TOP
TOP   SS   イラスト
<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>
249 名前:拒絶 上[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 02:40:42 ID:I/GkL888

担当医はそう言い、部屋を後にした。
これで良かったのだろうかと一瞬不安がよぎったが、大きな怪我を見せるのも失礼だろう。
そう自分を納得させ、私は再び目を閉じた。

*

「あ、先生! せっちゃ・・・・桜咲さんは!?」
「あぁ、無事目を覚ましたよ」
「・・・・よかったぁ・・・・」

ウチはほっと胸をなでおろす。

「だけど怪我を負った直前の記憶が飛んでるようだ。・・・・一体何があったんだい?」
「あ・・・・その・・・・」
「・・・・無理に言わなくてもいいけどね。魔物が相手だった事は、現場に証拠が残っていたし」

せっちゃんが怪我をした時の事を思い出し、ウチは俯く。
お医者さんはこれ以上追求する事はなかった。

「桜咲さんとは・・・・会えへんのですか?」
「残念だけど、本人の希望でね。まだ面会謝絶かな」
「っ! ・・・・さいですか」

せっちゃんは、まだ怒ってるのだろうか?
一週間前、ウチはせっちゃんの言いつけを破ってしまった。
そのせいでせっちゃんは・・・・。
今でも胸が痛む。


250 名前:拒絶 上[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 02:43:35 ID:I/GkL888

「このかー、刹那さんどうだって!?」
「・・・・目、覚ましたって先生が言うとったよ」
「よかったー! ・・・・でもまだ会えないんだ?」
「・・・・うん」

後から来た明日菜。
・・・・言えない。
会えない理由が、ウチのせいかもしれないなんて。

「・・・・ふん、くたばってなかったか」
「ちょっと、エヴァちゃん!」
「まぁ当たり前だ、半妖があれぐらいで・・・・ええい、掴みかかるな!!」
「きゃーっ!?」

病院を出たウチは明日菜に引っ張られ、エヴゃちゃんの別荘に来ていた。
エヴァちゃんと明日菜は仲良く喧嘩を始める。
ウチは苦笑しながら、訓練するみんなを眺める。
賑やかな風景・・・・明日菜は気分を紛らわそうとしてくれたのかもしれない。

「・・・・このか〜、ちょっと怪我しちゃったんだけど」
「もう、明日菜は怪我しやすいなぁ・・・・あ・・・・」

エヴァちゃんに吹っ飛ばされた明日菜が、ウチに手を出した。
その手につく血を見て、一瞬の目眩がウチを襲う。
・・・・ウチは明日菜に気付かれないように、血から目を逸らした。

「エヴァちゃんが強すぎるのよ・・・・ほら、早く治して」
「あ・・・・堪忍。ほないくえ・・・・プラクテ・ビギ・ナル――あれ?」


251 名前:拒絶 上[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 02:49:42 ID:I/GkL888

ウチは平静を装って、いつも通り呪文を唱える。
なのに、魔法は発動しなかった。
何度も試してみたけど、光すらも出ない。

「木乃香?」
「・・・・アカン・・・・」
「え?」
「ごめん・・・・明日菜・・・・!」

居た堪れなくて、その場から逃げ出した。
一人になって、最初に覚えた火の魔法も試してみたけど、それもまったくダメだった。

「なん、で・・・・ウチ、もうせっちゃんに何もできへんの・・・・?」

泣きっ面に蜂とは、まさにこの事かもしれない。
ウチはもう立っている事もできず、その場に崩れた。


拒絶(上) FIN

<< 前頁  クラフト 氏  次頁 >>


ページトップ

管理人:虚武僧
web拍手
┣サイトへの意見・要望
┗リンクミスの報告など