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500 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:47:21 ID:fd/MCBD/

(せっちゃん・・・・行ってもうた・・・・)

木乃香の中に再び抑えきれない感情が沸き起こり、札を握る手に力がこもる。
確かに木乃香は今、本気で刹那から逃げている。
しかし、見つけて欲しくないわけではない。
本気で逃げる自分を、本気で探して欲しかった。
京都にいた頃の、あの日のように。

(・・・・せっちゃんの・・・・馬鹿・・・・)

刹那は最後まで自分を探さずに、他の人の所へ行った。
もう自分だけを見ていた刹那はいない。
木乃香はそれが堪らなく悔しかった。

(・・・・もう、かえろっかな・・・・)

木乃香は大きな音を立てないように、立ち上がる。
そして用具室を出た。

「――感情が漏れてますよ」
「っ!? せっちゃん!?」

突然声をかけられ、木乃香は驚く。
声をかけてきた相手は、紛れもなく刹那だった。
立ち去ったと思っていた相手の登場に、木乃香は動揺する。

「術は完璧でした・・・・ですが感情を剥き出しにしていたら、気配も一緒に漏れてしまいますよ」
「・・・・やってもうたわ〜・・・・ウチが出てくるん、待っとったん?」
「はい。用具室を出た直後に気配を感じまして・・・・戻ってきました」

501 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:48:46 ID:fd/MCBD/

刹那は木乃香に近づく。
それでも刹那は、木乃香を刺激しすぎないように距離をとっていた。

「やっぱ、せっちゃんには敵わんわぁ・・・・」
「いえ、まさかここまで術を会得しているとは・・・・驚きましたよ」

『陰陽道にも才能があるのでしょうか?』と、刹那は一人で呟く。
木乃香はそんな刹那に近づいて、刹那の顔を覗きこんだ。

「なぁせっちゃん・・・・泣いた?」
「え?」
「ウチの事見つからんくて、泣いた?」

刹那はきょとんとする。
木乃香は『覚えてないん?』と、続けた。

「ほら昔・・・・京都で、かくれんぼしたやん・・・・」
「あ・・・・はい」
「そん時せっちゃん・・・・ウチの事見つけ出せんで、泣いてもうたやん」
「・・・・え!?」

刹那は顔を赤面させて、必死に思い出そうとする。
木乃香はそんな刹那を見て笑っていたが、結局刹那は思い出す事ができずに木乃香に頭を下げた。

「す、すみません・・・・覚えてないです・・・・」
「もう、大切な思い出やのに・・・・せっちゃんは、もうウチだけの物やないんやね・・・・」
「え・・・・?」

木乃香は俯き、黙った。
刹那からはその表情を見る事はできず、二人の間に嫌な空気が流れる。

502 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:51:13 ID:fd/MCBD/

「・・・・ウチ以外の大切な人見つけて、どっかいってまうんやろな・・・・」
「そ、そんな事はありません!」
「あるえ・・・・さっきやてウチの事諦めて、他の所行こうとしたやん・・・・」
「それは、貴女がここに隠れているのに気付かなかっただけです! 貴女を探しに、この場を離れようとしたんです!」

拗ねる木乃香に、刹那は必死で訴えた。
偽りのない刹那のまっすぐな言葉に、木乃香は顔を上げる。

「ほんまに? ウチの事探してくれるん?」
「もちろんです!」
「せっちゃんでも手の届かないような、遠くに行ってしもうても?」
「生まれ変わってでも、必ず探し出します!」
「・・・・死んだらあかんて。せっちゃんあほやなぁ」

刹那の飛躍しすぎた考えに、木乃香は噴き出す。
刹那はまた顔を紅くして、うろたえた。
それでも刹那は訂正をしない。
その刹那の決意に木乃香は満足し、心の底から素直な笑顔を刹那に向けた。

「・・・・見つけてくれてありがとな、せっちゃん」
「い、いえ・・・・私は当たり前のことをしたまで・・・・」
「でもな、なんか忘れてへん?」
「え? ・・・・あ!」

――キーンコーンカーンコーン

「し、しまった・・・・!」
「これは隠れ鬼やえ? ウチ見つかってもうたけど、捕まってへんよ?」

503 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:55:26 ID:fd/MCBD/

刹那もそれを思い出したが、もう手遅れ。
無残にも、終了を告げる最終予鈴が鳴ってしまう。
木乃香の方が上手だったようで、最終予鈴が鳴る時間も計算に入れていたようだった。

「うちのクラスは悪ノリが過ぎるからなぁ・・・・罰ゲーム、楽しみやね?」
「・・・・うぅ」

木乃香は再び黒い笑顔を見せる。
そして刹那は、がっくりと肩を落とした。

「・・・・大丈夫やて。ウチが何とか言うて、罰ゲーム軽くしてもらうえ」
「ほ、本当ですか!?」
「でも、コスプレぐらいは覚悟しぃ?」
「・・・・十分重いですよ、それ」

完全な敗北に涙を浮かべる刹那。
木乃香はそんな刹那の手を笑顔で握り、寮へと歩き出した。

*

そしてこの後、罰ゲームを受けた刹那。
木乃香の頼みで罰ゲームも軽く(?)なり、犬耳メイドのコスプレをさせられた。

「・・・・わ、わん・・・・」
「っ! ・・・・刹那、お前にそういった趣味があったとは・・・・!」
「ち、ちがう! というか龍宮、お前が逃げたせいでこんな目にあってるんじゃないかー!」
「あかん・・・・せっちゃん似合い過ぎやわ・・・・!」
「そ、そんな・・・・、お嬢様まで・・・・!」

504 名前:隠れ鬼[sage] 投稿日:2007/09/11(火) 00:59:11 ID:fd/MCBD/

この、泣き言を言いながらもしっかりと罰を受ける刹那に、クラスメイトの数人が悩殺されかけたとか。
もちろん木乃香もその一人であり、必死で刹那を魔の手から死守したのは言うまでもない。

FIN

罰ゲーム元ネタ

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