」 「あ、これですか? 麻帆良に来る時に京都から持ってきたんですよ」 毎年夏場に出してます、とせっちゃんは笑った。 でも私は・・・・気がついたら、泣いていた。 急に泣きだした私に、せっちゃんは大慌て。 「お、お嬢さま!? この音、嫌いでしたか!?」 「・・・・ううん・・・・なんやか・・・・感動してもうて・・・・」 「え?」 寂しさとか悲しさの涙とかじゃなくて・・・・嬉しかった。 ずっと会いたかった人と、やっと会えた。 そんな感じ。 「えーと・・・・あの〜?」 「・・・・なんでもない! この音、大好きや!」 それからしばらく、風鈴の音を聞きながらせっちゃんと話してた。 「京都にいたときみたいだね」だとか、「南部風鈴の音は、他の風鈴の音より好き」だとか。 古風な家柄に生まれたせいか、私もせっちゃんも日本の文化の話が大好きだった。 | ||||
|
416 名前:『風鈴』[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 22:52:19 ID:cnGbh7Os | ||||
「・・・・あ、そろそろアスナたちのご飯作らな。せっちゃんも食べてく?」 「すみません、今日は仕事が・・・・」 「そか〜、がんばってな?」 「はい。・・・・あ」 せっちゃんは何かを言いかけて、立ち上がる。 そして窓にかけてあった風鈴を外した。 「これ・・・・持って帰りますか?」 「え? でもこれ、せっちゃんが京都からもってきた大切な・・・・」 「・・・・お嬢さまを避けていた2年間・・・・そのお詫びとして、もらっていただけませんか?」 私は和解できた事が嬉しくて、過去のことなんて全然気にしてなかった。 だけど、せっちゃんはずっと後悔していた。 もういいよって言っても、せっちゃんはずっと離れていた時間の埋め合わせを探していて・・・・。 さっき"2年前からこの音を聞いていた"と話した時に、この風鈴を私に渡そうと思いついたんだと思う。 「・・・・ほんまに、もらってええの?」 「はい」 「ほんまにほんま?」 「はい、ほんまに・・・・です」 「・・・・おおきに〜! むっちゃ嬉しい!!」 「うわぁ!?」 感謝の気持ちを行動に表したら、顔を真っ赤にして驚かれてしまった。 そんな恥ずかしがり屋で、純真無垢な彼女からの贈り物。 嬉しくないわけがない。 「せっちゃんだーいすきーv」 「お、お嬢さま離れてください〜〜!?」 | ||||
|
417 名前:『風鈴』[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 22:53:40 ID:cnGbh7Os | ||||
近づけなかった2年間・・・・透き通るこの音は、二つの部屋を繋いでくれていた。 離れていた悲しい過去を、この風鈴は優しい思い出に変えてくれた。 今もこの風鈴は私の部屋で、私たちを優しい気持ちにしてくれている。 FIN | ||||
| << 前頁 クラフト 氏 次頁 >> | ||||
|
ページトップ |