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496 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:41:15 ID:fd/MCBD/

龍宮は、休憩所のベンチに腰掛ける。
刹那も同じベンチに腰掛けた。
刹那はこの仕事のパートナーが傍にいるだけで、大きな安心感を感じていた。

「・・・・それで、龍宮はなぜここに?」
「校舎の方で鬼が走り回っててな。面倒だから離れた」
「なるほど・・・・」

参加こそはしてるものの、結局は龍宮も傍観側らしい。
そこで会話は止まり、二人は心地よい風に身を委ねる。
それでも両者共に周りに気を配り続けていた。

「――せっちゃーん!」
「あ、お嬢様・・・・!?」
「む・・・・」

しばらくそうしていた後、校舎の方から木乃香が走ってきた。
刹那は警戒を解いて、慌てて立ち上がる。

「あ、龍宮さんもおったんや・・・・」
「ああ・・・・それより、近衛は刹那に用があるんじゃないのか?」
「そうやけど・・・・せっちゃんはここで、龍宮さんと何してたん?」
「え・・・・鬼から、逃げてて・・・・」
「・・・・ふーん?」

木乃香はジトーッとした目で刹那を見て、ゆっくりと近づいていく。
刹那はその木乃香から滲み出る黒いオーラに、息を呑んで立ち竦んだ。

497 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:42:52 ID:fd/MCBD/

「ウチがせっちゃん探しとる間、龍宮さんとのんびりお話しとったんや?」
「え、あ・・・・ごめんなさい! お嬢様は今日は部活だとお伺いしていたので・・・・!」
「先生が出張でな、休みになったんよ・・・・メールしたえ?」

刹那は顔を歪めた。
従者が主の連絡に気付かない事は、重大な失態だ。
刹那は胸ポケットに入れていた携帯に手を伸ばす。
・・・・が、その手は木乃香に捕らえられた。

「えい!」
「――わわっ!?」

そしてそのまま木乃香は、飛び付くように刹那に抱きついた。
刹那は赤面して慌てていたが、木乃香は黒い笑顔ですぐに刹那から離れる。

「せっちゃん、捕まえたえ」
「・・・・・・・・へ?」
「・・・・やっぱりな」

一人だけ、わけがわからない刹那。
目の前と後ろで笑う二人を前に、ぽかんとしていた。
その刹那に、龍宮は少し呆れた顔で告げる。

「近衛が隠れ鬼の"鬼"だったんだよ、刹那」
「・・・・なっ!?」
「せっちゃん、ウチの傍にいないからわからないんやえ・・・・?」

刹那は驚き、携帯を見る。
5分ほど前に鬼が変わったと連絡が来たきり、メールは止まっていた。
校舎からここまでは5分もかからない・・・・木乃香が鬼であっても、なんら不思議はない。

498 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:44:19 ID:fd/MCBD/

「ひ、ひどいですお嬢様・・・・」
「・・・・ひどいんは、どっちやろね・・・・せっちゃんの、バカ・・・・」
「・・・・お嬢様?」

木乃香はそれだけ良い残し、その場から去っていった。
刹那は慌てて追おうとする・・・・が、今の自分の状況に気付いて踏み止まる。

(今の私は鬼・・・・ここでイベントを止めるのは・・・・)

そう・・・・刹那は今、隠れ鬼ではメインキャラともいえる"鬼"なのだ。
その鬼が仕事を放り出すのは、自分勝手すぎる。
刹那は周りに捕らえる事ができるクラスメイトがいないかと見回したが、残念ながら周りには仕事の相棒しかいなかった。

「た、龍宮・・・・って、遠っ!?」
「悪いな・・・・」
「は、薄情者〜!」

・・・・そしてその相棒も、逃げた。
相棒の裏切りに肩を落とす刹那・・・・しかしすぐに、体勢を立て直す。
そして木乃香が去った方向に走り出した。

「とりあえず・・・・お嬢様を捕まえよう。捕まえ返してはいけないなんてルール、なかったはずだしな・・・・」

刹那は結局木乃香が気になり、木乃香を追う事を選んだ。
そして刹那には絶対の自信があった。
木乃香が自分から逃げ切れるはずはない、と。
・・・・しかしその自信は、あっけなく崩れ去った。

499 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:45:49 ID:fd/MCBD/

「み、見つからない・・・・!」

あれからもう30分は経つ。
刹那は木乃香を探し続けていたが、姿はおろか気配すらも掴めないでいた。
木乃香のみを探していたので、他のクラスメイトも見つける事もできていない。

「最終予鈴まで時間もない・・・・どうする・・・・?」

他のクラスメイトを見つけ出す事ができれば、罰ゲームは避けられるだろう。
しかしこのまま木乃香を放っておくこともできない。
刹那は体育館の用具室で考え込んだ。

*

(・・・・せっちゃん、はよどっか行かへんかな・・・・)

木乃香は同じ用具室に隠れていた。
手には『気配消し』と書かれたお札がある。
刹那から逃げ切るため、木乃香は魔法を使用していたのだ。

(・・・・なんでウチ、こないに必死に逃げとるんやろ・・・・遊びなんに・・・・)

いつもの木乃香ならば、魔法などという力を使わずに純粋に遊びを楽しんだに違いない。
しかし自分以外の人と楽しそうに遊ぶ刹那を見た瞬間、木乃香の中に邪な感情が湧き上がった。
怒りのような、悲しみのような・・・・嫉妬という感情が。

「仕方ない・・・・」

木乃香に気付かないでしばらく考えていた刹那は、そう言い残してその場を離れていった。
その時呟いたその台詞を、木乃香は『他の人を探す』と解釈する。

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