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130 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:22:11 ID:nc44Hnxe | ||||
「・・・・単刀直入にお聞きします。なぜ、私を解雇したのですか?」 「・・・・・・・・」 「力のない私は、用無しということですか?」 「ちゃ、ちゃう! そんなんやないえ!」 自分の意図とはまったく異なる刹那の発言を、木乃香は慌てて否定する。 その木乃香の言葉で、わずかに刹那の雰囲気がやわらかくなった。 「・・・・・・・・ウチの傍におったら、せっちゃんは傷付いてまうから」 刹那のやわらかい雰囲気に、安堵に似た感覚を感じた木乃香。 静かに理由を話し始めた。 「せやから・・・・せっちゃんはウチから離れて、普通の女の子として・・・・暮らした方が・・・・ええって・・・・」 しかし次第に木乃香の声は小さくなり、嗚咽が混ざり始める。 刹那が記憶を取り戻して、自分の傍にいる事が嬉しい。 でも自分の傍にいては、刹那はまた傷付いてしまう。 目の前に刹那がいる嬉しさと、刹那を守れない自分の無力さが交錯し・・・・抑えきれない感情が溢れだしてきていた。 「せやからっ・・・・せっちゃん、には・・・・京都で・・・・静かに――」 「――嫌です」 「え・・・・? あ・・・・」 気がつけば刹那の顔が、木乃香の顔のすぐ傍にあった。 木乃香はとっさに顔をそらすが、刹那はかまわずに続ける。 「あなたは・・・・昔の私と同じ過ちを犯そうとしています」 「・・・・せっちゃんと、同じ・・・・?」 「はい。誰かを守るために強くなろうとして・・・・結果的に、その誰かを置き去りにしているではないですか?」 | ||||
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131 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:23:36 ID:nc44Hnxe | ||||
木乃香はハッとして刹那の顔を見た。 刹那の手が木乃香の頬を撫で、親指で涙を拭う。 もう刹那からは、鋭い雰囲気はまったくしなかった。 「魔力の消費でわかります・・・・私がいなくなってから、強くなろうと頑張っていたのですね」 「・・・・う、うん・・・・」 「その心意気を悪くは言いません。ですが・・・・もうわかりますよね?」 刹那が軽く木乃香を引き寄せ、抱きしめた。 木乃香も刹那を抱き返し、刹那の胸に顔を埋めた。 本当ならば、二人とももっと言う事があるはず。 しかしそれらは二人が長年培ってきた絆により、不必要なものとなった。 「ウチ、間違うてた・・・・堪忍な、せっちゃん・・・・!」 「・・・・昔の私には、この事を教えてくれる人がいませんでしたから・・・・」 あなたには同じ間違いをしてほしくなかったのです、と刹那は苦笑する。 そんな刹那に対して木乃香は顔をあげ、刹那の唇に口付けた。 謝罪と感謝を含めた、軽く触れる程度のキス。 「――これからは・・・・ううん、これからもずっと、一緒にいような・・・・」 「・・・・はい。一緒に修行して、勉強をして」 「あと、一緒に遊んで・・・・な?」 「・・・・それと疲れたら、一緒に寝ましょう」 次の深い口付けは刹那から。 二人は久しぶりの感触に酔う。 しばらくして二人が離れると、木乃香の身体からは力が抜けていた。 | ||||
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132 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:24:23 ID:nc44Hnxe | ||||
「アカン・・・・安心したら、眠うなってきた・・・・」 「魔力の使いすぎで疲れてるんです。今は休んでください」 「でも・・・・ウチ・・・・ご飯つくらな・・・・」 刹那は必死に起きようとする木乃香を抱き上げ、自分のベッドへ寝かせる。 そして布団を掛けて、木乃香の額を優しく撫でた。 「少し寝れば楽になります。一時間ほどで起こしますから」 「・・・・ありがと、せっちゃん・・・・・・・・あと・・・・ほんまに、ごめん・・な・・・・」 すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。 刹那は木乃香が寝たのを確認すると、立ち上がって木乃香が持ってきた荷物を振り返る。 そこには愛刀、夕凪が静かに主を待っていた。 刹那は夕凪を手に取って、静かに抜く。 (ふう・・・・ただいま、夕凪・・・・・・・・あっ) 刹那は夕凪を抜いたまま、慌てて木乃香を振り返った。 もちろん木乃香は寝ている。 「・・・・お嬢様に、ただいまって言うの忘れた・・・・」 律儀すぎる刹那は、木乃香に挨拶をし忘れた事に気付いて焦った。 必死にこの後どこで言うべきかを考える。 (起きた時に? いや、でもそれだと"おはよう"が適切か・・・・うーん――) | ||||
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133 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:27:47 ID:nc44Hnxe | ||||
ぐぅー。 「うっ・・・・」 刹那が必死に考える中、刹那の腹の虫が鳴いた。 木乃香の寝息だけが聞こえる静かな部屋では、それはとても大きく聞こえる。 慌てて戻ってきた為に昼食を食べそびれたのを、刹那はすっかり忘れていたのだ。 (・・・・留守にしてたから食料もないし・・・・お嬢様にねだるしかないか・・・・) 木乃香に説教をしておきながら、自分もボロボロ。 刹那は自分の不甲斐なさに一人で凹んだ。 そして抜かれたまま放置された夕凪は、そんな主を笑うようにキラリと輝いていた。 FIN | ||||
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