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113 名前:エヴァの修行[sage] 投稿日:2007/10/06(土) 03:14:08 ID:/jjGAPaN

それからも刹那は木乃香と距離をとり続けた。
休み時間は必ずエヴァンジェリンの元へ行き、エヴァンジェリンが学園長に呼び出されたときは茶々丸と行動を共にした。
そればかりか、トラウマが蘇ってしまった木乃香は刹那に話しかける事ができない。
結局、帰りのHRまで二人が話す事はなかった。

「せっちゃん・・・・どないしたんやろ・・・・?」
「エヴァちゃんに弱みでも握られたのかな・・・・?」
「うーん・・・・」
「帰り、誘ってみなよ?」
「・・・・うん、そやね」

放課後、木乃香は意を決して行動に移る。
帰り支度をする刹那に駆け寄って話しかけた。

「せっちゃん! 一緒にかえろ!」
「あ、お嬢様・・・・」
「今日は部活も何もない日やろ? 美味しいお菓子があんねんけど・・・・」
「すみませんが、お嬢様とは帰れません」
「え・・・・」

それは強い拒絶。
朝と同じく、教室がざわめいた。
完全にトラウマが蘇り、木乃香は後ずさる。
それと入れ違いになるように、エヴァンジェリンが刹那の前へと出た。

「・・・・帰りましょう。エヴァンジェリンさん」
「あぁ、茶々丸は大学に寄って行くそうだ」
「わかりました、お荷物お持ちします」

木乃香は希望を打ち砕かれ、去っていく二人を見送るしか出来ない。
大事な人が、心変わりしてしまった・・・・そんな絶望が、木乃香を沈めていく。

114 名前:エヴァの修行[sage] 投稿日:2007/10/06(土) 03:15:53 ID:/jjGAPaN

「せっちゃん・・・・どないしたん・・・・?」
「あれ、絶対怪しいって! エヴァちゃんが刹那さんに何かしたのかも」
「明日菜・・・・ウチどないしよう・・・・!」

いてもたってもいられなくなった明日菜が、木乃香のフォローに入る。
木乃香はどうすればいいかわからず、明日菜にすがりついた。

「うーん・・・・こっちも強気で行くしかないんじゃない? 今日は茶道部があるはずだから、茶道室にいるかも」
「ウチ・・・・怖い・・・・」
「相手はエヴァちゃんよ? きっと・・・・何か考えてるんだと思うんだけど・・・・木乃香?」

刹那の拒絶にすっかり怯えてしまった木乃香。
明日菜は大きくため息をつき・・・・手を上に振り上げた。

――パーンッ

「痛っ!?」
「ほら、うじうじしてないで! 麻帆良祭前の私みたいよ?」
「あ・・・・」
「今は行動あるのみなんじゃないの? 昔の刹那さんだって、木乃香の事嫌ってたわけじゃなかったんだしさ」

明日菜の平手と助言は、木乃香を立ち直らせた。
木乃香は頭を大きく振ると、今度はしっかりと前を見た。

「・・・・行ってくるな!」
「そのイキよ。私は先に帰ってるわよ」
「うん、絶対せっちゃん連れて帰るわ!」

*

115 名前:エヴァの修行[sage] 投稿日:2007/10/06(土) 03:18:57 ID:/jjGAPaN

茶道部は部員がほとんどいない。
そのためか普段はエヴァンジェリンと茶々丸だけで、物静かな雰囲気が漂う部室である。
そこに今日はエヴァンジェリンと刹那だけがいた。

「ふふ、気になるか? 近衛木乃香が」
「当たり前です。あのような事・・・・不本意です・・・・」

刹那は木乃香を拒絶してしまった事に、罪悪感を感じていた。
凹む刹那をみて、エヴァンジェリンは笑みを浮かべながら茶をたてる。

「何を今更・・・・それに、あれぐらいで終わるほど薄いのか、お前たちの信頼関係は」
「そ、そんな事・・・・!」

言葉では抵抗するものの、やはり不安が大きいのだろう。
刹那の声は段々と小さくなった。

「まぁいい・・・・しかしあの様子だと、近衛木乃香はもう不合格だろうな」
「い、いえ・・・・お嬢様はまだ・・・・!」
「いい加減うるさいぞ、刹那。なんならここで、私を悦ばせてもらおうか?」

エヴァンジェリンは手に持っていた茶筅を置き、糸で刹那を引き寄せた。
抵抗を許されてない刹那は、そのままエヴァンジェリンに抱きつく形となる。

「エ、エヴァンジェリンさん・・・・!」
「畳に茶に・・・・和風剣士、か・・・・何とも日本文化は奥床しい」

じわじわと近寄る唇。
刹那の本能は危険信号を発していた。
この口付けをしてしまったら最後・・・・戻る事はできないだろう、と。

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