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492 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:34:38 ID:fd/MCBD/

「あの、アスナさん。お嬢様は・・・・」
「あー、今日も委員会と部活だってさ〜。私はバイトあるから、もう行くね!」
「そうですか、わかりました・・・・」

(お嬢様の予定までわからなくなってきている・・・・これはまずい・・・・)

刹那はがっくりと肩を落とした。
最近どうも、木乃香とすれ違いが多くなっている。
今日みたいに刹那がフリーの時には木乃香が忙しく、木乃香がフリーの時には刹那が忙しいのだ。

「桜咲さん、あそぼー!」
「え・・・・?」
「ダメですか〜?」

諦めて帰ろうとした刹那に、鳴滝双子が話しかけた。
刹那も鳴滝も、まだまだ遊び盛りの中学生。
昼休みや放課後といった時間、部活がない人はこうやって同じように暇な人を誘う。
修学旅行でクラスメイトと馴染んだ刹那も、こうやって誘いを受けるようになっていた。

「今日は部活もありませんが・・・・」
「なら決定だね! 一人追加〜!」
「・・・・?」

一人追加、と言う事は団体で遊ぶのだろうかと刹那は考える。
といえばバスケやバレー、ドッヂボールといった遊戯が普通だ。
しかし鳴滝の周りには・・・・というか、教室にはほとんど人はいなかった。

「他の皆さんは、もうグラウンドに?」
「ううん、学校のどこかにいるよ」
「・・・・どこか?」
「はい、今日は隠れ鬼なんです〜」

493 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:36:35 ID:fd/MCBD/

隠れ鬼とは、かくれんぼと鬼ごっこを合わせたもの。
鬼以外の人は広大な敷地の中で鬼から隠れる。
そして万が一見つかっても、逃げる事ができる。
特に場所が"校舎"ならば、隠れる場所が多いので体力はあまりいらない。
逆に体力に自信があるならば、屋外にいて逃げ切れば良い。

「そ、そうなんですか・・・・鬼は誰なんですか?」
「今は桜子だよ、でも教えるのは最初だけだからね」
「鬼が入れ替わったら、私たちがメールで『鬼が変わった』ってメールしますー」
「だから捕まったらメールするんだぞ。あ、それと今日は3-Aしか参加してないから」

それは主催者である鳴滝双子以外は、リアルタイムで鬼を知る事はできないという事。
逃げる側が鬼を把握するには、誰かが捕まったところを見るか、鬼が誰かを探る洞察力を駆使するしかない。
となれば・・・・手ごわい相手を敵にまわしたくなければ、一緒に行動した方が得策だろう。

「あ、嘘つくのは絶対にダメだからね?」
「あとで集合するですから、ルール違反が発覚したら罰ゲームです〜」
「は、はい・・・・わかりました」
「じゃ、最終予鈴がなったら寮の玄関に集まってねー!」

鳴滝双子はルールだけを言い残して去っていった。
参加メンバーが誰かも伝えずに。
この様子だと、今日暇な3-Aの生徒は全員誘われているのだろう。

(・・・・3-Aが相手だと、油断できないな。下手な修行よりも疲れそうだ・・・・)

ルール違反が罰ゲームだと言っていた。
しかしこのクラスの事・・・・最後まで鬼であれば、その人にも何かが待っているに違いない。

(はぁ・・・・まぁ暇つぶしにはなるか・・・・)

494 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:38:02 ID:fd/MCBD/

刹那はため息をつきながら、教室を後にした。

*

刹那が教室を離れてから一番最初、"不参加者"を装った桜子が近づいてきた。

「刹那さーん、こんにちはー!」
「え、あ、はい・・・・」
「ちょっと手相を拝見・・・・って逃げたー!」
「す、すみませんー!」

もちろん情報を得ていた刹那は、桜子から逃げる。
さすがに一般人である桜子は刹那には敵わず、刹那は無事逃げ切る事ができた。

「とりあえずどこかに隠れるか・・・・」

桜子から逃げ切った刹那は隠れるために、屋上へと向かう。
ちょうどそこには誰もおらず、刹那はしばらくそこに身を隠した。
・・・・が。

「お! ここにいるって事は、刹那さんも参加者だにゃー!?」
「・・・・あっ・・・・!」
「まてー! ・・・・って、飛び降りた!?」

桜子に捕まったであろう裕奈に見つかってしまった。
屋上は入り口が一つなので、袋の鼠となってしまう。
しかし刹那はとっさに、プロの身のこなしで屋上から飛び降りた。

495 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:39:21 ID:fd/MCBD/

「あっ・・・・しまった、つい・・・・!」
「くー、さすが刹那さんだなぁ・・・・くやしー!」
「・・・・納得するのか・・・・さすが3-A・・・・」

一般人から常識外れな逃走をしてしまった刹那だったが、どうやらこのクラスはそういった常識に欠けてるらしい。
刹那はほっと一息ついて、急ぎ足でその場から非難した。

*

(下手に隠れるより、見通しが良い所にいたほうがよさそうだ・・・・)

刹那がそう判断して休憩所に来てから、10分ぐらい経つ。
その間、刹那の携帯には数分単位で鬼変更のメールが届いていた。
どうやらどこかで激戦が行われてるらしい。
スリルを楽しむクラスメイトならその場に向かうだろうが、あまりそういった事に積極的でない刹那はその場に留まった。

「・・・・お前も参加者か?」
「っ!? 龍宮か・・・・」
「あぁ・・・・」

気がつくと、刹那の背後には龍宮がいた。
ジリッと刹那は身構える。
しかし身構えているのは、相手の龍宮もそうだった。
しばらく睨み合った後・・・・二人同時に力を抜いた。

「ふふ・・・・この私が捕まるとでも?」
「それは私だって同じだ。・・・・楓やクーならまだしも」
「私としては、お前がこんな事に参加する事が意外だ。ずいぶんと丸くなったものだな、刹那?」
「・・・・お互い様だろ」

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