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124 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:13:15 ID:nc44Hnxe

(助けな・・・・きゃ・・・・、・・・・助ける?)

無意識に、刹那は"何か"を守ろうとしていた。
刹那はその記憶と意識の矛盾に気付き、それがきっかけで冷静さを取り戻す。

(もしかして・・・・過去の記憶・・・・?)

混じり込んできたもの――それは、別の誰かを助けようとして川でもがいた、過去の記憶。
死を前に刹那の意識は、記憶の扉の前にきていた。
それでもその扉には辿り着いただけで、開く事はない。

(助け、なきゃ・・・・初めての・・・・誰を・・・・?)

「・・・・うっ、がはっ・・・・!」

そして死が迫っている事にも変わりない。
刹那は記憶の鍵を探して、新しいわずかな記憶を振り返った。
その間も刹那の頭の中ではフラッシュバックのように、失った過去の記憶がチラつく。

(最初に会ったのは・・・・このかさんだったっけ・・・・)

最初に出てきたのは、真っ白な記憶を持って目覚めた時に傍にいた木乃香だった。
そしてチラつく記憶には、昔川で溺れた幼馴染の姿。

(この、か・・・・このか・・・・無意識に守りたいと思った・・・・。私は昔、川で溺れたあの人を・・・・川で、溺れた?)

その二つが重なり・・・・それが記憶の扉の鍵となった。

125 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:14:31 ID:nc44Hnxe

(・・・・そうだ、あの人は・・・・!)

木乃香を中心に渦巻くように、刹那が失った記憶が戻ってくる。
刹那は全てを思い出した。

「ぷはッ・・・・このちゃん! 今助け――っ」

刹那は昔の記憶のまま、木乃香を助けようと叫んだ。
しかしすぐに現実に戻って、身体に力を込める。

――ドーンッ!

力の使い方を思い出した刹那は気を使い、川から脱出する。
しかし、刹那の表情は暗かった。
幼馴染が何を考えてこの京都へ自分を送ったのかを、刹那は悟ってしまっていたのだから。

*

「長!」
「・・・・どうやら、思い出したようですね」

刹那は民家に戻り着替えると、すぐに詠春の元を訪れた。
民家の主から連絡を受けていたのか、詠春は落ち着いて刹那を受け入れる。

「長、私を・・・・麻帆良に戻してくださいませんか?」
「刹那君・・・・」
「お願いです・・・・私は、このままお嬢様と離れたくはありません・・・・」

126 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:16:04 ID:nc44Hnxe

麻帆良への帰りの切符が無い事。
そして木乃香が持っていった、愛刀の夕凪。
従者が得物を主に取られるという事は、主を守る力を主自身に奪われたという事。
・・・・すなわち、用無しという事を意味する。

「もちろん、私も君を解雇するつもりはありません。ですが・・・・木乃香が頑固でね・・・・」
「な、なぜ・・・・お嬢様は・・・・」
「木乃香は君に・・・・普通の女の子として生きて欲しいと願っています。
 かつて私たちが、木乃香に対してそう思っていたように」

詠春の言葉に、刹那は顔を伏せて唇を噛みしめた。
確かに学園長と会った日に、『全てを任せる』と自分は言った。
しかしその結果、木乃香と離れ離れになってしまった事に刹那は納得がいかない。
特にその判断が木乃香によるものだというならば、なおさらだった。

「・・・・刹那君、君は何ですか?」
「私は・・・・私は、もう・・・・」
「もうひとつあるでしょう?」
「え?」

詠春は顔をあげた刹那に、何も言わずに封筒を差し出した。
刹那はそれを受け取る。

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