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260 名前:拒絶 中[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 22:31:15 ID:I/GkL888

「原因と向き合う事が第一じゃ、刹那君も退院したんじゃろ?」
「うん・・・・」
「明日会ってきなさい。魔法が使えなくなっても、刹那君は木乃香の友達じゃよ」
「・・・・うん」

ウチは頷くと、おじいちゃんの部屋を出た。
今日はおじいちゃんの家に泊まる予定だけど、同居人の為に夕飯だけでも作らないといけない。

「あ、おかえり。このか」
「すみません、夜ご飯頼んでしまって・・・・」
「ええんよ、これがウチの仕事やからな」

食材を出し、包丁で切っていく。
前だったらせっちゃんが料理を手伝ってくれていた。
料理は苦手とか言いながらも、器用にこなしていた彼女。
・・・・もう、あの日は来ないのだろうか。

「痛っ・・・・」

料理中に考え事をしてしまって、指を切ってしまった。
指から滴る血・・・・ぐらりと反転する世界。

――ガチャン!

「このか!?」

大きく響いた音に、明日菜達が駆けつけてくる。
血を見た瞬間、目眩がして・・・・包丁を落として床に座りこんでしまった。


261 名前:拒絶 中[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 22:33:40 ID:I/GkL888

「な、なんでもあらへんよ・・・・」
「このか・・・・やっぱり何かあったの?」
「もしかしたら僕にできる事があるかもしれませんし・・・・話してくれませんか?」

みんなには心配かけさせまいと、誰にも話してなかったあの日の事。
だけど目の前で倒れてしまったので、二人にはもう誤魔化せない。
何よりも二人は、本気でウチの事を心配してくれていたから。
この日初めてウチは・・・・ウチとせっちゃんに何があったかを、他人に話した。

*

ウチとせっちゃんは他愛ない話をし、笑い合っていた。
そんないつも通りの学校帰り。
不意に、せっちゃんが立ち止まった。

『どうしたん?』
『魔物の気配が・・・・』

せっちゃんは、『先日に他校の魔法生徒が魔物を取り逃がした』と報告があったのを教えてくれた。
その魔物を放っとけば、一般人に被害をもたらすかもしれない――。
そう判断したせっちゃんは、夕凪を手に気配がした方角に走っていった。
ウチに、決してここを動かぬようにと言い残して。

『せっちゃん、大丈夫やろか・・・・怪我してへんかな・・・・』

ウチはせっちゃんが張った結界の中で、しばらくせっちゃんを待った。
でもせっちゃんはなかなか戻ってこなくて、不安はどんどんつのるばかりで・・・・。
・・・・せっちゃんの言い付けを破って、後を追いかけてしまった。
それが、間違いだった。


262 名前:拒絶 中[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 22:34:58 ID:I/GkL888

ギシャァ!

『ひゃっ・・・・』

せっちゃんが去った方向に向かっていくと、魔物の悲痛な叫びが森に木霊した。
あまりの迫力に、ウチは立ち竦む。

『――お嬢様!?』
『せっちゃ・・・・きゃあ!?』

そして運悪く・・・・手負いの魔物はうちの方向に向かってきた。
ウチがそれを倒せるはずもなく、動くことも出来ない。
固く目を瞑り、ある種の覚悟をした――。

――ザシュ

耳障りな、肉が裂ける音。
でも痛みはない。
恐る恐る目を開けると、目の前にはせっちゃんがいて・・・・せっちゃんが持っていた刀からは血が滴っていた。

『せっちゃん、血が――』

ウチは震える手を伸ばし、せっちゃんの怪我を治そうとする。
でも、せっちゃんはそれを振り払った。

『なぜ来たん、このちゃん・・・・大人しく待ってて言うたはずやん!』
『・・・・っ!』

相当取り乱さない限り、決して敬語を崩さないせっちゃん。
そんなせっちゃんが、昔の口調でウチを怒鳴った。

263 名前:拒絶 中[sage] 投稿日:2007/10/18(木) 22:41:16 ID:I/GkL888

『せ、せっちゃんが、心配で・・・・』
『ええから、ここで待っとって!』

せっちゃんは怪我をしたまま、魔物を追いかける。
怒鳴られたウチは驚きと恐怖で、せっちゃんを止める事ができなかった。
初めてせっちゃんが、怖いと思った。

――ザンッ

最後の一撃と思われる音が響き・・・・森は静かになる。
でもせっちゃんは戻ってこない。
・・・・ウチはここで迷うべきじゃなかった。
すぐにでも、せっちゃんを追いかけるべきだった。

『せっちゃん・・・・せっちゃん・・・・っ!』

勇気を振り絞ってせっちゃんを追いかけた時・・・・せっちゃんは既に意識を失っていた。
タイムリミットも過ぎていて、ネギ君からもらった力も役に立たない。

『ウチのせいで・・・・せっちゃん怪我してもうた・・・・ウチがいなければ、怪我なんてしなかった・・・・!』

温かくて赤い液体が流れ落ち、抱える幼馴染は冷たくなっていく。
ウチはネギ君に助けの電話を入れて、せっちゃんを森の出口まで引きずるのが精一杯だった。
そしてその日から、ウチは血が怖くなってしまい・・・・魔力も消えてしまった。

拒絶(中) FIN

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