TOP
TOP   SS   イラスト
<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>
8 名前:無くした物[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 19:53:28 ID:ogY01DJh

「このかさん、マスターの別荘に戻りますね」
「あ、ウチも〜」

夏休みに入ったばかりの今日も、ネギ君は訓練。
ちなみにアスナは、別荘の雪山で修行をしている。
一週間耐えれば、ネギま部(仮)の部長就任らしい。

「そや、せっちゃんとは最近どんな修行しとるん?」
「すみません、僕とは一緒じゃないので・・・・」
「へ?」

アスナが雪山に行ってからウチは、せっちゃんとネギ君は一緒に修行してると思い込んでいた。
せっちゃんも何も言ってなかったし・・・・。

「僕は刹那さんとも修行をしたいんですけど・・・・正直そんな余裕ないと言うか・・・・」
「そうなんや・・・・じゃあせっちゃん、いつもどこにおるんやろ?」
「え? このかさんと一緒にいるんじゃないんですか?」
「一緒におらへんよ。ウチもネギ君と一緒におると思うてたし・・・・」

そういった雑談をしながら、ウチらはエヴァちゃんの別荘に入った。
いくつものエリアに分かれたこの別荘は、ネギま部(仮)の拠点として部員達が使っている。
アスナが雪山に行く前も、せっちゃんはここでアスナと修行をしていた。

「・・・・刹那でござるか? 今し方、他のエリアに行ったようでござるが・・・・」
「確かジャングルエリアだたと思うアル」
「ありがとな。楓さん、クーちゃん」

なんで、せっちゃんは何も言ってくれないんだろう。
確かにウチとせっちゃんでは、修行する分野が違うかもしれないけれど・・・・。
それでもウチは、せっちゃんと一緒に強くなりたいと思っているのに。

9 名前:無くした物[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 19:54:47 ID:ogY01DJh

・・・・せっちゃんは深く考えてないのかもしれないけれど、ウチは胸に小さな痛みを感じた。

*

――ドォン・・・・

城の方で爆発音が聞こえた。
おそらくネギ先生が、エヴァンジェリンさんの教えを受けているのだろう。
別荘の破損をも気にしないエヴァンジェリンさんの訓練には、いつも驚かされる。

「やぁ、はぁ! ・・・・斬岩剣!」

言霊を込めて、神鳴流の奥義を繰り出す。
神鳴流は言霊を込めた技名を叫ぶ事が多いため、暗殺には向かない。
だから正面から戦いを挑み・・・・主の剣となり、盾となるのが私たち神鳴流剣士だ。

「神鳴流奥義、雷鳴――・・・・くっ」

しかし最近の私は、はっきり言ってたるんでいる。
その証拠に・・・・この様はなんだ。
楓との技を確認し合う程度の手合わせで・・・・利き手である右手に、怪我を負ってしまった。
一応処置はしたが、これでは本格的な修行はできない。

「・・・・情けない」

エヴァンジェリンさんに、幸せも剣も諦めないと誓ったはずなのに。
・・・・両立が難しい事など初めからわかっている。
だから麻帆良に来た時、お嬢様を避けていたんだ。

「今も・・・・避けてる事になるのかな・・・・」

10 名前:無くした物[sage] 投稿日:2007/09/29(土) 19:56:14 ID:ogY01DJh

今も強さを求めて、一人彷徨っている。
こうしている今も、お嬢様を一人にしてしまっているとわかっていても。

「お嬢様・・・・」

お嬢様の傍にいる幸せが、本当に私の剣を鈍らせるのか・・・・本当でも否でもどちらでもいい、確信が欲しい。
だから最近の私は一人でいる。
もう一度あの頃の私に戻り・・・・確かめるために。
・・・・精神統一をしようと、剣を構える。

(・・・・一人になることなど怖くない、初めから私は一人だったはず。
 もう一度、あの頃の私に・・・・。
 強さだけを求めていた、あの頃のように――)

――ドォン

また城の方から爆音が聞こえた。
剣に込めていた気が一瞬で散り、その音の方へと向く。
精神統一は、失敗。

「・・・・――」

私はネギ先生やお嬢様、他の皆さんの事が気になってその方向を振り向いていた。
・・・・あれほど人を避けて、一人でいる事が当たり前だったはずの自分が。
こんなに、他人が気になるとは・・・・。

「両立って・・・・難しいな・・・・」

私は"昔の私"に戻るのを諦め、夕凪を木に立て掛けた。
ねっとりとしたジャングル特有の湿気が、汗と一緒に気持ち悪く身体にまとわりつく。
まるで邪な闇が、くじけそうな私を取り囲んでいるかのように――。

<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>


ページトップ

管理人:虚武僧
web拍手
┣サイトへの意見・要望
┗リンクミスの報告など