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116 名前:エヴァの修行[sage] 投稿日:2007/10/06(土) 03:20:19 ID:/jjGAPaN

「さぁて・・・・今夜はどうしてもらおうかな・・・・ククク」
「わ、私にはお嬢様という・・・・」
「そのお嬢様は、結局お前を助けにこなかったじゃないか。薄情なものだな」

唇が触れるまで、後数センチ・・・・。
刹那は判断を誤った自分に後悔し、そして木乃香に心で謝罪した。
そして覚悟を決め、強く目をつぶる――。

バンッ!

「――ダメーー!!」
「おっと」
「わわっ!?」

まさに間一髪。
木乃香が茶道室に駆け込んできた。
肩で息をしており、大急ぎで来たのが見てわかる。

「はぁ、はぁ・・・・間に合うた・・・・!」
「間に合った? 残念ながら、刹那は自分の意思で私の元にいるのだぞ?」
「嘘や! そうやったら・・・・なんで今のせっちゃん、安心した顔してるん?」
「・・・・ほう」

木乃香の言う通り、危機を逃れた刹那は安堵の顔をしていた。
刹那は言葉にはしないが、刹那にとって不本意の状態であったと木乃香は確信する。
・・・・だが、エヴァンジェリンも手を緩めなかった。

「刹那、こっちへこい」
「は、はい・・・エヴァンジェリンさん・・・・」

117 名前:エヴァの修行[sage] 投稿日:2007/10/06(土) 03:22:35 ID:/jjGAPaN

命令され、刹那はエヴァンジェリンの元へと向かおうとする。
だが今度ばかりは木乃香も譲らなかった。
木乃香は刹那を引っ張る。

「せやから・・・・ダメやって!」
「えっ・・・・?」

刹那は引き寄せられる力に抵抗できず、バランスを崩した。
こうやってバランスを崩すのは、昨日から何度目だろう・・・・と刹那がそう考えるのも束の間。
刹那は顔にやわらかい感触を感じた。

「・・・・〜〜!?」
「せっちゃんは渡さへん!」

木乃香は、刹那の頭を胸に抱えていた。
刹那が木乃香の柔らかい胸に顔を埋めている形である。

「む、むぐ・・・・!?」
「刹那は私の方に来たがっているぞ? 開放してやったらどうだ?」
「そ、そないなこと・・・・」
「くくく、嫌われた理由でも考えるんだな・・・・それとも私が、刹那に何かしたとでもいう証拠でもあるのか?」
「何か・・・・? あっ」

『あれ絶対怪しいって。エヴァちゃんが刹那さんに何かしたのかも』

勝ち目のない口論中、木乃香の脳裏に明日菜の言葉が蘇った。
エヴァンジェリンが魔法的な何かで刹那を支配している・・・・という事も考えられる。
木乃香は最近練習を始めた魔法を発動させた。
魔法の基本でもある"魔力の感知"だ。

118 名前:エヴァの修行[sage] 投稿日:2007/10/06(土) 03:24:50 ID:/jjGAPaN

(どこ・・・・何が原因なん・・・・? せっちゃんを返して・・・・!)

そして研ぎ澄まされた木乃香の魔力は、他者の魔力を感じとった。
その魔力はエヴァンジェリンと・・・・そしてもう一つ、刹那の首元から。
刹那の力の源は"気"なので、どう考えても怪しい。

「・・・・あった! せっちゃん堪忍!」
「え? わっ!?」

木乃香は刹那のシャツを一気に肌蹴させた。
まじめな刹那は、普段から第一ボタンまでしっかりと止めている。
今回はそれが災いして、元凶であるドッグタグは完全に服の下に隠れてしまっていたのだ。
木乃香がそのドッグタグを外すと、魔力は消え去った。

「ふっ・・・・やっと気付いたか」
「これのせいやったんやね・・・・よかったぁ・・・・!」
「だが気付くのが遅い! 坊やは何も言わずとも朝に気付いたぞ。私が睨みを利かせて黙らせたがな」

再び刹那を強く抱きしめて安堵する木乃香に、エヴァンジェリンは一喝した。
木乃香はビクッと身を竦ませて、表情を暗くする。

「そ、そうなんや・・・・ウチ、たるんどったな・・・・」
「・・・・しかし、さっきの探りは今までで一番鋭かったんじゃないか?」
「へ?」
「やはり大事な物を賭けた方が、効果が出るな・・・・ふむ、坊やの修行にも役立たせるか」

そう言うと、エヴァンジェリンは茶道具をさっさと片付けた。
そして、その場を去る。
もう刹那たちに興味がなくなったようだ。

119 名前:エヴァの修行[sage] 投稿日:2007/10/06(土) 03:27:38 ID:/jjGAPaN

「あぁ・・・・そうだ、近衛木乃香」
「なんや?」
「そろそろ本当に離してやれ。死にかけてるぞ」
「へ? ・・・・ひゃっ、せっちゃんー!?」
「・・・・うっ・・・・ぐぅ・・・・」

刹那は木乃香の胸に圧迫されて、呼吸困難に陥っていた。
木乃香は慌てて刹那を離し、膝枕へと変える。
刹那はぐったりとしつつも空気を仰ぎ、何とか死を避けた。

「はぁ、はぁ・・・・し、死ぬかと・・・・!」
「か、堪忍・・・・でもなせっちゃん、もうあないなテストやめてな・・・・」
「・・・・私もまさか、あのようなテストだとは・・・・次からは気をつけます。・・・・ごめんなさい」

上気した頬を必死に手で隠しつつ、刹那は謝った。
木乃香はその手を払い除け、刹那の顔を見つめる。
木乃香の目からは涙が浮かんでいたが、顔はとても嬉しそうだった。

「・・・・でもほんまに、よかったぁ・・・・」
「お嬢様・・・・えっと、助けてくれてありがとうございます・・・・////」

そしてしばらくそのまま、刹那は茶道室で木乃香の看病を受けた。
その間の刹那の表情は、どこか幸せそうだったという。


FIN

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