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257 名前:拒絶 中[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 22:23:39 ID:I/GkL888

目覚めてから数日・・・・傷はもうほとんど癒え、私は今日退院した。
瀕死状態から二週間も経たずに退院するのは驚異だったようで、担当医に随分と驚かれたものだ。
色々と手続きを終えて寮に着く頃には、既に日は落ちていた。

「・・・・生き返ったか、刹那」
「私は死んでない。・・・・それよりも世話をかけたな、龍宮」
「同室で暮らしてるんだ、まぁこれぐらいはタダでやってやるさ」

龍宮には、入院中の衣類を運んでもらった。
同じ部屋で暮らしているという理由もあったのだが、何より弱っている姿をお嬢様や他の人に見られたくなかったからだ。

「・・・・近衛とは会ってないのか」
「私自身、万全じゃなかったし・・・・」
「そうか・・・・だが怪我を負ったお前を病院に運んだのは、近衛なんだぞ」
「・・・・え?」

私はまだ、怪我をした日の事を思い出せずにいた。
てっきり仕事でミスをしたと思っていたのだが、お嬢様が私を運んだのであれば仕事ではないのだろう。
仕事の時にお嬢様は傍にいないはずなのだから。

「なんだ、覚えてないのか?」
「実は、ショックで記憶が飛んでるみたいで・・・・」
「・・・・ショックを受けてるのはお前だけじゃない。なぜ、会ってやらなかった?」

龍宮はぶっきらぼうに言う。
だが私には龍宮の言う事がわからない。
確かに面会は断ったが・・・・ただそれだけの事ではないのか?


258 名前:拒絶 中[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 22:25:48 ID:I/GkL888

「なぜって・・・・だから、怪我を見せたくなくて・・・・」
「例え怪我をしていても、元気な顔を見れば人は安心するものだ」
「でも・・・・」
「お前は近衛をかばって怪我をした。そして傷付いたお前は・・・・近衛を拒絶した」

私が・・・・お嬢様をかばって、大怪我をした?
一瞬、真っ赤に染まる記憶が横切る。
だがすぐにその記憶は消えた。
まだ、思い出せない・・・・。

「そ、それじゃ・・・・」
「近衛はお前に嫌われたと思ってるだろうな」
「なっ・・・・――」

お嬢様を嫌うだなんて、そんな事ありえない。
私は慌てて携帯を手に取った。
その意を、お嬢様に伝えるために。

・・・・・・・・。

しかしいくら待っても、電話はつながらなかった。

「くそ・・・・なぜこんなときに・・・・」
「今日はもう休め。退院で色々と疲れただろう」
「・・・・・あぁ」

お嬢様・・・・。
なんで、私は面会を断ってしまったのだろう。
今更だが、私の胸には後悔が渦巻いていた。


259 名前:拒絶 中[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 22:27:18 ID:I/GkL888

*

せっちゃんからの電話・・・・。
気付いていたけど・・・・どうしても出る事ができなかった。
嫌われてるかも。
また怒られるかも。
何より・・・・今のウチを知ったらなんて言うだろう?

「ふーむ、やはり原因は刹那君かのぉ・・・・」
「せっちゃんが原因・・・・?」
「刹那君と言うより、刹那君の怪我じゃの」

魔法が使えないと知ってから、ウチはおじいちゃんの所に来る事が多くなっていた。
なぜかエヴァちゃんには言い難くて、同じく魔法使いの先輩であるおじいちゃんに助けを求めたのだ。

「傷が怖いんじゃろ、木乃香?」
「こ、怖くなんかあらへんよ・・・・」
「・・・・治癒と怪我は、いうならば光と闇じゃ。対を成すどちらかが欠けると、もう片方も力を失う」

少し難しい話。
でもこう言った事については、エヴァちゃんの修行や麻帆良祭で少し考えた事がある。
例えば『善』と『悪』。
悪が無ければ善は存在しない、といった感じの話。

「怪我があらへんかったら・・・・」
「そう、治癒も必要ない。怪我を拒絶するならば、治癒も拒絶するという事なんじゃよ」

ウチのこの力は・・・・傷付かないと、使えない力。
おじいちゃんの言葉が胸に突き刺さった。

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