TOP
TOP   SS   イラスト
<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>
127 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:17:11 ID:nc44Hnxe

「東京行きの切符です」
「え・・・・」
「せっかくお休みになったのですし、"幼馴染"に会ってきてはどうですか? きっと、会いたがってますよ」

それは詠春が、刹那と木乃香に与えた再会の切符だった。
刹那はその切符を、しっかりと握り締める。
その刹那を見て詠春は微笑んだ。

「夕凪を取り戻せば、解雇は取り消しましょう」
「・・・・ありがとうございます、長! この恩は必ず!」

刹那は深く頭を下げ、木乃香の実家を飛び出した。
その後姿を、詠春はわが子を送り出すような表情で見送っていた。

*

「出ていけ、近衛木乃香」
「え? なんでやエヴァちゃん?」

別荘で修行をしている木乃香のところに、エヴァンジェリンが訪れた。
そして会うや否や、木乃香に追放を言い渡す。

「魔力を無駄使いすぎだ、馬鹿者」
「で、でも・・・・」
「邪魔だと言ってるんだ。とっとと出てけ」

その後も反論した木乃香だったが、さすがに真祖が相手では歯が立たなかった。
木乃香は他のメンバーより一足先に、エヴァンジェリンの別荘を後にする。

128 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:18:31 ID:nc44Hnxe

「ウチ、まだまだ大丈夫やのに・・・・」

最近の木乃香は修行にのめり込んでいた。
大切な人が守れなかったのを後悔し、強くなろうと必死になっていた。

(今日もご飯だけ作って、おじいちゃんとこに行こかな・・・・)

木乃香はここ最近明日菜と会話をしていない。
しかし、ご飯の用意だけはするようにしていた。
それが自分の役割だと思っていたし、何より木乃香の料理を幼馴染は「美味しい」と喜んで食べてくれたから。

「ん〜、少し部屋で練習しよっかな・・・・」
「身体に良くないですよ」
「・・・・っ!?」

寮に入って呟いた独り言に、思いがけず返事が戻ってきた。
木乃香は驚いて顔をあげる。
返事の主は、普段木乃香が使う階段の手すりに寄りかかって、木乃香を見つめていた。

「せ、せっちゃん・・・・なんで・・・・?」
「荷物重そうですね、持ちましょうか?」
「だ、大丈夫や・・・・」
「そうですか」

木乃香の手には、学校のバッグと今晩の食材・・・・そして夕凪があった。
しかし刹那は夕凪をすぐ取り戻そうとはせずに、そのまま黙って歩き出す。
木乃香も引き寄せられる様に刹那についていった。

129 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:20:37 ID:nc44Hnxe

(せっちゃん、どうして・・・・)

まだ記憶が戻った事を知らない木乃香は、どう対応すればいいのかわからない。
そのまま二人は会話もないまま、刹那の部屋の前に来た。

「どうぞ、お入りになってください」
「あ・・・・ウチも部屋に戻ってご飯作らないと・・・・」
「ではなぜついてきたのですか・・・・お嬢様?」
「っ、せっちゃん記憶が・・・・!」

記憶が戻った事を知らせるように、刹那はわざと木乃香のことを"お嬢様"と呼んだ。
しかし嬉しい報告のはずなのに、刹那の顔は険しい。

「入ってください」
「あ・・・・」

刹那が戸惑っている木乃香の手を引いて、無理やり部屋に入れた。
刹那はしっかりとドアに鍵をかけ、木乃香に奥に行くように促がす。
木乃香は逆らう事ができずに、おとなしく部屋の奥に座った。

「・・・・せっちゃん、いつ記憶戻ったん・・・・?」
「今日の昼前です」
「じゃあ・・・・すぐ戻ってきたんや・・・・」
「はい」

刹那は質問にだけ簡潔に答えた。
久しぶりの会話が長続きしない。
木乃香は刹那が怒っている事にこの時気付き、これ以上木乃香から話しかける事はできなくなった。

<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>


ページトップ

管理人:虚武僧
web拍手
┣サイトへの意見・要望
┗リンクミスの報告など