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561 名前:週間テーマ 『蛍』[sage] 投稿日:2007/07/03(火) 02:34:38 ID:EUxEhOPx

「・・・・とりあえず、元の道に戻りましょう。皆さんが心配します」
「あ、ちょい待ってーな。 ・・・・ほら、あれ」
「・・・・あ」

木乃香が指差す方向には、小さい黄緑の光があった。
今回のイベントの主役、"蛍"である。
しかしそれは小さい上に少し遠く、また近づくのも大変そうだった。

「楓ちゃんに、もう一つのスポット教えてもろうたんやけど・・・・ちょっと遠いなぁ」
「ここまでこなくても、ゴールで見れるのでは・・・・?」
「・・・・せっちゃんと・・・・」

木乃香はいまだに膝をつく刹那の手を引き、立ち上がらせた。
同じ目線になり、蛍を見る。

「せっちゃんと、二人で見たかったん」
「ふ、ふたり・・・・で?」
「うん。二人っきりで見るって、ロマンチックやろ〜v」

近くで見れない事に少し残念そうだったが、木乃香は満足そうに笑う。
それにつられて刹那も微笑んだ。
木乃香にしては珍しく少し我侭な行動だったが、最近仕事だの何だので二人きりになれなかった事実もある。
・・・・刹那は、結局今回も木乃香を許すことにした。

「ん〜ちょっと遠いけど、せっちゃんと見れたから満足や〜」
「そう言って頂けると嬉しいです」
「うん、めっちゃ嬉し・・・・・・・・あっ!」

562 名前:週間テーマ 『蛍』[sage] 投稿日:2007/07/03(火) 02:36:24 ID:EUxEhOPx

カシャン!

木乃香が携帯電話を地面に落としてしまった。
メール着信を告げるバイブで、ポケットから滑り落ちたようだ。
木乃香は慌てて携帯を探す。

「えーと、どこやろ・・・・」
「あ、ありました」

携帯からわずかに発せられる光で、刹那が先に発見した。
刹那は携帯を拾い上げると、木乃香の元に歩み寄る。

「きっとアスナさんかと・・・・はぐれてびっくりしてましたから」
「あー、そうかもなぁ・・・・」

木乃香はメールを確認する為に、刹那の手から携帯を受け取ろうとした。
――と、その時。

「――ひゃっ!? な、なんや・・・・蛍?」
「い、いつの間にこんなに近くに・・・・?」

刹那と木乃香の手の近くに、蛍が寄ってきていた。
驚いて二人が手を離すと、蛍は木乃香の方へと寄っていく。

「わわっ、どないしたんやろ?」
「あ、もしかして・・・・その携帯じゃないですか?」
「へ?」

木乃香は手に持っていた携帯を見る。
木乃香の携帯は、サブ画面の辺りに小さいライトがついている。
メールなどが来ると、黄緑色に点滅する仕組みになっているのだ。

563 名前:週間テーマ 『蛍』[sage] 投稿日:2007/07/03(火) 02:39:19 ID:EUxEhOPx

「蛍の光と・・・・似てます」
「・・・・ほんまや〜。意外な発見やね」

蛍は携帯の発光に近づいてきているようだった。
それに気付いた木乃香は再び刹那に近づき、携帯を二人の間に置いた。
蛍は二人の間を舞うように飛ぶ。
そしてその数は次第に増えて、想像していたよりもずっと綺麗な光景が二人の間に広がった。

「あんなに離れとったのに、わかるもんなんやね・・・・せっちゃんと、同じや」
「え?」
「今日もそう、離れてたんにすぐに探し出してくれた」
「うっ・・・・お願いですから、心配させないでください・・・・」

今更ながら、刹那は自分の取り乱し様を思い出して赤面。
自然と二人は、この無数の光の中で雑談をする。
二人きりになれなかった時間の事を中心に、二人は補い合った。

「・・・・ほな、そろそろ戻らんとな」
「はい、本当にみんな心配します」

二人ははぐれないよう、手を取り合ってその場を後にした。
きっと来年も二人でここに来る事ができると、その温もりで確かめ合って。

その後二人が、司会進行役や明日菜にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。


FIN

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