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121 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:08:54 ID:nc44Hnxe | ||||
記憶喪失というのは不思議なもので、不安や焦りというものがまったくしない。 それは記憶から起こる悩み等もきれいさっぱり無くなるからであり、刹那も例外ではなかった。 (このかさんはきっと私を知っている・・・・私もきっと、このかさんのことを・・・・) しかし刹那は、どうしても過去を思い出さなければならない気がしてならなかった。 麻帆良でとっさに助けた少女・・・・近衛木乃香の顔が、なぜか頭から離れないのだ。 ずっと前から知っていたような、誰よりも大切に思っていたような。 (・・・・だめだ、気晴らしにいくか・・・・) いくら考えても思い出せない刹那は、立ちあがって玄関に向かう。 玄関先では民家の主が植木の手入れをしていた。 「あれ、どこに?」 「少し散歩をしてきます」 「昼食の時間も近いから、あまり遠くに行かないようにね」 「はい、いってきます」 刹那は相手に軽く頭を下げると、人のいない森に入る。 そして誰もいないのを確認すると走り出した。 ――刹那のその速度は常人のものではない。 刹那はここ数日で、自分が普通とは違う力がある事に気付いてしまっていた。 しかし誰もそれについて教えてくれないために、刹那も誰にも言うことはなかった。 「川・・・・なんか懐かしいな」 | ||||
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122 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:09:42 ID:nc44Hnxe | ||||
森の中で少し開けた場所に出ると、そこには川があった。 刹那はなぜか川に懐かしさを感じて、川縁を歩いてみる。 「向こうまでは10メートル位かな・・・・よし」 刹那はしばらく足元の砂利の感触を確かめた後、強くそれを蹴った。 ・・・・普通ならば、決して人が飛び越えることなどできない川幅。 しかし刹那は容易に飛び越える事ができた。 (私は何者だったんだろう? こんなすごい能力を持っていたなんて・・・・) 刹那は上流に向かいながら何度も川を往復し、時には石や木の枝を遠くへ投げる。 刹那は早く走れ、高く跳べ、遠くに物を投げれる事が楽しくて仕方がなかった。 それは高畑が恐れていたこと・・・・"力に溺れる事"への序幕だった。 (あ、いけない・・・・帰らないと) それでも刹那の律儀な性格は健在で、しばらく楽しんだ後に我に返る。 そして刹那は民家に戻るために、下流に向けて一気に大ジャンプを図った。 「はっ!」 着地地点は、川中央にある大きな岩場。 力加減もちょうどよく、刹那はそこに降りる。 ・・・・が、刹那はここで過ちを犯した。 | ||||
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123 名前:記憶喪失2[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 04:10:58 ID:nc44Hnxe | ||||
グラッ・・・・ 「うわっ!?」 その岩場は土台がしっかりしていなかった。 そのため刹那の着地の衝撃に耐え切れず、崩れてしまったのだ。 予想外の出来事に刹那は対応しきれず、そのまま岩と一緒に川に落下してしまった。 「ぷはっ・・・・うっ・・・・!」 先日の雨のせいか、川は荒れていた。 それに加えて衣服に水が浸み込み、身動きが取り難くなる。 "力"がある事は知っていても十分に使いこなせない刹那は、激流に飲まれてしまった。 「がぼ・・・・っ・・・・!」 川底へと流され息ができず、目も開ける事ができない。 何かにすがろうと手を伸ばすが、それも無駄な抵抗となった。 (駄目だ、このままでは・・・・!) 刹那は記憶を失ってから初めて命の危機を感じる。 そして生きるために、必死でもがいた。 しかしその抵抗もむなしく、刹那の意識は呼吸困難によりだんだん暗くなっていく。 (誰か、助けて・・・・助けて・・・・・・・・を、助けて・・・・助けなきゃ――) ・・・・そうやって必死に生きようとする中、刹那の意識に別の何かが混じり込んできた。 何かを求めるように、刹那は手を伸ばす。 | ||||
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