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297 名前:Alcohol[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 18:12:54 ID:kcQYI8bP

木乃香は慌ててその後を追う。
犬の足跡は点々と続いていて、追いかけるのにさほど苦労はなかった。
そしてその足跡は、骨董品置き場からさほど離れていない一室へと消えていた。

『・・・・せっちゃんいてるん〜? あっ』
『わぅ!』
『クロちゃん、しーっ』

何もない一室で、剣道着を着た子供が夢の世界に落ちていた。
その子供こそが木乃香の探していた刹那だった。
日頃の稽古と木乃香との遊びで、疲れが溜まっていたのだろう。
犬が少し吼えただけではまったく目覚めなかった。

『クロちゃんしずかにな。・・・・たしかここに〜・・・・あったー!』

幼いながらに母性本能をくすぐられた木乃香は、押入れから掛け布団を取り出して刹那に掛ける。
布団の重さに負けて少し乱暴になってしまったが、刹那は少し呻いただけで起きる事はなかった。

『くぅん』
『あっ、クロちゃんだ〜め〜! ひゃ!?』

その布団に犬が潜り込む。
それを阻止しようとした木乃香だったが、力負けして一緒に引きずり込まれてしまった。

『もー、おこしちゃダメやえ?』

犬は答えるように、鼻を鳴らして伏せた。
木乃香も刹那の横に寝転がる。
大きな大人用の布団だったので、子供二人と小型犬が入っても十分に余裕があった。

298 名前:Alcohol[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 18:14:54 ID:kcQYI8bP

『せっちゃんがねてるん・・・・はじめてみるなぁ・・・・』

木乃香の隣には、大好きな幼馴染いる。
しかし寝てるため、もちろん会話はない。
大好きな人がすぐ隣にいるのに、話しかけられない・・・・この状況は、木乃香にとって初めてだった。

『・・・・せっちゃんねてると・・・・ウチさみしい・・・・』

誰に聞かせるでもなく、木乃香は呟く。
また一人残される孤独感。
木乃香は少し泣きそうになってしまい、刹那の手を握る。
刹那のその手は温かく、木乃香を安心させた。

『すぅ・・・・すぅ・・・・』
『・・・・ぐぅ』
『あ、クロちゃんもねてもうた・・・・ウチもねむうなってきたなぁ・・・・』

隣の刹那の体温が心地よく、次第に眠くなってくる。
そして木乃香も襲ってくる睡魔に勝てず、そのまま目を閉じた。
外では、まだ降る雨の音。

(おきたら・・・・たいようさん、でてるとええなぁ・・・・そしたらせっちゃんと・・・・)

木乃香は刹那の手を握ったまま、夢の世界に落ちていった。

*

299 名前:Alcohol[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 18:16:03 ID:kcQYI8bP

――チュンチュン

「ん・・・・」

刹那は窓から差す光で目覚めた。
どうやら寝る前に、カーテンを閉め忘れたようだ。
軽い頭痛に疑問に思いつつ、刹那はまた目を閉じて昨日の事を思い出す。

(そうだ、お酒を飲んで・・・・お嬢様がきて下さったのに寝て・・・・ん?)

ふいに頬に感じるやわらかい感触と、鼻をくすぐる優しい香り。
刹那は一度閉じた目を、もう一度開けた。

「・・・・っ!?!?」

木乃香が隣で寝ている。
そして刹那の目の前には、木乃香の胸があった。
それも抱き締め合っていたらしく、しっかりと刹那の腕も木乃香の身体にまわっている。

「おじょ、じょ・・・・!?」
「・・・・ん・・・・あ、おはようさん、せっちゃんv」
「お、おお、おはようございますっ」

刹那が取り乱して大きく動いた為に、木乃香も目覚めた。
起き上がってググーッと背伸びをする木乃香。
刹那はその間に木乃香から大きく離れた。

「お酒抜けた?」
「あ、はい・・・・少し頭痛がしますが・・・・」
「立派な二日酔いやな〜。水持ってきてあげるな」

300 名前:Alcohol[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 18:17:06 ID:kcQYI8bP
木乃香は苦笑いしながら立ち上がると、台所から水を持ってきた。
それを刹那に渡し、そっと額に手を当てる。

「真っ赤やけど、これも二日酔い?」
「い、いえ、これはその・・・・っ」
「・・・・言うとくけど、先に抱きついてきたんはせっちゃんやからね?」
「ぶっ! げほっげほ・・・・!」

誤魔化すように水を飲もうとした刹那は、木乃香の発言でむせた。
木乃香は笑いながら更に続ける。

「このちゃーんって言うて、抱き締めてきてな・・・・」
「・・・・え? えぇ?」
「ウチのこと押し倒して、ほんで昨夜は熱い・・・・」
「わーわー!? ・・・・つぅっ」

木乃香は刹那の反応が面白く、わざと嘘を織り交ぜて昨日の事を話す。
刹那は大慌てで、木乃香の言葉を遮るように叫んでしまった。
そしてすぐに自分の声で頭痛を感じて、ダウンした。
木乃香はそんな刹那を、優しく撫でる。

「冗談冗談。それより、外ええ天気やから・・・・遊びにいこ?」
「え、あ・・・・冗談・・・・って、これから?」
「もちろんや、二日酔いは理由にせんどいてな?」
「は、はい・・・・」

木乃香は二日酔いの刹那を引っ張った。
刹那はまだ頭痛を感じていたが、大人しく木乃香に引っ張られて行く。
そして心に強く誓ったという。
「もう決して酒は飲まないぞ」と。

FIN

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