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558 名前:週間テーマ 『蛍』[sage] 投稿日:2007/07/03(火) 02:28:43 ID:EUxEhOPx

「それじゃ〜、はっじめるよ〜〜!!」
「二〜三人に分かれてくださいです〜」

必然と木乃香と明日菜はペアを組んだ。
そしてくじを引き、みんなが順番に目的地へと歩き出す。

「そろそろウチらの番やえ」
「とっととゴールして、部屋で寝よ・・・・」
「も〜、アスナったら〜」

いきなり冷めてる明日菜を引っ張り、木乃香もスタートした。
誰から見ても余裕のスタート。
しかし木乃香には一つ企んでいる事があった。
それは明日菜も知らない事であり、木乃香自身もそれが素晴らしい思い出となる事を、今はまだ予測する事はできなかった。

*

(えーと、これで3組目・・・・っと)

その頃刹那は、もっとも迷い易いであろう地点でクラスメートたちの進行を見守っていた。
ほとんど一本道なので迷うことはないだろうが、それでも念を入れての行動だった。

(えーと、次は・・・・お嬢さまとアスナさんか)

すでに通る順序も通達されていて、準備は万端。
一組でも欠けていれば刹那が戻って、深く迷いこむ前に導いてやればいい。

(あ、きたきた・・・・あれ?)

559 名前:週間テーマ 『蛍』[sage] 投稿日:2007/07/03(火) 02:30:41 ID:EUxEhOPx

刹那は気を張り巡らせて、向かってくる人数と本人確認をする。
向かってくるのは・・・・一人。
おそらくこの気配からして、明日菜だろう。
しかし問題なのは、明日菜が一人ということだ。

――ガサッ!

「・・・・アスナさん!」
「ぉわっ!?」

突然木の上から降ってきた生物に、明日菜はびっくりして後退した。
肝試しだと聞かされてる状態でこんな登場をされたら、誰でも驚くだろう。

「もう! 脅かさないでよ、刹那さ――」
「それよりも! お嬢さまは!?」
「・・・・へ?」

明日菜は後ろを向く。
・・・・いない。

「あ、あれ? さっきまでいたのに!?」
「アスナさんはゴールに行っててください! 私が見てきます!」
「あ、ちょっと――」

明日菜の制止を振りきり、刹那は走り出した。
刹那が最も守りたいと思う人が、この夜の暗い森で迷子になりかけている。
過去の失敗も脳内でループし、刹那は自己嫌悪に襲われていた。

・・・・しばらく木の上を駆けると、見覚えのある気配が感じられた。
それは間違いなく、刹那の想い人。

560 名前:週間テーマ 『蛍』[sage] 投稿日:2007/07/03(火) 02:33:04 ID:EUxEhOPx

――ガサッ!!

「っ、お嬢さま!!」
「わひゃあぁ!?」

木乃香も明日菜と同様、上から降ってきた刹那に驚く。
とっさに折りたたみ式ワンドを取り出して、身構えていた。

「せ、せっちゃん・・・・? びびらせんといてぇなぁ・・・・」
「も、申し訳ございません・・・・ご無事で、よかった・・・・!」

息を切らし、刹那は木乃香の足元にひざまずく。

「堪忍な〜、でもやっぱりきてくれた〜♪」
「・・・・はい?」
「せっちゃん、警備やっとったんやろ? 楓ちゃんが教えてくれてな」

楓と刹那のみが知るはずだった仕事なのだが、どうやら木乃香が楓から聞き出したらしい。
木乃香は二人の意味深な会話に嫉妬していたのだ。
楓は木乃香の黒いオーラに屈したらしい。

「楓ちゃんが一人で大丈夫やから〜って。だからウチ、わざと道外れてみたん」
「・・・・勘弁してください。本当に焦ったのですから・・・・」
「せやかて、そうでもせんとせっちゃん出てきてくれへんやん?」

全て木乃香の計算通りだった。
仕事モードの刹那は、何かが起きない限り持ち場を離れる事はない。
その"何か"を起こす為に、木乃香はわざと道を外れたのである。

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