TOP
TOP   SS   イラスト
<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>
515 名前:小さいけれど大きな質問[sage] 投稿日:2007/06/29(金) 22:33:30 ID:Bmz2kyDd

組んでいた腕が再び解かれ、刹那は盛大に噴出した。
口をパクパクとしているのはただ言葉が見つからないだけなのか、それとも――。

「な、な・・・・なにを言い出すんですか!?」
「じゃあ嫌いなん?」
「そんな事は断じて!! ・・・・嫌いではない、ですが・・・・」

続きを言うべきなのかと、刹那は戸惑う。
しかし刹那を見る木乃香の目は期待に満ちていて、逃げる事は叶わなかった。

「その・・・・し、質問してよろしいですか・・・・?」
「そんな確認せんで、どんどんしてええよ〜」
「で、では・・・・・・・・」

もう周りを気にする余裕もない。
刹那は息を飲み、意を決する。
必死に脳内で文を構築し、そして口からそれを発した。

「・・・・傍にいても、いいですか・・・・?」

それは、刹那がずっと悩んでいたモノだった。
一方的な理由で突き放していた木乃香に、図々しく接していいものなのか・・・・と。
しかしその質問が木乃香にとってどれだけ嬉しいものだったか、刹那は知る由も無かった。

「・・・・当たり前やえ」
「ほ、本当に?」
「うまく話せへんでも・・・・傍にいてくれた方が嬉しいえ・・・・」

木乃香は刹那の方を見なかった。
嬉しさで木乃香の目じりには、涙が溜まっていたから。
刹那は刹那で、ほっと安堵のため息をついていた。

516 名前:小さいけれど大きな質問[sage] 投稿日:2007/06/29(金) 22:34:50 ID:Bmz2kyDd

・・・・ただこの場所でそういった言い回しの質問は、自滅をしたようなものだった。
もしここが静かな場所であれば、二人は落ち着いて絆を確かめ合えたかもしれない。

「せっちゃん、もうウチの前から消えたら――」
「――ついにきたー! 愛の告白!!」
『えっ!?』

そう、ここは"人通りが多い廊下"である。
二人の死角から、パパラッチこと朝倉和美が飛び出した。
その手にはカメラが。
どうやら会話の一部始終を聞かれていたらしい。

「え、え? 愛の・・・・?」
「『傍にいたい』だなんて、刹那っちも大胆な事言うねぇ〜!」
「・・・・なっ! 違います!!」

もちろんそれはただのからかいで、記事になる事は無かった。
しかしその時の朝倉を追いかける刹那の必死な姿は、多くのクラスメート達に目撃され・・・・。
刹那の変化をクラス全体に知らしめる、大きな効果となったのである。

またその後の小休憩から、刹那と木乃香は一緒にいるようになった。
普段から木乃香と一緒にいる明日菜も刹那を受け入れ、ここに固定の三人グループができたのだ。

そして・・・・刹那が初めてのボーリングを経験するのは、この日の放課後の事である。

FIN

<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>


ページトップ

管理人:虚武僧
web拍手
┣サイトへの意見・要望
┗リンクミスの報告など